ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

第330話 尾張四観音制覇

序文・巡礼

                               堀口尚次

 

 尾張四観音は、尾張国の代表的な四つの下記の観音寺、愛知県名古屋市中川区荒子町の荒子観音・愛知県あま市甚目寺甚目寺観音・愛知県名古屋市守山区竜泉寺の龍泉寺観音・愛知県名古屋市南区笠寺町の笠寺観音を指す言葉である。いずれの寺も開基から千数百年以上を経た古刹である。

 徳川家康名古屋城の築城に際し、城から見て鬼門の方角にある上記4寺を鎮護として定めたとされる。ちなみに、大須観音は、江戸時代初期に家康の命により美濃から現在地に移転した比較的新しい寺であり、四観音には列しない。

 名古屋城を中心にほぼ四方に分散する形で立地しており、毎年節分の時期になると四寺とも節分祭を行なうのだが、中でもその寺が〈名古屋城を中心として見て〉恵方(えほう)〈北北西 / 甚目寺観音・東北東 / 竜泉寺観音・南南東 / 笠寺観音・西南西 / 荒子観音〉に当たる年には、特に盛大な節分祭が行なわれる。恵方とは、陰陽道(おんみょうどう)に基づく方角の吉凶をいう俗信。恵方巻などで使われている。

 荒子観音は、戦国時代の武将・前田利家が再興したとされ、多宝塔は、名古屋市内に現存する最古の建物であり、国の重要文化財だ。

 甚目寺観音は、鳳凰山甚目寺が正式名称。重要文化財の三重塔をはじめ境内には沢山のお堂が立ち並ぶ。12ヶ所のお堂を巡り、参拝捺印をすると本堂でお守りがもらえるので実施した。

 龍泉寺観音は、熱田神宮奥の院といわれる由緒正しい古刹。尾張の歴史上、龍泉寺は何度か軍事施設として使われたこともあり、「龍泉寺城」とされることもあり、三層の模擬天守が建てられている。

 笠寺観音は、天林山笠覆(りゅうふく)寺が正式名称。尾張三十三観音、名古屋二十一大師の札所であり、更に大名古屋十二支恵当寺で巳年の護り本尊の普賢菩薩霊場になり、なごや七福神の恵比寿の霊場にもなった。こんもこともあり、笠寺観音は老若男女の参拝が後を絶たないにぎやかなお寺だ。 

 私は、5月7日に、尾張四観音巡礼を満願しました。真言宗天台宗の寺院であることから多宝塔が多く見られ、山門〈仁王像〉や本堂・三重塔など貴重な建築物も数多くあり、見どころ満載な巡礼でありました。合掌。