ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧

第1223話 間部の青鬼

序文・青鬼と赤鬼 堀口尚次 間部詮勝(まなべあきかつ)は、江戸時代後期の大名。越前鯖江藩第7代藩主。間部家8代。幕末に老中首座を務めた。 文化元年2月19日、間部詮熙の五男として江戸の鯖江藩邸で生まれる。幼名は鉞之進(えつのしん)。 文化11年に鯖江藩主…

第1222話 連立政権

序文・連立ちゃんぽん 堀口尚次 連立政権とは、複数の政党で政権を担当すること。また、内閣が複数の政党から成り立つ事を連立内閣と呼ぶ。ただし、第2次橋本内閣のように組閣は自民党単独であるが、閣外協力の形で、社民党、新党さきがけのような政党が、連…

第1221話 政教分離

序文・宗教と国家の関わり 堀口尚次 江戸時代の日本では、幕府が仏教の寺社勢力に介入統制し支配に利用する方針が徹底され、仏教は民衆の教化のみ役割を担わされ宗論は厳しく制限された。儒教と神道の習慣は尊重され、神道のなかで論じられた廃仏論は明治初…

第1220話 蛇池と若き日の信長

序文・織田信長伝説 堀口尚次 蛇池(じゃいけ)神社は、愛知県名古屋市西区にある神社。 正式名称は「龍神社」であるが、「蛇池」と呼ばれる池のほとりに拝殿が建てられていることに依る通称の方が知られている。 かつてこの池は現在よりも大きかったと伝わっ…

第1219話 首実験

序文・論功行賞の証 堀口尚次 首実検とは、前近代、配下の武士が戦場で討ちとった敵方の首級(しゅきゅう)の身元を大将が判定し、その配下の武士の論功行賞の重要な判定材料とするために行われた作業。本当に申告した本人の戦功かどうかの詮議の場でもあった…

第1218話 相見互い

序文・忠臣蔵の隠れた名場面 堀口尚次 近日表題と同名の映画が公開されるそうだ。私はこの言葉を聴くと、どうしても長谷川一夫が大石内蔵助を演じた1958年の映画「忠臣蔵」の一場面を思い出してしまう。 大石内蔵助は東下りの際に「垣見五郎兵衛」という変名…

第1217話 平清盛に背いて鬼界ヶ島に流された俊寛

序文・陰謀事件の結末 堀口尚次 俊寛〈康治2年 - 治承3年〉は、平安時代後期の真言宗の僧。僧位の「僧都」を冠して俊寛僧都と呼ばれることも多い。 村上源氏の出身で、父は木寺〈仁和寺院家〉の法印寛雅、母は宰相局〈源国房の娘で八条院暲子内親王の乳母〉…

第1216話 喜界島は鬼界ヶ島なのか

序文・かつての流刑地 堀口尚次 喜界島(きかいじま)は、鹿児島県の離島で、鹿児島市と沖縄本島の間に連なる奄美群島内で最も北東部に位置する。鹿児島県大島郡喜界町に属し、人口は7千人弱。喜界島南部の先山遺跡から、約6000年前の縄文時代前期にあたる条痕…

第1215話 会津松平家の祖・保科正之の義

序文・保科家への恩義と徳川家への忠義 堀口尚次 保科正之は第2代将軍徳川秀忠の落胤で、第3代将軍家光の異母弟である。正之の出生は秀忠側近の老中・土井利勝や、数名のみしか知らぬことであり、異母兄にあたる家光さえも当初は知らなかった。元和3年、見性…

第1214話 高野山挙兵・海援隊ならぬ陸援隊の活躍

序文・岩倉具視の画策 堀口尚次 高野山挙兵は、慶応3年12月12日に陸援隊〈土佐藩出身の中岡慎太郎によって組織された武力倒幕のための武力集団〉等が侍従〈公家〉・鷲尾隆聚(わしのおたかつむ)を擁して高野山で挙兵した事件。高野山義軍。 慶応3年12月8日、…

第1213話 折り紙

序文・武家の礼法 堀口尚次 折り紙とは、紙を折って動植物や生活道具など色々なものの形を作る日本伝統の遊びである。また、折り上げられた作品そのものや、折り紙用に作られた正方形の専用紙、千代紙などのことを指す。分類の仕方により、儀式儀礼で使う紙…

第1212話 ラジオ塔

序文・プロパガンダ 堀口尚次 ラジオ塔とは、放送事業者がラジオの普及を目的に、公衆にラジオ放送を聞かせるため、公園などの公共空間に設置した、ラジオ受信機を内部に収めた塔である。素材は、木造、石造または鉄筋コンクリート造で、高さは約3メートルか…

第1211話 ドップラー効果

序文・救急車の音はなぜ変わる 堀口尚次 ドップラー効果またはドップラーシフトとは、音波や電磁波などの波の発生源〈音源・光源など〉が移動したりその観測者が移動することにより、波の発生源と観測者との間に相対的な速度が存在するときに、波の周波数が…

第1210話 韋駄天走り

序文・四天王の部下 堀口尚次 韋駄天は、仏教において天部に属する神である。韋陀、韋天将軍とも言われる。 増長天の八将の一神で、四天王下の三十二将中の首位を占める天部の仏神。特に伽藍を守る護法神とされ、中国の禅寺では四天王、布袋尊とともに山門や…

第1209話 モンゴメリー・バス・ボイコット事件

序文・人種差別との闘い 堀口尚次 モンゴメリー・バス・ボイコット事件は、1955年にアメリカ合衆国アラバマ州モンゴメリーで始まった人種差別への抗議運動である。事件の原因は、モンゴメリーの公共交通機関での人種隔離政策にあり、公民権運動のきっかけの…

第1208話 聖帝・仁徳天皇

序文・世界最大級古墳 堀口尚次 仁徳(にんとく)天皇は、日本の第16代天皇。『日本書紀』での名は大(おお)鷦鷯(さぎき)天皇。実在したとすれば4世紀末から5世紀前半に在位したと推定されている。その業績から聖(ひじりの)帝(みかど)とも称される。 即位元年、…

第1207話 勧進帳

序文・弁慶の機転 堀口尚次 勧進帳は、如意の渡しでの出来事を基軸にした能の演目『安宅(あたか)』を元に創られた義経と弁慶を題材とした歌舞伎の演目。歌舞伎十八番の一つで、松羽目物の先駆けとなった作品である。あくまでも後の時代に創られた話で、史実…

第1206話 賞典禄

序文・薩長土肥で分配 堀口尚次 賞典禄は、明治維新に功労のあった公卿、大名および士族に対して、政府から家禄の他に賞与として与えられた禄である。 戊辰戦争から箱館戦争の間における旧幕府軍及び佐幕派諸藩との戦いにおける官軍の勝利は、明治政府の構成…

第1205話 征露丸から正露丸へ

序文・ロシアを征服 堀口尚次 正露丸は医薬品であり、木クレオソート〈別名日局クレオソート〉を主成分とした胃腸薬〈止瀉薬(ししゃやく)=下痢止め〉である。旧称は『征露丸』。 正露丸の主成分である木クレオソートは、1830年にドイツ人カール・ライヘンバ…

第1204話 徳川家康の友・本多正信

序文・三河一向一揆で敵対した過去有 堀口尚次 本多正信は、戦国時代から江戸時代前期の武将・大名。徳川家康の家臣で、江戸幕府の老中。相模国玉縄藩主。正信系本多家宗家初代。父祖以来、徳川氏に仕えるが、三河一向一揆に与して鎮圧後に三河を出奔。後に…

第1203話 警察の証拠捏造はあったのか

序文・司法の課題 堀口尚次 昭和41年に強盗殺人罪の容疑で逮捕・起訴され、公判で無罪を主張したが、昭和55年に死刑が確定し服役していた袴田巌さんの無罪が、令和6年10月9日に確定した。静岡地検が上訴権を放棄したのだ。静岡地裁は「捜査機関の捏造があっ…

第1202話 左衛門少将義経の腰越状

序文・兄弟の確執 堀口尚次 腰越状とは、源義経が兄の源頼朝に宛てて認めたとされる手紙。元暦2年5月24日、義経が頼朝の怒りを買い、鎌倉入りを止められて腰越に留まっていたとき、満福寺で心情を綴ったものと伝えられる。この手紙は公文所別当・大江広元宛…

第1201話 指切拳万 嘘ついたら針千本呑ます

序文・約束は守りましょう 堀口尚次 ゆびきり〈指切、指切り〉は、近世以降の日本において、約束の厳守を誓うために行われる、大衆の風習。 フック状に曲げた小指を互いに引っ掛け合い、唱えごとをする。唱えごとは、「指切拳万(けんまん) 嘘ついたら針千本…

第1200話 敗軍の将は兵を語らず

序文・語る資格がない 堀口尚次 「敗軍の将は兵を語らず」は中国の武将・項羽(こうう)と劉邦(りゅうほう)が争っている時代、劉邦の配下として活躍した韓信(かんしん)によって打ち破られた項羽陣営の李左車(りさしゃ)の言葉。 「井陘(いけい)の戦い」で劉邦陣…

第1199話 朝廷に反乱・藤原純友

序文・平将門の盟友? 堀口尚次 藤原純友(すみとも)は、平安時代中期の貴族・海賊。藤原北家、右大弁・藤原遠経(とおつね)の孫。大宰少弐(だざいのしょうに)・藤原良範の三男。弟に藤原純乗(すみのり)がいる。官位は従五位下・伊予掾(いよのじょう)。 瀬戸内…

第1198話 仮面ライダースナック投棄事件

序文・社会問題に発展 堀口尚次 仮面ライダースナックは、1971年から1973年1月までカルビー製菓が発売したスナック菓子。特撮テレビドラマ『仮面ライダー』が本放送当時に「変身ブーム」を巻き起こすほどの人気番組となったこともあり、これを題材としたカー…

第1197話 江戸城を築城した太田道灌

序文・徳川江戸幕府の礎 堀口尚次 太田道灌(どうかん)は、室町時代後期に関東地方で活躍した武将。武蔵守護代・扇谷上杉家の家宰(かさい)。摂津源氏の流れを汲む太田氏。諱は資長(すけなが)。太田資清(すけきよ)〈道真〉の子で、家宰職を継いで享徳の乱、長…

第1196話 アメリカ人のヤンキーは不良少年ではない

序文・ニューヨーク・ヤンキース 堀口尚次 ヤンキー〈英語: Yankee〉 は、アメリカ合衆国北東部に住む白人に対する俗称である。アメリカ国外においては南部を含むアメリカ人全体に対する俗称、または蔑称。南北戦争当時のアメリカ南部で、北軍兵士や北部諸州…

第1195話 平宗盛は「取り替え子」なのか

序文・血統の信憑性 堀口尚次 平宗盛は、平安時代末期の平家一門の武将・貴族・公卿。平清盛の三男。母は清盛の継室・平時子。時子の子としては長男であり、安徳天皇の母・建礼門院〈平徳子〉は同母妹である。官位は従一位行内大臣。平氏政権の惣管(そうかん…

第1194話 雪の殿様・土井利位

序文・老中首座 堀口尚次 土井利位(としつら)は、下総古賀藩主。土井家宗家11代。江戸幕府の老中首座。雪の結晶の研究を行い「雪の殿様」の異名で知られる。 日本で初めて雪の結晶を顕微鏡で観察した人物として知られている。蘭学者であった家老・鷹見泉石の…