序文・スサノオをもてなした 堀口尚次 蘇民将来(そみんしょうらい)は、備後国風土記に記された人物であり、日本各地に伝わる説話、およびそれを起源とする民間信仰となっている。こんにちでも「蘇民将来」と記した護符は、日本各地の国津神(くにつかみ)系の…
序文・自称天皇 堀口尚次 熊沢寛道(ひろみち)〈明治22年 - 昭和41年〉は日本の皇位僭称(せんしょう)〈本人の身分を越えた地位称号を名乗ること〉者。熊沢天皇の呼称で知られる。戦前は皇位や皇族を僭称することは不敬罪として処罰対象であったが、GHQ体制下…
序文・豊臣秀頼の小姓 堀口尚次 木村重成は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将。豊臣家の家臣。知行3千石。豊臣秀頼の乳母の子ということから、秀頼とほぼ同年齢であったとみられる。父と兄は豊臣秀次に仕えていたため秀次事件に連座して自害させ…
序文・関白まで上り詰めたのに 堀口尚次 豊臣秀次または羽柴秀次は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名。豊臣氏の第2代関白。豊臣秀吉の姉である瑞竜院日秀の長男。 幼少時、戦国大名・浅井長政の家臣・宮部継潤が秀吉の調略に応じる際に人質と…
序文・罪は一生消えない 堀口尚次 時効とは、ある出来事から一定の期間が経過したことを主な法律要件として、現在の事実状態が法律上の根拠を有するものか否かを問わず、その事実状態に適合する権利または法律関係が存在すると扱う制度、あるいはそのように…
序文・埋め立てられた大池 堀口尚次 過日所用で名古屋市中区の地下鉄上前津(かみまえづ)駅を下車した際、千代田2丁目の福恩寺に立ち寄った。真宗大谷派のこじんまりした寺院だが、本堂は閉ざされていた。境内に真っ二つに切断された跡のある石碑があり、読み…
序文・竹の杖 堀口尚次 しっぺい太郎は、魔物退治の犬である。日本各地の猿神退治の昔話に登場する。 粗筋は『村の神に娘を人身御供にせねばならない慣習があり、通りすがりの旅人が干渉する。 生贄を食らう〈猿の〉魔物たちが「〈遠国の〉しっぺい太郎に知…
序文・お経を読んだ同じ功徳 堀口尚次 マニ車〈マニぐるま・摩尼車〉とは、仏の「身口意」の象徴のうち、「口の象徴」を回転する筒に収納した仏具。輪蔵(りんぞう)、転経器(てんきょうき)とも訳す。 チベット仏教圏〈チベット・モンゴル他〉ではマニコロと呼…
序文・海の地雷の破壊力 堀口尚次 名立機雷爆発事件は、昭和24年、新潟県西頸城郡名立町〈現上越市名立区〉に漂着した機雷の爆発によって、多くの小中学生を含む63人が死亡した事件である。 太平洋戦争終結から4年後の昭和24年3月30日、名立町小泊(こどまり)…
序文・外郎 堀口尚次 ういろう〈漢字表記・外郎〉は蒸し菓子で和菓子の一種。「外良」「ういろ」「うゐろ」「ういらう」などの表記が用いられることもある。外郎餅(ういろうもち)とも言う。 ういろうは、典型的には米粉などの穀粉に砂糖と湯水を練り合わせ、…
序文・旧会津藩と運命を共に 堀口尚次 斎藤一(はじめ)〈天保15年 - 大正4年〉は、日本の武士〈新選組隊士〉、警察官。階級は警部。勲等は勲七等青色桐葉章。幕末期に新選組で副長助勤、四番隊組長、三番隊組長、撃剣師範を務める。一時期御陵衛士に入隊。戊…
序文・親孝行娘は殿様を動かした 堀口尚次 「三河の金次郎像全調査」という本に接する機会があった。その中に「孝婦とら」という像が紹介されており興味をもった。また、とらの生家あとに「孝婦碑」が建っており、碑文は以下の通りだ。 『虎は三河の国額田郡…
序文・大海龍大神の化身 堀口尚次 知多郡南知多町の知多四国霊場・浄土寺に「お亀さん」伝説が伝わる。お寺にある「お亀さん由来記」は以下の通り。 『明治四十二年九月十日、早朝 体重一八〇cm幅一一〇cm重さ約二百kgのアカウミガメが当地の海岸に打…
序文・戦国乱世の象徴 堀口尚次 荒木村重は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将・大名。利休十哲の1人である。元亀2年の白井河原の戦いで勝利し、池田氏が仕えていた織田信長からその性格を気に入られて、三好氏から織田家に移ることを許された。 天正…
序文・薬師如来のつかい 堀口尚次 愛知県刈谷市の松雲院の墓地片隅に「牛石(うしいし)」伝説の碑と「頭と胴といわれる二つの石」が残る。元々は少し北西の薬師堂境内にあったが、薬師堂廃止と共にこちらに移されたようだ。 西三河と知多半島北東地区近辺の昔…
序文・神格化された藩祖 堀口尚次 毛利輝元は、戦国時代後期〈安土桃山時代〉から江戸時代前期にかけての武将・大名。安芸の戦国大名・毛利氏の14代当主。豊臣政権五大老の一人であり、関ケ原の戦いでは西軍の総大将となった。長州藩の藩祖でもある。 天文22…
序文・水平尾翼がない 堀口尚次 震電(しんでん)は、第二次世界大戦末期に大日本帝国海軍が試作した局地戦闘機である。前翼型の独特な機体形状を持つため「異端の翼」と呼ばれた。最高速度400ノット〈約740 ㎞/h〉以上の高速戦闘機の計画で、昭和20年6月に試…
序文・非人身分 堀口尚次 木戸番(きどばん)は、江戸時代に江戸・京都・大坂をはじめとする城下町で町ごとに作られた木戸の番人。 江戸をはじめ、多くの城下には木戸が設けられており、夜は閉じられることになっていた。その木戸にはそれぞれ「番太郎」または…
序文・領土問題 堀口尚次 無主地(むしゅち)とは、所有者の定まっていない土地のことである。主に国際法と日本史の分野で用いられるが、その土地に対する法律などは大変複雑である。 国際法における無主地は、どの国にも領有されていない土地を指す。国際法に…
序文・双葉山が暴れた 堀口尚次 璽光尊(じこうそん)事件とは、昭和22年に石川県金沢市で発生した事件である。昭和21年秋ごろより新宗教の「璽宇(じう)」は、石川県金沢市に本拠地を構えた。璽宇は璽宇尊〈本名・長岡良子〉が主宰する宗教団体である。 昭和21…
序文・弥次喜多 堀口尚次 『東海道中膝栗毛(ひざくりげ)』は、享和2年から11年にかけて初刷りされた、十返舎一九(じっぺんしゃいっく)の滑稽本である。「栗毛」は栗色の馬。「膝栗毛」とは、自分の膝を馬の代わりに使う徒歩旅行の意である。 人気作品となり…
序文・他人につられる心理学 堀口尚次 サクラとは、イベント主催者や販売店に雇われて客や行列の中に紛れ込み、特定の場面やイベント全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を偽装したりする者を指す隠語。当て字で偽客とも書く。 本来は江戸時代に…
序文・今や死語 堀口尚次 タコメーター〈アメリカ英語、回転速度計〉は、機器において軸の回転数〈回転速度〉を指示する計器、測定器であり、回転計の一種。「タコメーター」はアメリカ英語: tachometerの日本語表記。tacho〈タコ〉とは速度を意味するギリシ…
序文・三成の矜持 堀口尚次 石田三成は、安土桃山時代の武将・大名。豊臣家家臣。豊臣政権の奉行として活動し、五奉行のうちの一人となる。豊臣秀吉の死後、徳川家康打倒のために決起して、毛利輝元ら諸大名とともに西軍を組織したが、関ケ原の戦いにおいて…
序文・ここにもあった特攻隊 堀口尚次 震洋(しんよう)は、太平洋戦争で日本海軍が開発・使用した特殊兵器〈小型特攻ボート〉。構造が簡単で、大量生産された。 震洋は、日本海軍が太平洋戦争中盤以降に開発・実戦投入した特攻兵器。 小型のベニヤ板製モータ…
序文・転勤族 堀口尚次 加藤貞泰(さだやす)は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将・大名。美濃国黒野藩主、伯耆国米子藩主、伊予国大洲藩初代藩主。 慶長5年の関ケ原の戦いにおいては、当初石田三成に従い、その要請を受けて尾張犬山城を守備した…
序文・アナキズム 堀口尚次 大杉栄〈明治18年 - 大正12年〉は、日本の無政府主義者、思想家、作家、シャーナリスト、翻訳家、社会運動家。自由恋愛主義者でもあった。 名古屋陸軍地方幼年学校では武道に熱中するあまり学業の成績は良からぬ点があり、学校内…
序文・千利休の後継者 堀口尚次 古田重然(しげなり)は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将、大名、茶人、芸術家。古田織部(おりべ)の通称で知られる。南山城・東大和1万石の大名。官位は従五位下・織部助〈官職名〉。豊臣秀吉・徳川家康の茶頭、徳川秀…
序文・愛知県と「あゆち」 堀口尚次 年魚市潟(あゆちがた)とは、かつて現在の愛知県名古屋市の大半が海や干潟だった頃、鳴海から熱田にかけての干潟の名称。 古代の尾張国南東部〈現在の愛知県名古屋市熱田区から南区にかけての地域〉は「年魚市(あゆち)」と…
序文・南無八幡大菩薩 堀口尚次 八幡神(はちまんしん)は、日本で信仰される神で、清和源氏、桓武平氏など全国の武家から武運の神〈武神〉「弓矢八幡」として崇敬を集めた。誉田別命(ほんだわけのみこと)とも呼ばれ、応神天皇と同一とされる。また早くから神…