ホリショウのあれこれ文筆庫

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第998話 マニ車・後生車・お百度

序文・お経を読んだ同じ功徳

                               堀口尚次

 

 マニ車〈マニぐるま・摩尼車〉とは、仏の「身口意」の象徴のうち、「口の象徴」を回転する筒に収納した仏具。輪蔵(りんぞう)、転経器(てんきょうき)とも訳す。

 チベット仏教圏〈チベット・モンゴル他〉ではマニコロと呼ばれ、1筒につき経典1帙を収めた中型のものを数十筒寺院の周囲に配置した中型のものや、真言を印刷した巻物を重りをつけた筒に納めた、片手で回転させる個人用の小型のものが広く普及している。「マニ」は如意宝珠のサンスクリット語の略で、単独では「宝珠」の意味。「コロ」はチャクラの意味。ボン教でも同様のものが用いられるが、ボン教では「マシモ車」という。

 日本では、一切経〈=漢訳経典の全1式〉一式を収めた大型の物が真言宗天台宗、浄土宗などの大本山などに設置され、輪蔵と称する。輪蔵とは、日本の仏教寺院内等に設けられる経蔵の一種である。回転式の書架(しょか)であり、正しくは転輪蔵。経蔵の中央に、中心軸に沿って回転させることが可能な八面等に貼り合わせた形の書架を設け、そこに大蔵経を収納した形式のものである〈回転式書架〉。その起源は、中国南朝梁の傅大士(ふだいし)によるものと伝えられており、輪蔵の正面には、傅大士とその二子による三尊像が奉安されている。

 後生車(ごしょぐるま)は、 〈「ごしょ」は「後生(ごしょう)」の変化したもので、あの世の意〉 石の柱に穴をあけ、鉄製の軸をもった木製の車をはめこんだもの。念仏を唱えながら車を回して死者の供養をする。

 百度参(ひゃくどまい)りは、日本の民間信仰で、神仏に祈願するために同一の寺社百度参拝することである。百度ともいう。百度参りの祈願の内容は、多くは個人的なものであり、その内容が切実なものである場合に、一度の参拝ではなく何度も参拝することでより、心願が成就するようにと願ったものである。

 百度参りの方法は、社寺の入口から拝殿・本堂まで行って参拝し、また社寺の入口まで戻るということを百度繰り返す。俗にこれを「百度を踏む」という。社寺の入口近くに、その目標となる「百度」という石柱が立てられていることがある。回数を間違えないように、小石やこより、竹串などを百個用意しておいて参拝のたびに拝殿・本堂に1個ずつ置いたり、百度石に備えつけられているそろばん状のもので数を数えたりする。百度参りは人に見られないように行うとか、裸足で行った方がより効果があるなと言われる。