ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

2023-01-01から1年間の記事一覧

第891話 天下の悪妻・日野富子

序文・足利将軍の正室 堀口尚次 日野富子〈永享12年 - 明応5年〉は、室町幕府の足利将軍家と縁戚関係を持っていた日野家の出身で、室町幕府後期から戦国時代前期の女性。室町幕府8代将軍・足利義政の正室〈御台所(みだいどころ)〉。父は蔵人右少弁・日野重政…

第890話 大宝六角レンガ蔵

序文・有形文化財 堀口尚次 大宝(おおたから)六角れんが蔵は、愛知県海部郡飛島村大宝二丁目にある蔵。 地元の大地主で貴族院議員でもあった大宝家の10代当主・大宝陣(じん)が、明治41年頃に自身が経営する合資会社・大宝農林部の書類倉庫として建てた、煉瓦…

第889話 交通反則通告制度

序文・青切符 堀口尚次 交通反則通告制度とは、自動車または原動機付自転車を運転中の軽微な交通違反「反則行為」につき、反則行為の事実を警察官または交通巡視員により認められた者が、一定期日までに法律に定める反則金を納付することにより、その行為に…

第888話 腐ったリンゴ

序文・腐敗の伝染 堀口尚次 腐ったリンゴ とは、集団内における腐敗した人物、または邪悪な人物からの悪影響を指すメタファー〈比喩〉である。この概念は、時代の流れに伴い「少数の腐ったリンゴ」が集団の残りの大多数を代表しないことを指す、元来とは逆の…

第887話 二河白道

序文・貪り、執着心、怒り、憎しみを捨てよ。 堀口尚次 二河白道(にがびゃくどう)とは、浄土教における極楽往生を願う信心の譬喩(ひゆ)。ニ河譬(にがひ)とも。善導が浄土教の信心を喩(たと)えたとされる。主に掛け軸に絵を描いて説法を行った。 絵では上段に…

第886話 伏魔殿

序文・魔王が封印された建物 堀口尚次 伏魔殿(ふくまでん)とは、中国の伝奇小説『水滸伝(すいこでん)』に登場する建物、または英国の叙情詩『失楽園』に登場する都市の名前。悪魔がひそむ殿堂の意。また転じて陰謀や悪事などが絶えずたくらまれる場所を指す…

第885話 限界集落と都市部への余波

序文・地方の過疎化と都市の空洞化 堀口尚次 限界集落とは、人口の50%以上が65歳以上で、農業用水や森林、道路の維持管理、冠婚葬祭などの共同生活を維持することが限界に近づきつつある集落のことである。2015年の国土交通省の調査では、今後10年以内に消滅…

第884話 沓掛城と提灯山

序文・桶狭間の戦いの影で 堀口尚次 沓掛(くつかけ)城は、尾張国愛知郡沓掛、現在の愛知県豊明市沓掛町にあった日本の城。 沓掛の地は、北方の長久手・岩崎方面からの街道と鎌倉往還とが交差する場所にあり、交通の要衝といってよく、その抑えとして古くから…

第883話 ガラパゴス化

序文・独自に進化 堀口尚次 ガラパゴス化とは、日本のビジネス用語のひとつで、孤立した環境〈日本市場〉で製品やサービスの最適化が著しく進行すると、外部〈外国〉の製品との互換性を失い孤立して取り残されるだけでなく、適応性〈汎用性〉と生存能力〈低…

第882話 新田開発と津金文左衛門

序文・瀬戸物の磁器開発にも尽力 堀口尚次 津金胤臣(つがねたねおみ)は、江戸時代中期の武士。一般的には津金文左衛門の名で知られる。 享保12年、尾張国名古屋〈現在の愛知県名古屋市東区平田町〉で、尾張藩士・津金胤忠の長子として生まれる。幼名は薪之丞…

第881話 小人プロレス

序文・職業選択の自由 堀口尚次 ミゼットプロレスは、小人(こびと)症のレスラーが試合をするプロレス。通称「小人プロレス」。闘う人をミゼットレスラーと呼んでいる。メキシコでは小人症に限定せず低身長のレスラーをミニエストレージャと呼んでいる。日本…

第880話 伊世賀美隧道

序文・心霊スポット!? 堀口尚次 伊世賀美隧道(いせがみずいどう)は、愛知県豊田市の伊勢神(いせがみ)峠にあるトンネル。通称として旧伊勢神トンネルとも呼ばれる。 明治30年11月竣工。開通当時の荷物輸送の主役であった飯田街道の伊勢神峠に建設された全長…

第879話 旗本・戸田内蔵助光賢「時の太鼓」

序文・将軍お墨付き 堀口尚次 戸田光直〈明暦3年 - 享保元年〉は、江戸時代中期の旗本。北方戸田家初代。 美濃加納藩初代藩主・松平光重の三男。2代藩主松平光永の弟。正室は交代寄合・横田溝口家の溝口宣就の娘。子に戸田光言がいる。幼名は千代松、通称は…

第878話 孝女和喜之碑

序文・親孝行で褒美金 堀口尚次 『享保18年、大宝(おおたから)新田〈現・愛知県海部郡飛島村〉に生まれた和喜(わき)は、幼いときから何のためらいもなく病弱の両親を介護しながら、身を粉にして働き続けた大変な親孝行でした。その姿にまわりの人はただ声も…

第877話 日本の時計王・服部金太郎

序文・一歩先に進む 堀口尚次 服部金太郎〈万延元年 - 昭和9年〉は、日本の実業家、日本赤十字社常議員。服部時計店〈現セイコーグループ〉の創業者。輸入時計の販売店を開業し、のちに掛時計・腕時計の製造・販売へと事業を拡大して「世界のセイコー」の礎…

第876話 関白・近衛前久の気概

序文・上杉謙信との盟約 堀口尚次 近衞前久(さきひさ)は、戦国時代から江戸時代初期にかけての公卿。官位は従一位・関白、左大臣、太政大臣、准三宮。近衛家17代当主。天文23年に関白左大臣となる。また、藤氏長者(とうしのちょうじゃ)〈藤原氏の代表〉に就…

第875話 カニではない「タラバガニ」

序文・ヤドカリの仲間 堀口尚次 タラバガニは十脚目〈エビ科〉 - 異(い)尾(び)下目〈ヤドカリ下目〉- タラバガニ科 - タラバガニ属に分類される甲殻類の一種。 タラバガニ属はタラバガニを含む5種からなる。 本種はカニではなく、ヤドカリの仲間である〈生物…

第874話 船頭・小栗重吉

序文・海外見聞録 堀口尚次 小栗重吉〈天明5年 - 嘉永6年〉は、江戸時代後期の船頭である。史上最も長期にわたって漂流した人物として知られている。三河国佐久島〈現・愛知県西尾市〉の百姓・善三郎の次男として誕生。後に尾張国半田村〈現愛知県半田市〉の…

第873話 八鹿高校事件に潜むもの

序文・差別撤廃と糾弾 堀口尚次 八鹿(ようか)高校事件は、昭和49年11月22日、兵庫県立八鹿高等学校で、集団下校中の教職員約60名を部落解放同盟の同盟員が学校に連れ戻し約13時間に監禁、暴行し渡り、教師48名負傷、内29名重傷、1名危篤となった事件。 公立…

第872話 松代大本営跡

序文・朝鮮人徴用の問題 堀口尚次 松代(まつしろ)大本営跡は、太平洋戦争末期、日本の政府中枢機能移転のために長野県埴科郡松代町〈現長野市松代地区〉などの山中〈象山、舞鶴山、皆神山の3箇所〉に掘られた地下坑道跡である。 太平洋戦争以前より、海岸か…

第871話 軍神・広瀬武夫

序文・清水次郎長との逸話 堀口尚次 広瀬武夫〈慶應4年 - 明治37年〉は、日本の海軍軍人、柔道家。戦前は軍神として神格化された。 明治37年より始まった日露戦争において旅順港閉塞(へいそく)作戦に従事する。第二回の閉塞作戦において閉塞船福井丸を指揮し…

第870話 祥月命日

序文・仏教供養のしきたり 堀口尚次 命日は、ある人が死亡した日のこと。忌日(きにち)ともいう。対義語は誕生日。死亡した年月日を歿〈没〉年月日(ぼつねんがっぴ)という。 ある人が死亡して後、一年に1日のみ、死亡した月日と全く同じ月日が巡ってくるが、…

第869話 石田三成の盟友・大谷刑部

序文・白頭巾の武将 堀口尚次 大谷吉継(よしつぐ)は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名。豊臣秀吉の家臣で、越前敦賀城主。領地・石高は越前敦賀5万7000石。通称は紀之介、号は白頭。官途(かんと)は刑部少輔(ぎょうぶのしょうゆう)で、大谷刑部…

第868話 軍艦島の生い立ち

序文・炭坑労働争議 堀口尚次 端島(はしま)は、長崎県長崎市〈旧:西彼杵(にしそのぎ)郡高島町〉にある島。通称は軍艦島(ぐんかんじま)。「羽島」とも書いていた。明治時代から昭和時代にかけて海底炭坑によって栄え、日本初の鉄筋コンクリート造の高層集合…

第867話 徳本行者

序文・南無阿弥陀仏 堀口尚次 徳本(とくほん)は、江戸時代後期の浄土宗の僧・念仏聖(ひじり)。俗姓は田伏氏。号は名蓮社号誉。紀伊国日高郡の出身。徳本上人、徳本行者とも呼ばれる。念仏行者として全国を巡錫し、「流行神」と称されるほど熱狂的な支持を集…

第866話 インディアン斥候隊

序文・インディアン噓つかない 堀口尚次 インディアン斥候(せっこう)隊とは、インディアン〈ネイティブ・アメリカン〉で構成されたアメリカ陸軍の斥候部隊。斥候とは、軍事において地上戦闘の際に、敵情・地形などを偵察あるいは秘密裏に監視するために本隊…

第865話 貧困ビジネス

序文・制度の悪用 堀口尚次 貧困ビジネス、通称・弱者ビジネスは、困窮している人の弱みに付け込んで利益をあげる悪質事業。囲い屋〈生活困窮者に対して救済するなどと称して、住居をあっせんする。あっせんした住居を元に、生活保護を申請させる。家賃、弁…

第864話 プロペラ同調装置

序文・戦闘機の秘策 堀口尚次 「プロペラ同調装置」とは、戦闘機のプロペラの後ろから、そのプロペラを撃ち抜かないように機関銃を発射する装置。第一次世界大戦中にドイツのフォッカー社が開発し、フォッカーE.Iに初めて装備された。フォッカーE.I自体は大…

第863話 玄関の三和土

序文・3種類の材料を混ぜる 堀口尚次 三和土(たたき)は、「敲(たた)き土」の略で、赤土・砂利などに消石灰とにがりを混ぜて練り、塗って敲き固めた素材。3種類の材料を混ぜ合わせることから「三和土」と書く。叩き漆喰(しっくい)とも呼ばれる。土間(どま)の…

第862話 B-29を撃墜した「月光」

序文・斜銃の発想 堀口尚次 月光は、日本海軍の夜間戦闘機〈視界の悪い夜間に活動するための装備・能力を持った戦闘機〉。装備された斜銃(しゃじゅう)とは、機軸に対して上方または下方に30度前後の仰角を付けて装備された航空機銃である。利点は敵重爆撃機…