ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

第997話 機雷爆発事件及び事故

序文・海の地雷の破壊力 堀口尚次 名立機雷爆発事件は、昭和24年、新潟県西頸城郡名立町〈現上越市名立区〉に漂着した機雷の爆発によって、多くの小中学生を含む63人が死亡した事件である。 太平洋戦争終結から4年後の昭和24年3月30日、名立町小泊(こどまり)…

第996話 ういろう

序文・外郎 堀口尚次 ういろう〈漢字表記・外郎〉は蒸し菓子で和菓子の一種。「外良」「ういろ」「うゐろ」「ういらう」などの表記が用いられることもある。外郎餅(ういろうもち)とも言う。 ういろうは、典型的には米粉などの穀粉に砂糖と湯水を練り合わせ、…

第995話 斗南藩士となった元新選組・斎藤一

序文・旧会津藩と運命を共に 堀口尚次 斎藤一(はじめ)〈天保15年 - 大正4年〉は、日本の武士〈新選組隊士〉、警察官。階級は警部。勲等は勲七等青色桐葉章。幕末期に新選組で副長助勤、四番隊組長、三番隊組長、撃剣師範を務める。一時期御陵衛士に入隊。戊…

第994話 孝婦とら

序文・親孝行娘は殿様を動かした 堀口尚次 「三河の金次郎像全調査」という本に接する機会があった。その中に「孝婦とら」という像が紹介されており興味をもった。また、とらの生家あとに「孝婦碑」が建っており、碑文は以下の通りだ。 『虎は三河の国額田郡…

第993話 龍亀大菩薩・お亀さん

序文・大海龍大神の化身 堀口尚次 知多郡南知多町の知多四国霊場・浄土寺に「お亀さん」伝説が伝わる。お寺にある「お亀さん由来記」は以下の通り。 『明治四十二年九月十日、早朝 体重一八〇cm幅一一〇cm重さ約二百kgのアカウミガメが当地の海岸に打…

第992話 荒木村重・謀反の代償

序文・戦国乱世の象徴 堀口尚次 荒木村重は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将・大名。利休十哲の1人である。元亀2年の白井河原の戦いで勝利し、池田氏が仕えていた織田信長からその性格を気に入られて、三好氏から織田家に移ることを許された。 天正…

第991話 刈谷に残る「牛石」伝説

序文・薬師如来のつかい 堀口尚次 愛知県刈谷市の松雲院の墓地片隅に「牛石(うしいし)」伝説の碑と「頭と胴といわれる二つの石」が残る。元々は少し北西の薬師堂境内にあったが、薬師堂廃止と共にこちらに移されたようだ。 西三河と知多半島北東地区近辺の昔…

第990話 長州藩の祖・毛利輝元

序文・神格化された藩祖 堀口尚次 毛利輝元は、戦国時代後期〈安土桃山時代〉から江戸時代前期にかけての武将・大名。安芸の戦国大名・毛利氏の14代当主。豊臣政権五大老の一人であり、関ケ原の戦いでは西軍の総大将となった。長州藩の藩祖でもある。 天文22…

第989話 異端の翼「震電」

序文・水平尾翼がない 堀口尚次 震電(しんでん)は、第二次世界大戦末期に大日本帝国海軍が試作した局地戦闘機である。前翼型の独特な機体形状を持つため「異端の翼」と呼ばれた。最高速度400ノット〈約740 ㎞/h〉以上の高速戦闘機の計画で、昭和20年6月に試…

第988話 木戸番

序文・非人身分 堀口尚次 木戸番(きどばん)は、江戸時代に江戸・京都・大坂をはじめとする城下町で町ごとに作られた木戸の番人。 江戸をはじめ、多くの城下には木戸が設けられており、夜は閉じられることになっていた。その木戸にはそれぞれ「番太郎」または…

第987話 無主地

序文・領土問題 堀口尚次 無主地(むしゅち)とは、所有者の定まっていない土地のことである。主に国際法と日本史の分野で用いられるが、その土地に対する法律などは大変複雑である。 国際法における無主地は、どの国にも領有されていない土地を指す。国際法に…

第986話 璽光尊事件

序文・双葉山が暴れた 堀口尚次 璽光尊(じこうそん)事件とは、昭和22年に石川県金沢市で発生した事件である。昭和21年秋ごろより新宗教の「璽宇(じう)」は、石川県金沢市に本拠地を構えた。璽宇は璽宇尊〈本名・長岡良子〉が主宰する宗教団体である。 昭和21…

第985話 東海道中膝栗毛

序文・弥次喜多 堀口尚次 『東海道中膝栗毛(ひざくりげ)』は、享和2年から11年にかけて初刷りされた、十返舎一九(じっぺんしゃいっく)の滑稽本である。「栗毛」は栗色の馬。「膝栗毛」とは、自分の膝を馬の代わりに使う徒歩旅行の意である。 人気作品となり…

第984話 サクラ(おとり)

序文・他人につられる心理学 堀口尚次 サクラとは、イベント主催者や販売店に雇われて客や行列の中に紛れ込み、特定の場面やイベント全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を偽装したりする者を指す隠語。当て字で偽客とも書く。 本来は江戸時代に…

第983話 タコメーターとレッドゾーン

序文・今や死語 堀口尚次 タコメーター〈アメリカ英語、回転速度計〉は、機器において軸の回転数〈回転速度〉を指示する計器、測定器であり、回転計の一種。「タコメーター」はアメリカ英語: tachometerの日本語表記。tacho〈タコ〉とは速度を意味するギリシ…

第982話 石田三成の旗印

序文・三成の矜持 堀口尚次 石田三成は、安土桃山時代の武将・大名。豊臣家家臣。豊臣政権の奉行として活動し、五奉行のうちの一人となる。豊臣秀吉の死後、徳川家康打倒のために決起して、毛利輝元ら諸大名とともに西軍を組織したが、関ケ原の戦いにおいて…

第981話 小型ボート型特殊兵器「震洋」

序文・ここにもあった特攻隊 堀口尚次 震洋(しんよう)は、太平洋戦争で日本海軍が開発・使用した特殊兵器〈小型特攻ボート〉。構造が簡単で、大量生産された。 震洋は、日本海軍が太平洋戦争中盤以降に開発・実戦投入した特攻兵器。 小型のベニヤ板製モータ…

第980話 黒野城主・加藤貞泰の転付の原因

序文・転勤族 堀口尚次 加藤貞泰(さだやす)は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将・大名。美濃国黒野藩主、伯耆国米子藩主、伊予国大洲藩初代藩主。 慶長5年の関ケ原の戦いにおいては、当初石田三成に従い、その要請を受けて尾張犬山城を守備した…

第979話 無政府主義者・大杉栄

序文・アナキズム 堀口尚次 大杉栄〈明治18年 - 大正12年〉は、日本の無政府主義者、思想家、作家、シャーナリスト、翻訳家、社会運動家。自由恋愛主義者でもあった。 名古屋陸軍地方幼年学校では武道に熱中するあまり学業の成績は良からぬ点があり、学校内…

第978話 織部焼の古田重然

序文・千利休の後継者 堀口尚次 古田重然(しげなり)は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将、大名、茶人、芸術家。古田織部(おりべ)の通称で知られる。南山城・東大和1万石の大名。官位は従五位下・織部助〈官職名〉。豊臣秀吉・徳川家康の茶頭、徳川秀…

第977話 「年魚市潟」と「あゆち水」

序文・愛知県と「あゆち」 堀口尚次 年魚市潟(あゆちがた)とは、かつて現在の愛知県名古屋市の大半が海や干潟だった頃、鳴海から熱田にかけての干潟の名称。 古代の尾張国南東部〈現在の愛知県名古屋市熱田区から南区にかけての地域〉は「年魚市(あゆち)」と…

第976話 八幡神と八幡大菩薩

序文・南無八幡大菩薩 堀口尚次 八幡神(はちまんしん)は、日本で信仰される神で、清和源氏、桓武平氏など全国の武家から武運の神〈武神〉「弓矢八幡」として崇敬を集めた。誉田別命(ほんだわけのみこと)とも呼ばれ、応神天皇と同一とされる。また早くから神…

第975話 沈勇・佐久間勉

序文・職責を全う 堀口尚次 佐久間勉(つとむ)〈明治12年-明治43年〉は、大日本帝国海軍軍人。最終階級は大尉。艇長として事故で殉職し、修身科教科書にも掲載された。滋賀県三方郡前川村〈現:福井県三方上中郡若狭町北前川〉出身。第六潜水艇が訓練中に事故…

第974話 神仏習合の妙見菩薩

序文・お寺に鳥居 堀口尚次 妙見(みょうけん)菩薩は、北極星または北斗七星を神格化した仏教の天部の一つ。尊星王(そんしょうおう)、妙見尊星王、北辰(ほくしん)菩薩などとも呼ばれる。 妙見信仰は、インドで発祥した菩薩信仰が、中国で道教の北極星・北斗七…

第973話 倶利伽羅峠の戦い「火牛の計」

序文・創作に火がついた 堀口尚次 倶利伽羅峠(くりからとうげ)の戦い、または、砺波山(となみやま)の戦いは、平安時代末期の寿永2年に、越中・加賀国の国境にある砺波山の倶利伽羅峠〈現富山県小矢部市-石川県河北郡津幡町〉で源義仲軍と平維盛(これもり)率…

第972話 堀尾金助と母の裁断橋

序文・母の思い 堀口尚次 堀尾金助は、安土桃山時代の武士。天正元年出生。堀尾吉晴〈豊臣政権三中老の一人〉の子、若しくは堀尾方泰の子とされるが続柄には異説がある。天正18年の豊臣秀吉の小田原征伐に吉晴と共に参戦したが、6月12日に陣中で死去した。享…

第971話 念仏を唱えて父に斬られた源朝長

序文・親子の無常 堀口尚次 源朝長(ともなが)は、平安時代末期の武将。源義朝の次男。母は波多野義通の妹。源頼朝・義経の異母兄。相模国松田郷を領して松田冠者(まつだのかじゃ)と号した。また、松田殿とも呼ばれた。父や兄弟とともに平治の乱で平清盛らと…

第970話 オロナインとオロナミン

序文・オロナイトから 堀口尚次 オロナインH軟膏(なんこう)は、大塚製薬工場が製造、大塚製薬が販売する皮膚用抗菌軟膏材薬〈第二種医薬品〉である。 オロナインの原点となったのはアメリカ合衆国の製薬会社・オロナイトケミカルが製造した殺菌用消毒剤であ…

第969話 笏

序文・元々はカンニングペーパーだった? 堀口尚次 笏(しゃく)とは、日本において束帯の着用の際、右手に持つ細長い板である。 中国では官人が備忘(びぼう)〈忘れたときのためにあらかじめ用意しておくこと〉として書きつけをするための板であったとされてい…

第968話 源氏塚と源義朝伝説

序文・源義朝の逃避足跡を追う 堀口尚次 愛知県海部(あま)郡蟹江町に「源氏塚」なる史跡がある。町のホームページによると『この辺りは平安時代の末期ころ広々とした海でところどころに島が点在していました。平治元年都では平治の乱が起こり平清盛に敗れた…