ホリショウのあれこれ文筆庫

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第458話 コックリさん

序文・怖いもの見たさ

                               堀口尚次

 

 コックリさん〈狐狗狸さん〉とは、西洋の「テーブル・ターニング」に起源を持つ占いの一種。机に乗せた人の手がひとりでに動く現象は心霊現象だと古くから信じられていた。科学的には意識に関係なく体が動くオートマティスムの一種と見られている。「コックリさん」と呼ばれるようになったものは、日本で19世紀末から流行したものだが、これは「ウィジャボード」という名前の製品が発売されたりした海外での流行と同時期で、外国船員を通して伝わったという話がある。

 日本では通常、狐の霊を呼び出す行為〈交霊術〉と信じられており、そのため「狐狗狸さん」の字が当てられることがある。机の上に「はい、いいえ、鳥居、男、女、0〜9〈出来れば漢字で書いた方が良い〉までの数字、五十音表」を記入した紙を置き、その紙の上に硬貨〈主に五円硬貨もしくは十円硬貨〉を置いて参加者全員の人差し指を添えていく。全員が力を抜いて「コックリさん、コックリさん、おいでください。」と呼びかけると硬貨が動く。コックリさんと呼ばず“エンジェルさん”などと呼びかえるバリエーションも存在する。これも同じ効果だと言われている。

 井上円了によると、日本においては、1884年伊豆半島下田沖に漂着したアメリカの船員が自国で大流行していたテーブル・ターニングを地元の住民に見せたことをきっかけに、各地の港経由で日本でも流行するようになったという。

 1970年代には、つのだじろうの漫画『うしろの百太郎』の作中でコックリさんが紹介され、少年少女を中心としたブームになったこともある。子供たちが学校などで面白半分に行うケースが多発し、その時代を知る人々は、「絶対にやらないように」と強く警告を発しているケースも多々見られる。生徒への精神的な影響もあり、教師が保護者を含めて厳重注意することもしばしばある

 参加者の潜在意識〈予期意向〉が反映され、無自覚に指が硬貨を動かすという説。ファラデーや井上円了、フランスの化学者、M・シュブルールなどはこの説をとった。 森田正馬森田療法で有名〉は参加者が霊に憑依(ひょうい)されたと自己暗示〈自己催眠、 祈祷性精神病 と命名)に罹るとの見方を示した。複数人に同様な症状がおきる感応精神病の発生もよく知られる。

 私は小学生時代に教室で経験があるが、ぜったい誰かが動かしてると思った。