ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

第799話 神風特攻隊創始者・大西中将の信念

序文・昭和の白虎隊 堀口尚次 大西瀧治郎〈明治24年 - 昭和20年〉は、日本海軍の軍人。海兵40期。神風特別攻撃隊の創始者の一人。終戦時に自決。最終階級は海軍中将。 昭和20年8月16日、渋谷南平台町の官舎にて大西は遺書を残し、「介錯無し」で割腹自決した…

第798話 「ジュリアおたあ」の信心

序文・戦国の世に咲いた花 堀口尚次 ジュリアおたあは、安土桃山時代の朝鮮人女性。文禄・慶長の役〈朝鮮出兵〉の際に日本に連行され、のちにキリスト教に改宗して、現代に伝わる洗礼名「ジュリア」を得て、日本名「たあ」と合わせて「ジュリアおたあ」と呼…

第797話 大命降下

序文・天皇が組閣を命じた 堀口尚次 大命降下とは、天皇が元老(げんろう)や重臣などの助言に基づき、内閣総理大臣候補者に内閣の組織準備を命じること。 明治憲法には内閣総理大臣に関する規定はなく、戦前における内閣総理大臣の地位・職名は内閣職権や内閣…

第796話 人間爆弾「桜花」

序文・特攻兵器 堀口尚次 桜花(おうか)は、日本海軍が太平洋戦争中に開発した特殊滑空機。特攻兵器として開発され、実戦に投入された。 「桜花」は機首部に大型の徹甲爆弾を搭載した小型の航空特攻兵器で、母機に吊るされて目標付近で分離し発射される。その…

第795話 弓の名手・那須与一

序文・平家物語に登場 堀口尚次 那須与一(なすのよいち)は、平安時代末期の武将・御家人。系図上は那須氏二代当主と伝えられる。一般的に宗隆と紹介されることも多いが、家督を相続した後は資隆と名乗ったと伝えられる。治承・寿永の乱において、兄・十郎為…

第794話 釣瓶落とし

序文・秋の日の夕暮れ 堀口尚次 「釣瓶(つるべ)落とし」または「釣瓶下(お)ろし」とは、京都府、滋賀県、岐阜県、愛知県、和歌山県などに伝わる妖怪。木の上から落ちて来て、人間を襲う、人間を食べるなどといわれる。 大正時代の郷土研究資料『口丹波口碑集…

第793話 二人いた「井伊の赤鬼」

序文・血は争えない 堀口尚次 井伊直政は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将・大名。井伊氏第20代当主。上野国高崎藩の初代藩主。後に近江国彦根藩の初代藩主。 徳川氏の家臣〈家臣になった当時は外様〉。遠江国井伊谷の出身で、『柳営秘艦』では榊原…

第792話 大本営政府連絡会議

序文・空洞化した仕組み 堀口尚次 大本営政府連絡会議は、昭和12年11月に設置された、大本営と政府間の協議のための会議である。昭和15年11月に大本営政府連絡懇談会に改称。さらに昭和16年の第三次近衛内閣において再度、大本営政府連絡会議となる。 大本営…

第791話 壷坂霊験記

序文・妻は夫をいたわりつ 堀口尚次 『壺坂霊験記(つぼさかれいげんき)』は、明治時代に作られた浄瑠璃の演目。盲人とその妻の夫婦愛を描いた世話物〈時代物〉、一段。歌舞伎や講談、浪曲の演目にもなり、人気を集めた。『壺坂観音霊験記』『壺坂』とも言う…

第790話 石垣島事件のBC級戦犯

序文・巣鴨プリズン最後の死刑執行 堀口尚次 石垣島事件は、太平洋戦争末期の昭和20年4月15日、沖縄県の石垣島で、海軍警備隊が同日撃墜し捕虜となったアメリカ海軍艦載機の搭乗員3人を殺害した事件。昭和23年にアメリカ軍横須賀裁判で海軍警備隊の関係者ら4…

第789話 公平と平等

序文・機会と結果 堀口尚次 平等とは、偏りや差別が無く、みな等しいこと。公平は、公に平らなこと、すなわち一定の集団において、偏らないということである。人間には、「先に手を出したもの勝ち」とか、偏り、えこひいき、仲間外れなどがつきものである。…

第788話 ネコとマタタビ

序文・酔わせ腰抜けにする 堀口尚次 木天蓼(またたび)は、マタタビ科マタタビ属の落葉慢性木本である。別名夏梅(なつうめ)ともいう。夏に白い花が咲くころに、枝先の葉が白くなるのが特徴。果実は虫こぶができることもある。ネコの好物、鎮痛・疲労回復の薬…

第787話 伝統と動物愛護の狭間で

序文・伝統ある神事 堀口尚次 多度(たど)大社は、三重県桑名市多度町多度にある神社。式内社〈名神大社〉で、旧社格は国幣大社。現在は神社本庁の別表(べっぴょう)神社。三重県では伊勢神宮・二見興玉(ふたみおきたま)神社・椿大神社(つばきおおかみやしろ)…

第786話 中国 台湾 金門県

序文・中国と台湾の狭間で 堀口尚次 金門県(きんもんけん)は、中華民国〈台湾〉の県。中国大陸に近接する大金門島などを領域とする。台湾海峡対岸の台湾に依拠する中華民国の「福建省政府」が置かれているが、1996年から省としての機能を「凍結」している。…

第785話 和製外来語と和製英語

序文・英語圏には通じない 堀口尚次 マッチポンプとは、自らマッチで火をつけておいて、それを自らポンプで水を掛けて消すと言う意味で 偽善的な自作自演の手法・行為を意味する和製外来語である。マッチ〈match〉は元は英語、ポンプ〈pomp〉は元はオランダ…

第784話 満蒙開拓青年義勇軍

序文・昭和の白虎隊 堀口尚次 終戦の日の8月15日の中日新聞に『新聞や雑誌は満蒙開拓青年義勇軍を「昭和の白虎隊」「第二の屯田兵」などと宣伝した。』という記事があった。 満蒙開拓青少年義勇軍とは、日本内地の数え年16歳から19歳の青少年を満州国に開拓…

第783話 野球の「振り逃げ」は正式名称がない

序文・キャッチしてもワンバウンドではダメ! 堀口尚次 振り逃げとは、野球において、捕手が第3ストライクが宣告された投球を正規に捕球できなかった場合に、三振で直ちにアウトになることを免れた打者が一塁への進塁を試みるプレイを指す。この名称は便宜的…

第782話 決死の緑十字飛行

序文・降伏受理の舞台裏 堀口尚次 緑十字飛行とは、太平洋戦争の終戦連絡事務処理のため、昭和20年8月19日から同年10月10日まで日本機で行われていた行為の呼称。また、本航空運行に使用された機体は緑十字機と称される。 昭和20年8月15日のポツダム宣言受諾…

第781話 ジェロニモは酋長ではない

序文・アメリカ先住民 堀口尚次 ジェロニモは、メイティブ・アメリカン、アパッチ族のシャーマン、対白人抵抗戦である「アパッチ戦争」に身を投じた戦士。本名はゴヤスレイ。なお、部族の酋長(しゅうちょう)と誤解されている例も多いが、実際は酋長ではなく…

第780話 凛々しい美青年・北畠顕家

序文・公家であり武士でもある 堀口尚次 北畠顕家(あきいえ)は、鎌倉時代末期から南北朝時代の南朝公卿・武将。『神皇正統記』を著した准三后(じゅさんごう)・北畠親房の長男。主著に『北畠顕家上奏文』。南朝従二位権中納言兼陸奥大介鎮守府大将軍、贈従一…

第779話 公益通報者保護法

序文・密告者ではない 堀口尚次 公益通報者保護法は、一般にいう内部告発を行った労働者〈公益通報を行った本人〉を保護する日本の法律である。2004年6月18日公布、2006年4月1日施行。 内部告発者に対する解雇や減給その他不利益な取り扱いを無効としたもの…

第778話 風林火山

序文・動かざること山の如し 堀口尚次 風林火山は、甲斐の戦国大名・武田信玄の旗指物〈軍旗〉に記されたとされている「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」の通称である。古くは「孫子四如の旗」と呼ばれた。雲峰寺に日の丸の御旗、諏訪神号旗とともに現…

第777話 将棋からきた「成金」

序文・なぜ「ネガティブ・イメージ」になったのか? 堀口尚次 成金(なりきん)とは、将棋において低位の駒が金将に成駒(なりごま)することになぞらえ、急激に富裕になった人〈ヌーヴォーリシュ〉を表す。日本語で、また成り上がり者、出来星(できぼし)とも呼…

第776話 天下一の美人「お市の方」波乱の生涯

序文・信長の妹という矜持 堀口尚次 お市の方は、戦国時代から安土桃山時代にかけての女性。初め近江の戦国大名・浅井長政の継室で、後に織田家重臣の柴田勝家の正室となった。小谷(おだに)の方、小谷殿とも称される。名は通説では「於市」で、「お市姫」〈…

第775話 朝鮮の虎・小礒國昭

序文・獄中で記した自叙伝 堀口尚次 小磯國昭、明治13年 - 昭和25年は、日本の陸軍軍人、政治家。階級は陸軍大将。位階は従二位。勲等は勲一等。功究は功二級。山形県士族。山形県新庄市出身。 陸軍次官、関東軍参謀長、朝鮮軍司令官を歴任後、予備役に編入…

第774話 小便公方・徳川家重

序文・徳川吉宗の傀儡 堀口尚次 徳川家重は、江戸時代中期の江戸幕府の第9代征夷大将軍である。正徳元年、和歌山藩主〈後に征夷大将軍〉徳川吉宗の長男として江戸赤坂の和戸歌山藩邸で生まれる。母は家臣・大久保忠直の娘・須磨子〈深徳院〉。幼名は長福丸。…

第773話 風が吹けば桶屋が儲かる

序文・世の中の繋がり 堀口尚次 風が吹けば桶屋が儲かるとは、日本語のことわざで、ある事象の発生により、一見すると全く関係がないと思われる場所・物事に影響が及ぶことの喩えである。また現代では、その論証に用いられる例が突飛であるゆえに、「可能性…

第772話 原爆を運んだインディアナポリスの最期

序文・極秘任務 堀口尚次 インディアナポリスは、アメリカ海軍のポートランド級重巡洋艦。艦名はインディアナ州インディアナポリスに因む。1945年7月26日にテニアン島へ原子爆弾を運んだ後、7月30日フィリピン海で日本海軍の潜水艦、伊58〈回天特別攻撃隊・…

第771話 「大利根無情」の平手造酒

序文・落ちぶれ果てゝも平手は武士じゃ 堀口尚次 「大利根無情」は、昭和34年6月に発売された三波春夫のシングル。天保15年8月6日、下総国笹川〈現在の千葉県香取郡東庄町笹川〉の大利根河原で起きた「大利根河原の決闘」で、飯岡助五郎との決闘に笹川繁蔵方…

第770話 梅雪斎不白

序文・死去の謎 堀口尚次 穴山信君(あなやまのぶただ)/武田信君は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将。甲斐武田氏の家臣で御一門衆の一人。穴山氏7代当主。 壮年期〈天正8年頃〉に剃髪して梅雪斎不白(ばいせつさいふはく)と号したので、穴山梅雪の名…