ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

2023-01-01から1年間の記事一覧

第918話 棒の手を伝えた水野又太郎良春

序文・南朝の勇古郷に還る 堀口尚次 水野良春は、南北朝時代の武将。通称は又太郎。号は無二。志段味(しだみ)城主、また尾張国山田郡新居(あらい)〈愛知県尾張旭市新居町〉に進出して、新居城主となった。 桓武平氏高望(たかもち)流、平吉兼の子孫、尾張国山…

第917話 柴田勝家小姓・毛受勝助家照

序文・身代りとなり討死 堀口尚次 毛受(めんじょう)家照は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将。柴田勝家の家臣。 諱は初名を照景、後に家照、勝照と改めた。異説として吉親とするものもある。通称は初めは庄助、荘助で、後に勝助となった。尾張国春日…

第916話 ゾロアスター教

序文・マズダー 堀口尚次 ゾロアスター教は、古代ペルシア発祥の歴史上最古の宗教である。聖典は『アヴェスター』。イラン高原に住んでいた古代アーリア人はミスラやヴァーユなど様々な神を信仰する多神教〈原イラン多神教〉であった。この原イラン多神教を…

第915話 鉄道で漁業発展に貢献した森治郎

序文・地元〈名古屋市中川区〉の名士 堀口尚次 森治郎(じろう)は万延元年、下之一色村で代々庄屋を務める大地主の森家に生まれた。父の治平は村長から愛知県会議長を勤め、愛知県水産試験場を下之一色に誘致するなど、下之一色漁業の発展に貢献した。下之一…

第914話 鬼頭勘兵衛(吉兵衛)景義

序文・清和天皇の子孫 堀口尚次 鬼頭勘兵衛〈吉兵衛〉景義は新田開発の第一人者であり、江戸時代の寛永8年から明暦3年に至る27年間に尾張や美濃で、多くの新田開発や治水事業を行った。源為朝の子孫といわれ、八田村〈中川区八田町〉に在住していた。土木工…

第913話 鈴ヶ森刑場

序文・江戸時代の処刑場 堀口尚次 鈴ヶ森刑場は、東京都品川区にかつて存在した刑場。江戸時代には、江戸の北の入口〈日光街道〉沿いに設置されていた小塚原刑場とともに、南の入口〈東海道〉沿いに設置されていた刑場であった。 元々この付近は海岸線の近く…

第912話 乾退助あらため「板垣正形→板垣退助」

序文・甲斐源氏家臣の末裔 堀口尚次 板垣退助、天保8年 - 大正8年は、日本の政治家、軍人〈土佐藩陸軍総督〉、武士〈土佐藩士〉。従一位勲一等伯爵。明治維新の元勲、自由民権運動の指導者。東アジアで初となる帝国議会を樹立し「国会を創った男」として知ら…

第911話 廃止のJR名古屋港線とナゴヤ球場正門前駅

序文・中日ドラゴンズと共に 堀口尚次 名古屋港(みなと)線は、日本貨物鉄道〈JR貨物〉が保有する山王信号場 - 名古屋港(みなと)駅間の東海道本線貨物支線の通称である。東臨港線、臨港線、名古屋港臨港線などとも呼ばれる。 名古屋港(こう)周辺に建設された…

第910話 悲劇の対馬丸事件

序文・忘れられぬ悲痛 堀口尚次 対馬丸は、日本郵船のT型貨物船の一隻で、総トン数6,754トンの貨物船。旧字体の表記は對馬丸。太平洋戦争中の昭和19年8月、疎開船として民間人や児童ら計約1,700名を乗せて那覇から長崎へ向かう途中、8月22日にアメリカ海軍の…

第909話 近世漫才の祖・玉子屋円辰

序文・万歳から漫才へ 堀口尚次 玉子屋円辰〈慶応元年- 昭和19年)は日本の萬歳および音頭取りの芸人。明治末期から昭和初期にかけ、古典芸能であった萬歳をのちの「漫才」につながる近代的な形式の寄席芸能に仕立て直し、多くの後進を育てたことから、「上方…

第908話 名古屋市電の終着駅は海底

序文・余生は漁礁として活躍 堀口尚次 名古屋市電は、名古屋市が経営していた路面電車である。名古屋市交通局が事業を行っていた。 明治31年に名古屋電気鉄道によって日本で2番目の電気鉄道として開業され、昭和49年3月31日に全廃された。 京都電気鉄道〈の…

第907話 原爆の父

序文・パンドラの箱を開けてしまった 堀口尚次 J・ロバート・オッペンハイマー〈1904年 - 1967年〉は、アメリカ合衆国の理論物理学者。 理論物理学の広範な領域にわたって大きな業績を上げた。特に第二次世界大戦中のロスアラモス国立研究所の初代所長として…

第906話 千姫の血筋

序文・織田、豊臣、徳川との繋がり 堀口尚次 千姫は、安土桃山時代から江戸時代の女性。豊臣秀頼・本多忠刻(ただとき)の正室。父は徳川秀忠、母は浅井長政の三女である浅井江(ごう)〈太閤豊臣秀吉の養女・達子〉。号は天樹院。 慶長2年4月11日、秀忠と江の長…

第908話 羽柴備前中納言秀家

序文・宇喜多秀家 堀口尚次 宇喜多秀家は、安土桃山時代の武将・大名。宇喜多氏の当主。通称は八郎、備前宰相。 父・直家の代に下剋上で戦国大名となった宇喜多氏における、大名としての最後の当主である。豊臣政権下〈末期〉の五大老の一人で、家督を継いだ…

第907話 消滅したビルマ国

序文・日本の傀儡政権 堀口尚次 ビルマ国は、昭和18年から昭和20年にかけて、日本占領時期のビルマ〈現ミャンマー〉に存在した国家。日本の支援を受けてイギリスの植民地支配から独立する形で誕生したが、日本の傀儡政権とする見方もある。 昭和16年、アウン…

第906話 空也踊躍念仏

序文・称名念仏の魁 堀口尚次 空也(くうや)は、平安時代中期の僧。阿弥陀聖(ひじり)、市(いち)聖、市上人とも称される。 観想を伴わず、ひたすら「南無阿弥陀仏」と口で称える称名念仏〈口称念仏〉を日本において記録上初めて実践したとされ、日本における浄…

第905話 土方歳三の小姓「市村鉄之助」

序文・14歳で新選組に入隊した若者 堀口尚次 岐阜新聞に『土方歳三の遺品届けた新選組隊士「市村鉄之助」岐阜・大垣市に眠る 時代の波に翻弄された19年』の記事をみた。そこで調べてみた。 市村鉄之助〈安政元年 - 明治6年?/明治10年?〉は、新選組隊士。安…

第904話 一人っ子政策の影で

序文・引き裂かれた親子 堀口尚次 一人っ子政策は中華人民共和国における産児制限政策。特に1979年から2014年まで実施された、原則として一組の夫婦につき子供は一人までとする計画生育政策を指す。 2015年から2021年までは一組の夫婦につき子供二人までとさ…

第903話 津藩主の先生・斎藤拙堂

序文・その人脈と影響力は多大 堀口尚次 斎藤拙堂(せつどう)〈寛政9年 -慶応元年〉は、幕末の朱子学者。諱は正謙、字は有終、通称は徳蔵。号は拙堂・鉄研。寛政9年、津幡士の子として江戸の藩邸内にて生まれ、昌平黌(しょうへいこう)〈学問所〉で古賀精里(せ…

第902話 有楽町の生みの親「織田長益」

序文・織田信長の弟 堀口尚次 織田長益(ながます)は、安土桃山時代から江戸時代初期の大名・茶人。長益系織田家嫡流初代。 織田信秀〈信長の父〉の十一男で、有楽(ゆうらく)・如庵(じょあん)と号した。そのため、織田有楽斎(ゆうらくさい)として言及される場…

第901話 隻腕の加波山将軍

序文・過激な自由民権運動家 堀口尚次 鯉沼九八郎(こいぬまくはちろう)〈嘉永5年 - 大正13年〉は、栃木県の政治家で自由民権運動家。「隻腕(せきわん)の加波山(かばさん)将軍」の異名で知られる。 下野(しもつけ)国都賀(つが)郡稲葉村〈現・栃木県下都賀郡壬…

第900話 三千大千世界

序文・仏教の世界観 堀口尚次 三千大千世界(さんぜんだいせんせかい)は、仏教の世界観における宇宙の単位である。特に大乗仏教においては、一人の仏が教化する世界のことであり、宇宙は無数の三千大千世界から成る。仏教の世界観では、須弥山(しゅみせん)〈…

第899話 明治期の政府転覆未遂事件

序文・自由民権運動の嵐 堀口尚次 名古屋事件は、明治17年12月、加波山(かばさん)事件後解党していた旧自由党の党員が起こした政府転覆未遂事件。平田橋事件ともいわれる。 名古屋の自由党員の組織であった「公道協会」の会員らを中心として、軍資金調達のた…

第898話 熊野牛王符

序文・神札が誓約書に 堀口尚次 熊野牛王符(ごおうふ)は、熊野三山で配布される特殊な神札。「烏牛王」「おからすさん」などと呼ばれる。一般的な神札と違って一枚ものの和紙の上に墨と木版で手刷りされ、朱印を押したもので、意匠〈デザイン〉には多くの烏(…

第897話 越中富山の薬売り

序文・置き薬 堀口尚次 富山の売薬(ばいやく)とは、古くから富山県〈旧越中国〉を拠点としてきた医薬品配置販売業の通称である。「越中富山の薬売り」とも呼ばれる。 薬種商の始まりは室町時代とされる。富山で薬種商が始まったのは室町時代後期、越中に薬種…

第896話 大久保大和こと「近藤勇」

序文・新選組~甲州鎮部隊 堀口尚次 近藤勇、天保5年- 慶應4年は、江戸時代末期の武士。新選組局長。後に幕臣に取り立てられ、甲陽鎮撫隊隊長。勇は通称で、諱は昌宜(まさよし)。慶應4年からは大久保剛を名乗り、後にさらに大久保大和と改めた。 天保5年、武…

第895話 信長を諫めて自刃・平手政秀

序文・織田信長の教育係 堀口尚次 平手政秀は、戦国時代の武将。織田信秀、信長の2代に仕える。尾張国春日井郡にあった志賀城の城主。 織田信秀の重臣として主に外交面で活躍。茶道や和歌などに通じた文化人で、天文2年に尾張国を訪れた山科言継(ときつぐ)〈…

第894話 督姫と毒饅頭事件

序文・家康の次女 堀口尚次 督姫(とくひめ)は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての女性。徳川家康の次女。母は家康の側室・西郡局(にしのこおりのつぼね)〈鵜殿氏の娘〉。実名はふう。別名は富子、播磨御前、良正院。 最初の政略結婚として、家康の命に…

第893話 ヒロポンの歴史

序文・蔓延していた覚醒剤 堀口尚次 日本で覚醒剤〈商品名ヒロポン〉が発売されてまもなく太平洋戦争が開戦したため、ドイツ等のヨーロッパ諸国のように一般市民に蔓延する前に軍事目的に利用されることとなった。その目的は、厚生省薬務課長の覚醒剤の製造…

第892話 民事介入暴力

序文・ミンボー 堀口尚次 民事介入暴力とは、暴力団が当事者として〈またはその代理人として〉民事紛争に介入し、暴力や集団の威力を背景に不当に金品を得ようとする行為一般を指す。通称ミンボーと呼ばれる。昭和54年12月、警察庁が「民事介入暴力対策セン…