ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

第528話 「虫送り」と「虫供養」

序文・農作と虫は切っても切れない縁 堀口尚次 虫送りは、日本の伝統行事のひとつ。農村において、農作物につく害虫を駆除・駆逐し、その年の豊作を祈願する呪術的行事である。虫追いなど、西日本では実盛(さねもり)送りまたは実盛祭など数多くの別名がある。…

第527話 2代将軍源実朝を暗殺した公暁

序文・源氏の血統の終焉 堀口尚次 公暁(くぎょう)は、鎌倉時代前期の僧侶。鎌倉幕府2代将軍源頼家の次男。幼名は善哉(ぜんざい)。 叔父である第3代将軍源実朝を父の仇として暗殺したが、直後に討ち取られた。公暁は実朝の猶子(ゆうし)〈養子〉であったため、…

第526話 情操教育

序文・体験という財産 堀口尚次 情操教育とは、感情や情緒を育み、創造的で、個性的な心の働きを豊かにするためとされる教育、および道徳的な意識や価値観を養うことを目的とした教育の総称。 情操とは、高い精神活動に伴って起こる感情、情緒より知的で安定…

第525話 芳春院「おまつ様」

序文・江戸屋敷人質のさきがけ 堀口尚次 芳春院(ほうしゅんいん)は、戦国時代から江戸時代初期にかけての女性。加賀国〈石川県〉の戦国大名・前田利家の正室。名はまつ。篠原一計(かずえ)〈織田信秀=信長の父 に仕えた武将〉の娘。戒名は芳春院殿花巖宗富大…

第524話 村木砦の戦い

序文・信長天下統一の序章 堀口尚次 村木砦の戦いは、天文23年1月24日、尾張国で起きた戦い。 天文18年、今川氏が三河国安祥(あんじょう)〈現・安城〉城を占領すると、程なく水野信近(のぶちか)の刈谷城も一時占領されるなど織田氏は苦境に立たされ、遂に織…

第523話 知多半島の烽火台

序文・黒船対策の遺構 堀口尚次 烽火(のろし)とは、物を焼くことで煙を上げ、それを離れたところから確認することによって、情報を伝達する手段である。夜間など煙が見えない場合は、火そのものも使われる。狼煙(のろし)とも書く。特長としては、人や馬が手…

第522話 レッドパージ

序文・マッカーサーの赤狩り 堀口尚次 レッドパージは、連合国軍占領下の日本において、連合国軍最高司令官総司令部〈GHQ/SCAP〉総司令官ダグラス・マッカーサーの指令により、日本共産党員とシンパ〈同調者〉が公職追放された動きに関連して、その前後の期…

第521話 三草二木

序文・雨の恵み 堀口尚次 「法華経‐薬草喩品(ゆほん)」に説くたとえ。「三草(さんそう)」は上草・中草・下草の三、「二木(にもく)」は大樹・小樹で、さまざまの植物が、雨の恵みを等しく受けるように、資質の異なる衆生(しゅじょう)が等しく仏陀(ぶっだ)の教…

第520話 ダイダラボッチ

序文・琵琶湖を掘って富士山にした?! 堀口尚次 ダイダラボッチは、日本の各地で伝承される巨人。類似の名称が数多く存在する。山や湖沼を作ったという伝承が多く、元々は国づくりの神に対する巨人信仰がダイダラボッチ伝承を生んだと考えられている〈鬼や…

第519話 済州島 四・三事件

序文・朝鮮半島の闇 堀口尚次 済州島(チェジュンド)四・三事件は、1948年4月3日に在朝鮮アメリア陸軍司令部政庁支配下にある南朝鮮の済州(さいしゅう)島で起こった島民の蜂起に伴い、南朝鮮国防警備隊、韓国軍、韓国警察、朝鮮半島の李承晩(りしょうばん)支…

第518話 征夷大将軍

序文・朝廷から授かる栄誉職 堀口尚次 征夷大将軍は、朝廷の令外官(りょうげのかん)の一つである。「征夷」は、蝦夷を征討するという意味。鎮守将軍と同格の栄誉職である。 飛鳥時代・奈良時代以来、東北地方の蝦夷征討事業を指揮する臨時の官職は、鎮東将軍…

第517話 名古屋鉄道全路線乗車制覇

序文・地元(愛知県・岐阜県)私鉄の雄 堀口尚次 過日を持ちまして名鉄全線を踏破しました。以下に全路線名と追記事項を列挙します。 ①名古屋本線 豊橋~名鉄岐阜 ②常滑線 神宮前~常滑→名古屋本線の神宮前駅と空港線に接続。 ③空港線 常滑~中部国際空港→常…

第516話 御嶽信仰

序文・修験道の山岳信仰 堀口尚次 御嶽(みたけ)神社は、蔵王権現(ごんげん)を祭った神社。金峰(きんぷ)神社・金峯神社ともいう。総本社は吉野金峰山寺の蔵王権現堂。 修験道の神である蔵王権現を祀る神社は、明治時代の神仏分離のときに、御嶽神社、金峰神社…

第515話 JR東海八事球場跡

序文・センバツ発祥の地 堀口尚次 JR東海八事(やごと)球場は、かつて愛知県名古屋市昭和区にあった野球場。東海旅客鉄道〈JR東海〉が運営管理を行っていたが、平成2年限りで閉鎖、撤去された。 大正11年、当時の名古屋市中区広路町地内に、中区末広町で運…

第514話 大須事件

序文・社会主義者の騒乱と群集心理 堀口尚次 大須事件または大須騒擾(そうじょう)事件とは、昭和27年7月7日に愛知県名古屋市中区大須で警察部隊とデモ隊が激しく衝突した事件。騒乱罪の成立が裁判所で認められた公安事件である。 昭和27年、日本社会党の参議…

第513話 女性天皇と女系天皇

序文・天皇の血筋 堀口尚次 女性天皇は、日本における天皇の位〈皇位〉を継承した女性のこと。歴代の天皇は、初代の神武天皇から第126代の今上天皇〈徳仁〉まで129人〈南北時代の北朝を含む〉の天皇がその位にあり大半は男性であるが、その内8人〈10代〉が女…

第512話 トルハルバン

序文・シンボルになった守護神 堀口尚次 トルハルバンは、韓国の済州島(さいしゅうとう)〈チェジュトウ〉にある石像である。済州島の方言で「石製の爺さん」を意味する。初めて制作されたのは、李氏朝鮮時代1754年頃とされている。トルハルバンという言葉は…

第511話 幻のロケット戦闘機「秋水」

序文・恐るべき日本の技術 堀口尚次 秋水(しゅうすい)は、太平洋戦争中に日本陸軍と日本海軍が共同で開発を進めたロケット局地戦闘機である。ドイツ空軍のメッサーシュミットMe163の資料を基に設計を始めたが、試作機で終わった。 正式名称は試製秋水。海…

第510話 鳴海球場

序文・自動車学校になった野球場 堀口尚次 鳴海(なるみ)球場は、かつて愛知県愛知郡鳴海町〈現在の愛知県名古屋市緑区〉にあった野球場。名古屋鉄道が運営管理を行っていたが、昭和33年限りで閉鎖された。 大正時代末期から昭和時代初期にかけ、日本国内では…

第509話 大正デモクラシーの理論的旗手・雉本朗造

序文・民事訴訟法学の大家 堀口尚次 雉本朗造(きじもとときぞう)は、日本の法学者。専門は民事訴訟法。学位は法学博士。愛知県愛知郡鳴海町笠寺鳴尾〈現・名古屋市緑区〉生まれ。 ドイツで民事訴訟法を学んだ後に帰国し、日本の民事訴訟法を体系化。我が国の…

第508話 折り返し乗車は不正乗車

序文・マナー違反ではなく違法行為 堀口尚次 不正乗車とは、鉄道を初めとする旅客輸送の旅客が、その乗車において、定められた乗車券類を所持せずに運賃・料金を不正に免れようとする行為。 折り返し乗車とは、いったん目的地と逆方向の駅に行って折返し、そ…

第507話 新川開削

序文・江戸時代の偉業 堀口尚次 新川は、愛知県名古屋市とその周辺を流れる庄内川水系の河川。江戸時代に開削された人工河川で、それまで庄内川に流れ込んでいた複数の川の水を名古屋西部からそらし、増水時には、新川洗堰を通じて庄内川の水を迂回させる目…

第506話 広告掲載商品の闇

序文・闇シリーズ⑦ 堀口尚次 以前に回転すしのスシローが、テレビCM商品が品薄という「おとり広告」まがいで公正取引委員会に是正勧告を受け、その後もお詫びのビール半額セールのおそまつ対応や再度の品切れなど、その対応がクローズアップされていた。 …

第505話 通州事件

序文・南京虐殺との関連 堀口尚次 通州(つうしゅう)事件とは、昭和12年に中国の通州〈現:北京市通州区〉において冀東(きとう)防共自治政府〈1935年から1938年まで中国河北省に存在した政権。当時の日本側の公式見解によると、地方自治を求める民衆を背景に…

第504話 天皇陵

序文・前方後円墳 堀口尚次 天皇陵は、天皇の墓。皇室典範第27条により、天皇・皇后・皇太后・太皇太后を葬る所を「陵」、その他の皇太子や親王などの皇族を葬る所を「墓」と定められている。同附則第3項で、当時治定されていた陵及び墓は、第27条の陵及び墓…

第503話 生産緑地

序文・法律のたてつけ 堀口尚次 生産緑地地区とは、都市計画上、農林漁業との調和を図ることを主目的とした地域地区のひとつであり、その要件等は生産緑地法によって定められる。市街化区域内の土地のうち、一定の要件を満たす土地の指定制度〈生産緑地地区…

第502話 東洋のパナマ運河・松重閘門

序文・船の階段 堀口尚次 松重(まつしげ)閘門(こうもん)は、愛知県名古屋市中川区でかつて供用されていた閘門である。1968年に閉鎖され、現在は閘門としては使用されていない。堀川と中川運河とを結び、近代期の名古屋の産業発展を水運面で支えていた遺構で…

第501話 旧逓信省電話装荷線輪用櫓

序文・現存する電話施設遺構 堀口尚次 「旧逓信(ていしん)省電話装荷線輪用(そうかせんりんよう)櫓(やぐら)」は電話施設の一種だ。電話中継のための装荷ケーブルは、地下式と架空式がある。架空式の場合、装荷ケーブルを渡すために、装荷線輪用櫓と木柱が造…

第500話 セブンイレブンは原点に帰れ

序文・供給過多ではないか? 堀口尚次 私が幼少の頃は、コンビニはなかった。コンビニどころかスーパーもなく、母親たちは、市場(いちば)〈〇×センター〉と呼ばれた各商店の集合体のような場所で買い物していた。駄菓子屋は沢山あり、子供のたまり場だった。…

第499話 鯖大師

序文・手に鯖を持ってます 堀口尚次 鯖(さば)大師とは、阿波国を中心として伝わる高僧伝説であり、日本の各地に波及した民間信仰である。 鯖大師の伝説は、次のような話である。 『あるとき、旅の僧が馬に塩鯖を積んだ馬子(まご)〈馬の背中に貨物や人を乗せ…