ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

江戸時代

第1036話 松尾芭蕉忍者説

序文・伊賀上野出身 堀口尚次 松尾芭蕉〈寛永21年 - 元禄7年〉は、江戸時代前期の俳諧師。伊賀国阿拝郡(あはいぐん)〈現在の三重県伊賀市〉出身。幼名は金作。通称は甚七郎、甚四郎。名は忠右衛門、のち宗房(むねふさ)。俳号としては初め宗房(そうぼう)を称…

第988話 木戸番

序文・非人身分 堀口尚次 木戸番(きどばん)は、江戸時代に江戸・京都・大坂をはじめとする城下町で町ごとに作られた木戸の番人。 江戸をはじめ、多くの城下には木戸が設けられており、夜は閉じられることになっていた。その木戸にはそれぞれ「番太郎」または…

第932話 岡っ引

序文・幕府非公認 堀口尚次 岡っ引(ぴき)は、江戸時代の町奉行所や火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)など、警察機能の末端を担った非公認の協力者を指す俗称である。 奉行所から十手を授かる少数の正式な十手持ちは“小者”と呼ばれ、大多数を占める定…

第671話 鬼平犯科帳のモデル・長谷川宣以

序文・今大岡 堀口尚次 長谷川宣以(もぶため)は、江戸時代中期の旗本。寛政の改革期に火付盗賊改役(ひつけとうぞくあらためかた)を務め、人足寄場〈軽罪人・虞犯(ぐはん)者の自立支援施設〉を創設した。通称は平蔵(へいぞう)。長谷川平蔵の名は、池波正太郎…

第644話 人は一代 名は末代

序文・侠客の元祖 堀口尚次 幡随院(ばんずいいん)長兵衛(ちょうべえ)〈元和8年 - 慶安3年、明暦3年とも〉は、江戸時代前期の町人。町奴の頭領で、日本の侠客の元祖ともいわれる。『極付幡随長兵衛』など歌舞伎や講談の題材となった。本名は塚本伊太郎。妻は…

第629話 財政再建の神様・山田方谷

序文・尽己 堀口尚次 山田方谷(ほうこく)は、幕末期の儒家・陽明学者、備中松山藩士。江戸時代の藩財政の立て直しで有名なのは、米沢藩の上杉鷹山だが、鷹山は藩主主導で50年以上をかけて取り組んでいるが、山田方谷の藩政改革は、10万両〈約600憶〉の借金…

第626話 浅野内匠頭と吉良上野介の因縁

序文・外様大名vs高家旗本 堀口尚次 浅野長矩(ながのり)は、江戸城本丸大廊下〈通称松の廊下〉における吉良義央に対する刃傷とそれに続く赤穂事件で広く知られる。浅野長矩は、播磨赤穂藩の第3代藩主。官位は従五位下・内匠頭。官名から浅野内匠頭(たくみの…

第624話 地元の名君・吉良上野介の黄金堤の伝承

序文・地元としては忠臣蔵の悪役で終わらしたくない 堀口尚次 黄金堤(こがねつつみ)は、愛知県西尾市吉良町にある江戸時代に造られた堤防のことである。元々は「小金堤」という漢字が当てられていた。伝承から別名「一夜堤」と呼ばれ、現在は桜の名所となっ…

第623話 内助の功・見性院

序文・良妻賢母 堀口尚次 見性院(けんしょういん)は、戦国時代から江戸時代にかけての女性で、土佐藩初代藩主山内一豊の正室である。本名は「千代」とも「まつ」ともいわれるが、定かではない。夫に馬を買わせるために大金を差し出した話や、笠の緒文などの…

第611話 失意の瑤泉院の心中はいかに

序文・落飾した大名の正室の立場 堀口尚次 瑤泉院(ようぜんいん)は、江戸時代中期の女性。赤穂事件で知られる赤穂藩主浅野長矩の正室。名は阿久里(あぐり)。夫の死後、落飾して瑤泉院と称した。初代備後国三次藩主の浅野長治の三女。父の死後、その跡を継い…

第610話 非理法権天

序文・法は道理に優越する 堀口尚次 非理法権天(ひりほうけんてん)は、近世日本の法観念を表しているとされる法諺(ほうげん)〈法律に関する格言やことわざ〉。 江戸時代中期の故実家伊勢貞丈が遺した『貞丈家訓』には、「無理〈非〉は道理〈理〉に劣位し、道…

第569話 徳川(松平)と竹千代

序文・14名いた竹千代 堀口尚次 始まったばかりのNHKの大河ドラマ「どうする家康」でいきなり疑問がわいた。徳川家康の幼少名が「竹千代」なのは周知のことだったが、家康の長男・松平信康も竹千代と呼ばれているではないか!調べてみると、安祥松平家及…

第565話 上杉鷹山と吉良上野介の関係

序文・格式が贅沢を助長したのか 堀口尚次 米沢藩の4代藩主上杉綱憲(つなのり)は、旗本〈高家肝煎(きもいり)=公家接待の最高職〉吉良上野介義央(よしひさ)の実子〈長男〉で、上杉家に養子入りする。綱憲の孫にあたる8代藩主上杉重定に世継ぎがなく、婿養子…

第525話 芳春院「おまつ様」

序文・江戸屋敷人質のさきがけ 堀口尚次 芳春院(ほうしゅんいん)は、戦国時代から江戸時代初期にかけての女性。加賀国〈石川県〉の戦国大名・前田利家の正室。名はまつ。篠原一計(かずえ)〈織田信秀=信長の父 に仕えた武将〉の娘。戒名は芳春院殿花巖宗富大…

第507話 新川開削

序文・江戸時代の偉業 堀口尚次 新川は、愛知県名古屋市とその周辺を流れる庄内川水系の河川。江戸時代に開削された人工河川で、それまで庄内川に流れ込んでいた複数の川の水を名古屋西部からそらし、増水時には、新川洗堰を通じて庄内川の水を迂回させる目…

第426話 福助人形の生い立ち

序文・江戸の商売人の鏡 堀口尚次 福助人形は、幸福を招くとされる縁起人形。正座をした男性で、大きな頭とちょんまげが特徴。頭が大きな人の比喩にも用いられる。 元々は、文化元年頃から江戸で流行した福の神の人形叶(かのう)福助。願いを叶えるとして茶屋…

第425話 旗本奴と奴凧と冷奴

序文・江戸官僚の馬鹿息子が始めた 堀口尚次 旗本奴(やっこ)は、江戸時代前期の江戸に存在した、旗本の青年武士やその奉公人、およびその集団、かぶき者である。派手な異装をして徒党を組み、無頼をはたらいた。代表的な旗本奴は、水野十郎左衛門。代表的な…

第422話 日ロ友好の魁・高田屋嘉兵衛

序文・水面下での民間人の活躍 堀口尚次 高田屋嘉兵衛(かへえ)は、江戸時代後期の廻船業者、海商である。淡路島で生まれ、兵庫津に出て船乗りとなり、後に廻船商人として蝦夷地・箱館に進出する。国後島・択捉島間の航路を開拓、漁場運営と廻船業で巨額の財…

第420話 高家肝煎の旗本・吉良上野介

序文・官位が高い旗本 堀口尚次 吉良義央(きらよしなか)は、江戸時代前期の高家(こうけ)〈儀式や典礼を司る役職〉旗本〈高家肝煎(きもいり)=高家の上位〉。元禄赤穂事件の中心人物の一人として著名。題材をとった創作作品『忠臣蔵』では敵役として描かれる…

第412話 武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり

序文・武士は食わねど高楊枝 堀口尚次 武士道とは、日本の近世以降の封建社会における武士階級の倫理・道徳規範及び価値基準の根本をなす、体系化された思想一般をさし、広義には日本独自の常識的な考え方を指す。ただし明確な定義は無く、時代のほか、身分…

第411話 異例の出世「側用人・柳沢吉保」

序文・旗本最高位 堀口尚次 柳沢吉保(よしやす)は、江戸時代前期の幕府側用人・譜代大名。第5代将軍徳川綱吉の寵愛を受けて、元禄時代には大老格として幕政を主導した。王朝文化への憧憬(しょうけい)を強く抱いた文化人でもあり、江戸に六義園(りくぎえん)を…

第407話 御附家老の本音と建前

序文・社外取締役 堀口尚次 御附家老(おつけかろう)は、江戸幕府初期、将軍家の連枝(れんし)〈親戚〉を大名として取り立てた際に、特に将軍から直接の命令を受けてその者の家老に附属された家臣のことをいう。江戸時代には、将軍から附けられたことから「御…

第406話 参勤交代した旗本

序文・大名ではないが参勤交代した 堀口尚次 交代寄合(こうたいよりあい)は、江戸幕府における旗本の家格の一つ。広義の寄合(よりあい)〈3,000石以上の上級旗本無役者・布衣(ほい)=旗本下位の衣装 以上の退職者〉に含まれる。江戸定府(じょうふ)〈在住〉の…

第405話 参勤交代

序文・した~に した~に 堀口尚次 参勤交代とは、江戸時代において各藩の藩主である大名や交代寄合(よりあい)〈旗本の家格の一つで広義の寄合に含まれる。江戸定府(じょうふ)〈定住〉の旗本寄合に対して、所領に住み江戸へ参勤交代を行う寄合〉を交替で江戸…

第390話 大岡忠相こと「大岡越前」

序文・越前とは何のかかわりもない愛知県岡崎の藩主 堀口尚次 大岡忠相(ただすけ)は、江戸時代中期の幕臣・大名。大岡忠世家の当主で、西大平藩〈現愛知県岡崎市〉初代藩主。8代将軍・徳川吉宗が進めた享保の改革を町奉行として支え、江戸の市中行政に携わっ…

第389話 遠山景元こと「遠山の金さん」

序文・老中水野忠邦に睨まれる 堀口尚次 遠山景元(かげもと)は、江戸時代の旗本。幼名は通之進、通称は実父と同じ金四郎。官位は従五位下(じゅごいのげ)左衛門少尉(さえもんしょうじょう)。管職は、江戸北町奉行、大目付、後に江戸南町奉行。テレビドラマ〈…

第332話 堀直虎の義

序文・諫死という選択 堀口尚次 堀直虎は、江戸時代末期〈幕末〉の大名。信濃須坂藩の第13代藩主。信濃須坂家13代。1万石の小藩であり、しかも外様大名でありながら譜代大名に準ずる待遇を求めたが受け入れられなかった。しかしながら直虎は、家老ら41人を粛…

第264話 徳川氏の母体・松平氏

序文・葵の御門は松平の証 堀口尚次 松平氏は、室町時代に興った三河国加茂郡松平郷〈愛知県豊田市松平町〉の在地の小豪族であり、後に江戸幕府の征夷大将軍家となった徳川氏の母体である。室町時代は伊勢氏の被官(ひかん)〈下級役人〉として活躍した。江戸…

第242話 明治維新前からあった廃仏毀釈

序文・神仏分離が拡大解釈されてしまった 堀口尚次 「廃仏毀釈」とは、大政奉還後に成立した新政府により、慶応4年に発せられた太政官布告〈通称「神仏分離令」〉、および明治3年に出された詔書「大教宣布」などの政策を拡大解釈し、暴走した民衆をきっかけ…

第238話 東照大権現・神様になった徳川家康

序文・日光東照宮に祀られたのは家康の遺言だった 堀口尚次 権現(ごんげん)は、日本の神の神号の一つ。日本の神々を仏教の仏や菩薩が仮の姿で現れたものとする本地垂迹思想による神号である。権という文字は「権大納言」などと同じく「臨時の」「仮の」とい…