ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

歴史

第638話 知多半島に残る日本武尊の伝説

序文・ヤマトタケル伝説 堀口尚次 【寝覚の里】 名古屋市緑区大高に「寝覚の里」という史跡があり、立札には以下の様にある。『ここは、日本武尊(やまとたけるのみこと)と宮簀媛命(みやずひめのみこと)が、新婚のひと時を過ごした館があったと伝えられる所で…

第633話 室町幕府最後の将軍・足利義昭

序文・信長との関係 堀口尚次 足利義昭(よしあき)は、室町幕府の第15代〈最後の〉征夷大将軍。織田信長に擁(よう)されて上洛し、第15代将軍に就任した。その後、信長と対立し、武田信玄や朝倉義景、浅井長政らと呼応して信長包囲網を築き上げる。一時は信長…

第622話 傘連判状の趣旨

序文・首謀者を隠す 堀口尚次 傘(からかさ)連判状とは、室町時代から江戸時代にかけて、一揆などで用いられた円環状の署名形式。多数の者が一致団結して約束を誓うとき,円を書き,そのまわりに放射状に署名して花押(かおう) を書いたもので,その署名連判状…

第614話 青年将校たちが目指した崇高な理念

序文・君側の奸とは何たるや 堀口尚次 今から86年前の昭和11年の2月26日、226事件が勃発した。陸軍青年将校らのテロによるクーデター未遂事件だ。彼らの崇高な理念は、東京都渋谷区〈旧東京陸軍刑務所跡地〉に鎮魂されている。 青年将校の考える国家改造とは…

第613話 守護使不入の目的

序文・治外法権地域設定のねらい 堀口尚次 守護使不入(しゅごしふにゅう)とは、鎌倉時代・室町時代において幕府が守護やその役人に対して犯罪者追跡や徴税のために、幕府によって設定された特定の公領や荘園などに立ち入る事を禁じたこと。守護不入とも。 戦…

第598話 三本の矢の例え・毛利元就

序文・天下を競望せず 堀口尚次 毛利元就は、戦国時代の武将・中国地方(山陰道・山陽道)の戦国大名。毛利氏の第12代当主。安芸吉田荘の国人領主・毛利弘元の次男。毛利氏の本姓は大江氏。正式な姓名は、大江元就。家紋は一文字三星紋。 用意周到かつ合理的…

第583話 家康の伯父・水野信元

序文・織田と松平の狭間で 堀口尚次 水野信元は、天文12年、父・忠政の死去を受け水野宗家の家督を継ぎ、尾張国知多郡東部および三河国碧海郡西部を領した。異母妹に於大の方がおり徳川家康の伯父にあたる。 父・忠政は松平氏とともに今川氏についていたが、…

第580話 於大の方と椎の木屋敷

序文・政略結婚 堀口尚次 水野氏は、戦国時代には三河国刈谷城主であり、徳川家康の母・於大の方〈伝通院〉の実家にあたり、桶狭間の戦い後に家康に仕えた。江戸時代には譜代大名の一つだった。しばしば幕府の老中を出し特に天保の改革の水野忠邦が著名。 水…

第576話 苗木藩の禍根

序文・行き過ぎた廃仏毀釈 堀口尚次 苗木藩は、現在の岐阜県中津川市苗木に存在した、最小の城持ちの藩。居城は苗木城。美濃国の恵那郡の一部と賀茂郡の一部を領地としていた。 藩政においては小藩ゆえの、幕府の相次ぐ手伝い普請や軍役などにより、財政窮乏…

第575話 厭離穢土 欣求浄土

序文・松平家菩提寺 堀口尚次 「厭離穢土(おんりえど) 欣求浄土(ごんぐじょうど)」の言葉は戦国時代、徳川家康の馬印〈戦場や行軍で自分の位置を示したり、味方の士気を鼓舞するため、軍旗のほかに用いた、木や竹などの柄を付けた装飾物〉に用いられたことで…

第574話 大高城と対峙した丸根砦と鷲津砦

序文・桶狭間の戦いの前哨戦 堀口尚次 大高(おおだか)城は、尾張国知多郡大高村〈現在の名古屋市緑区大高町〉にあった日本の城。桶狭間の戦いの前哨戦として、当時今川義元の配下であった松平元康〈後の徳川家康〉が「兵糧入れ」をおこなったことで名高い。…

第572話 松平郷

序文・徳川家のルーツ 堀口尚次 松平郷は、三河国の戦国大名から江戸幕府の将軍家へと発展する松平氏・徳川氏の発祥地の郷である。巴川〈足助(あすけ)川〉東岸の山地の中の小集落で、三河国加茂郡に属し、現在の愛知県豊田市松平町にあたる。一帯に残る館跡…

第571話 徳川家康の継父・久松俊勝

序文・於大の方が再嫁したところ 堀口尚次 久松俊勝は、戦国時代の武将。尾張国知多郡の坂部城主〈阿久比城:愛知県阿久比町卯坂〉。初名は定俊及び長家。徳川家康の生母・伝通院〈於大の方〉の再婚相手として知られる。佐渡守を称した。『東照宮御実紀』巻二…

第570話 征夷大将軍=大樹

序文・岡崎城にほど近い大樹寺 堀口尚次 大樹寺は、愛知県岡崎市鴨田町にある浄土宗の寺院。 徳川氏〈松平氏〉の菩提寺であり、歴代当主の墓や歴代将軍の位牌が安置されている。正式には成道山松安院大樹寺と称する。 応仁元年8月23日、尾張品野、三河伊保の…

第568話 松平元信の正室・築山殿(瀬名姫)

序文・今川と松平のはざまで 堀口尚次 1月8日に始まったばかりの、今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」で登場した「瀬名姫」について調べました。 徳川家康の正室。築山殿の実名は不明である。テレビや小説などでは瀬名(せな)の名があてられるが、当時の…

第564話 松平に翻弄された於大の方

序文・徳川家康の母 堀口尚次 於大(おだい)の方(かた)は、戦国時代から安土桃山時代にかけての女性。岡崎城主松平広忠の正室で、徳川家康の母。晩年は伝通院と称した。 享禄元年、尾張国知多郡の豪族・水野忠政とその妻・華陽院(けよういん)〈於富の方→駿府…

第563話 三河一向一揆

序文・松平家康の苦悩 堀口尚次 三河一向一揆は、戦国時代に三河国の西三河全域で永禄6年から永禄7年まで半年ほど行われた一向一揆である。松平家の支配下にはなく曹洞宗の勢力が強かった東三河は該当しない。現在の安城市野寺の本証(ほんしょう)寺第十代・…

第548話 伊賀氏の変

序文・北条義時毒殺の疑惑 堀口尚次 伊賀氏の変は、鎌倉時代前期の貞応3年6月から閏7月にかけて伊賀氏によって起こった鎌倉幕府の政変。 第2代執権・北条義時の死去に伴い、伊賀光宗とその妹で義時の後妻〈継室〉・伊賀の方が、伊賀の方の実子・政村の執権就…

第545話 鎮西八郎為朝

序文・頼朝の叔父 堀口尚次 源為朝(ためとも)は、平安時代末期の武将。源為義の八男。母は摂津国江口〈現・大阪市東淀川区江口〉の遊女。源頼朝、義経兄弟の叔父にあたる。 『保元物語』によると、身長2mを超える巨体のうえ気性が荒く、また剛弓の使い手で、…

第543話 尼将軍・北条政子

序文・平氏女 堀口尚次 北条政子、平(たいらの)政子は、 鎌倉幕府を開いた源頼朝の御台所(みだいどころ)。子は頼家、実朝、大姫、三幡。周囲の反対を押し切り、伊豆の流人だった頼朝の妻となった。夫の死後に落飾して尼御台(あまみだい)と呼ばれた。頼朝亡き…

第527話 2代将軍源実朝を暗殺した公暁

序文・源氏の血統の終焉 堀口尚次 公暁(くぎょう)は、鎌倉時代前期の僧侶。鎌倉幕府2代将軍源頼家の次男。幼名は善哉(ぜんざい)。 叔父である第3代将軍源実朝を父の仇として暗殺したが、直後に討ち取られた。公暁は実朝の猶子(ゆうし)〈養子〉であったため、…

第524話 村木砦の戦い

序文・信長天下統一の序章 堀口尚次 村木砦の戦いは、天文23年1月24日、尾張国で起きた戦い。 天文18年、今川氏が三河国安祥(あんじょう)〈現・安城〉城を占領すると、程なく水野信近(のぶちか)の刈谷城も一時占領されるなど織田氏は苦境に立たされ、遂に織…

第518話 征夷大将軍

序文・朝廷から授かる栄誉職 堀口尚次 征夷大将軍は、朝廷の令外官(りょうげのかん)の一つである。「征夷」は、蝦夷を征討するという意味。鎮守将軍と同格の栄誉職である。 飛鳥時代・奈良時代以来、東北地方の蝦夷征討事業を指揮する臨時の官職は、鎮東将軍…

第484話 明治の元老・山県有朋

序文・一介の武弁 堀口尚次 山縣有朋(やまがたありとも)、天保9年 - 大正11年は、日本の武士〈長州藩士〉、陸軍軍人、政治家。最終階級・称号は元帥陸軍大将。位階勲等功級爵位は従一位大勲位攻一級侯爵。内務卿〈第9代〉、内務大臣〈初代〉、内閣総理大臣〈…

第482話 朝日平吾と安田善次郎

序文・消された陰徳 堀口尚次 朝日平吾、明治23年 - 大正10年は、日本の政治活動か・右翼・テロリスト。明治の実業家・安田善次郎〈安田財閥の祖〉を暗殺した犯人として知られる。 大正10年、前年3月の戦後恐慌で自身は株で大損し、安田財閥の首領・安田善次…

第459話 平民宰相・原敬

序文・平民初の総理大臣 堀口尚次 原敬(たかし)は、陸奥国岩手郡本宮村〈現:岩手県盛岡市〉出身であり、祖父の原直記は盛岡藩家老、父の原直治は盛岡藩側用人を務めた。 『郵便報知新聞』記者を経て外務省に入省。後に農商務省に移って陸奥宗光や井上馨から…

第452話 不運の二代目・源頼家

序文・祖父の源義朝と同じ入浴中に殺害された運命 堀口尚次 源頼家は、鎌倉時代前期の鎌倉幕府第2代将軍〈鎌倉殿〉。鎌倉幕府を開いた源頼朝の嫡男で母は北条政子〈頼朝の子としては第3子で次男、政子の子としては第2子で長男〉。父・頼朝の死により18歳で家…

第446話 惟喬親王と木地師

序文・「君が代」の君 堀口尚次 惟喬(これたか)親王は、文徳天皇の第一皇子。小野宮を号す。父・文徳天皇は皇太子として第四皇子・惟仁親王〈後の清和天皇〉を立てた後、第一皇子の惟喬親王にも惟仁親王が「長壮〈成人〉」に達するまで皇位を継承させようと…

第424話 判官贔屓の由来

序文・高校野球でも負けてる方を応援してしまう 堀口尚次 判官(ほうがん)贔屓(びいき)とは、第一義には人々が源義経に対して抱く、客観的な視点を欠いた同情や哀惜の心情のことであり、さらには「弱い立場に置かれている者に対しては、あえて冷静に理非曲直…

第421話 阿野全成の哀れ

序文・今若丸こと源隆超 堀口尚次 阿野全成(ぜんじょう)は、平安時代末期から鎌倉時代初期の僧侶で、源義朝の七男。源義経の同母兄、源頼朝の異母弟。7歳の時の平治の乱で父義朝が敗死したため幼くして醍醐寺にて出家させられた。以仁王の令旨が出されたこと…