ホリショウのあれこれ文筆庫

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第976話 八幡神と八幡大菩薩

序文・南無八幡大菩薩

                               堀口尚次

 

 八幡神(はちまんしん)は、日本で信仰される神で、清和源氏桓武平氏など全国の武家から武運の神〈武神〉弓矢八幡」として崇敬を集めた。誉田別命(ほんだわけのみこと)とも呼ばれ、応神天皇と同一とされる。また早くから神仏習合がなり、八幡大菩薩と称され、神社内に神宮寺が作られた

 現在の神道では、八幡神応神天皇誉田別命〉の神霊で、欽明天皇32年大神比義命(おおがのひぎのみこと)によって、宇佐の地に示顕したと伝わる。応神天皇誉田別命〉を主神として、比売神(ひめがみ)、応神天皇の母である神功皇后(じんぐうこうごう)を合わせて八幡三神として祀っている。

 明治元年神仏分離令によって、全国の八幡宮神社へと改組されたのに伴って、神宮寺は廃され、本地仏や僧形八幡神の像は撤去された。また仏教的神号の八幡大菩薩は明治政府によって禁止された。しかし神仏分離後も八幡大菩薩の神号は根強く残り、第二次世界大戦末期の陸海軍の航空基地には「南無八幡大菩薩」の大幟が掲げられたり、「八幡空襲部隊八幡部隊」を名乗った部隊もあった。また、航空機搭乗員〈特に特攻隊員〉の信仰を集めたりもした。1944年に製作された、航空機搭乗員を描いた映画「雷撃隊出動」の中でも、出撃の際に八幡大菩薩の旗を振るシーンが見られる。

 八幡宮は、八幡神を祭神とする神社。八幡神社八幡社八幡さまとも表記・呼称される。全国に約44,000社あり、大分県宇佐市宇佐神宮を総本社とする。

なお清和源氏源頼信以降〉により勧請創建された八幡宮も多い〈上野國一社八幡宮など〉。八幡宮の発祥地は、大神比義命が創始した初代大宮司となった宇佐八幡宮であり、全国の八幡宮の総本社である。

 いわゆる五所別宮〈筑前大分八幡宮肥前千栗八幡宮、肥後藤崎八幡宮、薩摩新田神社、大隈正八幡宮〉が分布する様に、古くは九州地方信仰圏を形成していた。近代社格制度においては宇佐神宮石清水八幡宮筥崎宮(はこざきぐう)、鹿児島神功の四社が官幣大社社格に列し、特に宇佐神宮石清水八幡宮筥崎宮の三社が日本三大八幡宮とされる。

 尚、鳩は世界的にみて「平和のシンボル」とされるが、日本では鳩が八幡神神使(しんし)とされてきた。八幡神は軍神なので平和とは結びつかず、武士の家紋ともなった。