ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

第949話 一遍上人と「飲む護符・千枚通し」

序文・各地の寺院に広まった「千枚通し」 堀口尚次 一遍(いっぺん)〈延応元年 - 正応2年〉は、鎌倉時代中期の僧侶。時宗(じしゅう)の開祖。全国各地で賦算(ふさん)と呼ばれる「念仏札」を渡し、踊りながら南無阿弥陀仏と唱える「踊念仏」を行った。徹底的に…

第948話 知多半島に残る渋谷金王丸伝説

序文・源義朝の敵討ち 堀口尚次 土佐坊昌俊(とさのぼうしょうしゅん)は、平安時代末期の僧兵・武将。大和国興福寺金剛堂の堂衆で、年貢問題で大和国針の庄の代官を夜討ちにしたことから、大番役として上洛していた土肥実平(さねひら)に預けられる。実平に伴…

第947話 義兄の信長を裏切った浅井長政

序文・真相は闇の中 堀口尚次 浅井長政は、戦国時代の武将。北近江の戦国大名。浅井氏の3代目にして最後の当主。 浅井氏を北近江の戦国大名として成長させ、北東部に勢力をもっていた。妻の兄の織田信長と同盟を結ぶなどして、浅井氏の全盛期を築いたが、後…

第946話 源氏名

序文・昔の名前で出ています 堀口尚次 源氏名とは、『源氏物語』にちなんで女性に付けられた〈あるいは女性が名乗った〉名前のことである。源氏名を歴史的に見ると、元来は『源氏物語』の巻名で、最初は名歌の題材や投扇興(とうせんきょう)の点数の名称に使…

第945話 波乱万丈の東久邇宮稔彦王

序文・戦後処理内閣総理大臣 堀口尚次 東久邇宮稔彦王(ひがしくにのみやなるひこおう)〈明治20年 - 平成2年〉、のち東久邇稔彦は、日本の旧皇族、政治家、陸軍軍人。最終階級は陸軍大将。位階勲等功級は従二位大勲位功一級。第二次世界大戦後、終戦処理内閣…

第944話 骨仏の寺・一心寺

序文・人骨で作った阿弥陀如来 堀口尚次 一心(いっしん)寺は、大阪市天王寺区にある浄土宗の寺院。山号は坂松(ばんしょう)山。本尊は阿弥陀如来。骨仏(こつぶつ)〈遺骨を使って作られた仏像〉の寺としてよく知られている。天王寺公園に隣接した上町大地の崖…

第943話 「大風呂敷」の後藤新平

序文・無政府主義者との親交 堀口尚次 後藤新平〈安政4年- 昭和4年〉は、日本の医師、官僚・政治家。位階勲等爵位は正二位勲一等伯爵。 台湾総督府民政長官。南満州鉄道〈満鉄〉初代総裁。逓信大臣、内務大臣、外務大臣。東京市第7代市長、ボーイスカウト日…

第942話 菅原道真の孫「英比磨」伝説

序文・末裔は於大の方の再嫁先の久松家 堀口尚次 菅原雅規(まさのり)は、平安時代中期の貴族。右大臣・菅原道真(みちざね)の孫で大学頭(だいがくのかみ)・菅原高視(たかみ)の子。官位は従四位上・山城守。幼名を久松麿(ひさまつまろ)。英比殿(あぐいどの)〈…

第941話 和風メッサー「三式戦闘機・飛燕」

序文・液冷戦闘機 堀口尚次 三式戦闘機「飛燕(ひえん)」は第二次世界大戦時の大日本帝国陸軍の戦闘機である。開発・製造は川崎航空機が行い、昭和18年に制式採用された。設計主務者は土井武夫、副主任は大和田信である。 当時の日本で唯一の量産液冷戦闘機で…

第940話 大奥を整備した春日局

序文・老中を上回る権力 堀口尚次 春日局(かすがのつぼね)/斎藤福(ふく)〈天正7年 - 寛永20年〉は、安土桃山時代から江戸時代前期の江戸幕府3代将軍・徳川家光の乳母。「春日局」とは朝廷から賜った称号である。父は美濃国の名族・斎藤氏〈美濃守護代〉の一…

第939話 松平信綱の忠義

序文・二君にまみえず 堀口尚次 松平信綱(のぶつな)は、江戸時代前期の大名で武蔵国忍藩主、同川越藩藩主。老中。官職名入りの松平伊豆守信綱の呼称で知られる。 慶長8年9月3日、将軍世子の徳川秀忠に、11月には正綱に従って伏見城に赴き、11月15日に徳川家…

第938話 知多半島に残る前田利家伝説

序文・加賀百万石の祖と知多半島の縁 堀口尚次 前田利家は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将・大名。加賀藩主・前田氏の祖。豊臣政権の五大老の一人。俗に「加賀百万石の祖」とも称されるが、実際に前田家が百万石を超えるのは利長・利常ら利家の息…

第937話 名古屋・大須・万松寺

序文・織田家と徳川家にゆかり 堀口尚次 萬松寺(ばんしょうじ)〈万松寺〉は、愛知県名古屋市中区大須にある単立〈無宗派〉の寺院。 山号は亀嶽林(きがくりん)。本尊は十一面観世音菩薩。織田信長や徳川家康をはじめとする戦国武将との縁が深く、名古屋の歴史…

第936話 紫衣事件

序文・朝廷VS幕府 堀口尚次 紫衣(しえ)事件は、江戸時代初期における、江戸幕府の朝廷に対する圧迫と統制を示す朝幕間の対立事件。江戸時代初期における朝幕関係上、最大の不和確執とみなされる事件。 また、後水尾(ごみずのお)天皇はこの事件をきっかけに…

第935話 寝返った小早川秀秋

序文・二十歳の若者 堀口尚次 小早川秀秋は、安土桃山時代の武将、大名。丹波国亀山城城主、筑前国名島城主を経て備前国岡山城主。 豊臣秀吉の正室・高台院〈北政所〉の甥。小早川隆景の養子となった。関ケ原の戦いで東軍に寝返り、東軍勝利の契機をつくった…

第934話 パンタロンは死語

序文・フランス語でパンツ 堀口尚次 ベルボトムとは、衣服のうち、ズボンのデザインの一種。またそのようなデザインのズボンそのものを指す。脚の筒の形が、腰から膝までは身体にフィットし、膝から裾に向かって広がっているものである。金管楽器のベルの形…

第933話 たらい回し

序文・元々は曲芸 堀口尚次 たらい回しとは、たらいを足などで回す曲芸。転じて、物事を次から次へと送りまわすこと、面倒な案件や関わりたくない案件を、部署間で押し付け合う責任逃れ〈俗に言う「責任のなすり合い」〉や責任転嫁、その他一部の組織・派閥…

第932話 岡っ引

序文・幕府非公認 堀口尚次 岡っ引(ぴき)は、江戸時代の町奉行所や火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)など、警察機能の末端を担った非公認の協力者を指す俗称である。 奉行所から十手を授かる少数の正式な十手持ちは“小者”と呼ばれ、大多数を占める定…

第931話 火盗改

序文・特別捜査官 堀口尚次 火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)は、江戸時代に主に重罪である火付け〈放火〉、盗賊〈押し込み強盗団〉、賭博を取り締まった役職。本来、臨時の役職で、幕府常備軍の御先手弓・筒之頭から選ばれた。御先手頭の職務との…

第930話 鬼平犯科帳のモデル「長谷川宣以」

序文・人足寄場創設 堀口尚次 長谷川宣以(のぶため)は、江戸時代中期の旗本。寛政の改革期に火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)を務め、人足寄場を創設した。通称は平蔵。 長谷川平蔵の名は、池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』の主人公「鬼平」として、…

第929話 築城名人・藤堂高虎

序文・餅の縁故 堀口尚次 藤堂高虎(とうどうたかとら)は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将・大名。伊予今治藩主、後に伊勢津藩の初代藩主となる。津藩藤堂家〈藤堂家宗家〉初代。黒田孝高、加藤清正と並び、「築城三名人」の一人と称される。数多く…

第928話 日本初の純国産ジェット機「橘花」

序文・幻のジェット戦闘機 堀口尚次 橘花(きっか)は、第二次世界大戦末期に大日本帝国海軍が開発した双発ジェット戦闘攻撃機。日本初の純国産ジェット機である。エンジン開発は主に空技廠(しょう)〈海軍航空技術廠〉が担当し、機体を中島飛行機が開発製造。 …

第927話 御用組合

序文・本末転倒 堀口尚次 御用組合は、雇傭者〈使用者〉側が実権を握っている労働組合を指す。欧米や中国の訳語にもあるように俗に黄色(おうしょく)組合と呼ばれる。御用組合は国際労働機関98号条約に違反する。対義語は紅色(こうしょく)組合。 本来、被用者…

第926話 五木の子守唄

序文・子供が赤ちゃんの子守り 堀口尚次 五木の子守唄は、熊本県球磨郡五木村に伝わる子守唄である。子守唄には子守女がみずからの貧しく恵まれない薄幸な境遇〈年貢代わりに働かされる〉を嘆き、悲しい日々の生活心情を基盤に、この種の子守唄は伝承されて…

第925話 大祓と茅の輪くぐり

序文・神道儀式 堀口尚次 大祓(おおはらえ)は、日本の神道儀式の祓の1つ。祓は浄化の儀式として宮中や神社で日常的に行われるが、特に天下万民の罪穢(つみけがれ)を祓うという意味で大祓という。毎年6月と12月の晦日(みそか)〈月の最終日〉、すなわち、新暦6…

第924話 敵に塩を送った上杉謙信

序文・義の武将 堀口尚次 上杉謙信は、戦国時代に越後国〈現在の新潟県〉など北陸地方を支配した武将・大名。江戸時代から現代に至るまで私利私欲に拘泥(こうでい)〈こだわる〉しない「義の武将」という印象が強い。一方で、現代では利害を冷徹に判断しなが…

第923話 目には青葉 山ほととぎす はつ鰹

序文・夏の季語満載 堀口尚次 山口素堂(そどう)〈寛永19年 - 享保元年〉は、江戸時代前期の俳人である。本名は信章。幼名は重五郎、通称は勘〈官〉兵衛、あるいは市右衛門。字は子普、公商。 生まれは甲斐国巨摩郡上教来石村〈現・北社市、旧北巨摩郡白州町…

第922話 稲葉騒動

序文・明治期の農民一揆 堀口尚次 稲葉騒動とは、明治2年12月20日夜から12月24日にかけて、尾張国西部一帯〈稲沢・一宮・津島の133村〉で起こった農民一揆である。発端が美濃路の稲葉宿であったことから稲葉騒動と呼ばれた。禅源寺〈三代将軍徳川家光の上洛…

第921話 大和雪原

序文・南極に日章旗を掲揚 堀口尚次 大和雪原(やまとゆきはら)は、南極探検家・白瀬矗(のぶ)が命名した南極の地域名。白瀬は明治45年1月、開南丸〈南極探検に使用された船・命名は東郷平八郎〉にてロス棚氷(たなごおり)〈陸上の氷河または氷床が海に押し出さ…

第920話 国府

序文・国府宮はだか祭 堀口尚次 国府(こう)は、日本の奈良時代から平安時代に、律令国の国司が政務を執る施設〈国庁〉が置かれた都市。 国府付近には国庁のほかにも国分寺・国分尼寺、総社〈惣社〉が設置され、各国における政治的中心都市であるとともに司法…