ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

第985話 東海道中膝栗毛

序文・弥次喜多 堀口尚次 『東海道中膝栗毛(ひざくりげ)』は、享和2年から11年にかけて初刷りされた、十返舎一九(じっぺんしゃいっく)の滑稽本である。「栗毛」は栗色の馬。「膝栗毛」とは、自分の膝を馬の代わりに使う徒歩旅行の意である。 人気作品となり…

第984話 サクラ(おとり)

序文・他人につられる心理学 堀口尚次 サクラとは、イベント主催者や販売店に雇われて客や行列の中に紛れ込み、特定の場面やイベント全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を偽装したりする者を指す隠語。当て字で偽客とも書く。 本来は江戸時代に…

第983話 タコメーターとレッドゾーン

序文・今や死語 堀口尚次 タコメーター〈アメリカ英語、回転速度計〉は、機器において軸の回転数〈回転速度〉を指示する計器、測定器であり、回転計の一種。「タコメーター」はアメリカ英語: tachometerの日本語表記。tacho〈タコ〉とは速度を意味するギリシ…

第982話 石田三成の旗印

序文・三成の矜持 堀口尚次 石田三成は、安土桃山時代の武将・大名。豊臣家家臣。豊臣政権の奉行として活動し、五奉行のうちの一人となる。豊臣秀吉の死後、徳川家康打倒のために決起して、毛利輝元ら諸大名とともに西軍を組織したが、関ケ原の戦いにおいて…

第981話 小型ボート型特殊兵器「震洋」

序文・ここにもあった特攻隊 堀口尚次 震洋(しんよう)は、太平洋戦争で日本海軍が開発・使用した特殊兵器〈小型特攻ボート〉。構造が簡単で、大量生産された。 震洋は、日本海軍が太平洋戦争中盤以降に開発・実戦投入した特攻兵器。 小型のベニヤ板製モータ…

第980話 黒野城主・加藤貞泰の転付の原因

序文・転勤族 堀口尚次 加藤貞泰(さだやす)は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将・大名。美濃国黒野藩主、伯耆国米子藩主、伊予国大洲藩初代藩主。 慶長5年の関ケ原の戦いにおいては、当初石田三成に従い、その要請を受けて尾張犬山城を守備した…

第979話 無政府主義者・大杉栄

序文・アナキズム 堀口尚次 大杉栄〈明治18年 - 大正12年〉は、日本の無政府主義者、思想家、作家、シャーナリスト、翻訳家、社会運動家。自由恋愛主義者でもあった。 名古屋陸軍地方幼年学校では武道に熱中するあまり学業の成績は良からぬ点があり、学校内…

第978話 織部焼の古田重然

序文・千利休の後継者 堀口尚次 古田重然(しげなり)は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将、大名、茶人、芸術家。古田織部(おりべ)の通称で知られる。南山城・東大和1万石の大名。官位は従五位下・織部助〈官職名〉。豊臣秀吉・徳川家康の茶頭、徳川秀…

第977話 「年魚市潟」と「あゆち水」

序文・愛知県と「あゆち」 堀口尚次 年魚市潟(あゆちがた)とは、かつて現在の愛知県名古屋市の大半が海や干潟だった頃、鳴海から熱田にかけての干潟の名称。 古代の尾張国南東部〈現在の愛知県名古屋市熱田区から南区にかけての地域〉は「年魚市(あゆち)」と…

第976話 八幡神と八幡大菩薩

序文・南無八幡大菩薩 堀口尚次 八幡神(はちまんしん)は、日本で信仰される神で、清和源氏、桓武平氏など全国の武家から武運の神〈武神〉「弓矢八幡」として崇敬を集めた。誉田別命(ほんだわけのみこと)とも呼ばれ、応神天皇と同一とされる。また早くから神…

第975話 沈勇・佐久間勉

序文・職責を全う 堀口尚次 佐久間勉(つとむ)〈明治12年-明治43年〉は、大日本帝国海軍軍人。最終階級は大尉。艇長として事故で殉職し、修身科教科書にも掲載された。滋賀県三方郡前川村〈現:福井県三方上中郡若狭町北前川〉出身。第六潜水艇が訓練中に事故…

第974話 神仏習合の妙見菩薩

序文・お寺に鳥居 堀口尚次 妙見(みょうけん)菩薩は、北極星または北斗七星を神格化した仏教の天部の一つ。尊星王(そんしょうおう)、妙見尊星王、北辰(ほくしん)菩薩などとも呼ばれる。 妙見信仰は、インドで発祥した菩薩信仰が、中国で道教の北極星・北斗七…

第973話 倶利伽羅峠の戦い「火牛の計」

序文・創作に火がついた 堀口尚次 倶利伽羅峠(くりからとうげ)の戦い、または、砺波山(となみやま)の戦いは、平安時代末期の寿永2年に、越中・加賀国の国境にある砺波山の倶利伽羅峠〈現富山県小矢部市-石川県河北郡津幡町〉で源義仲軍と平維盛(これもり)率…

第972話 堀尾金助と母の裁断橋

序文・母の思い 堀口尚次 堀尾金助は、安土桃山時代の武士。天正元年出生。堀尾吉晴〈豊臣政権三中老の一人〉の子、若しくは堀尾方泰の子とされるが続柄には異説がある。天正18年の豊臣秀吉の小田原征伐に吉晴と共に参戦したが、6月12日に陣中で死去した。享…

第971話 念仏を唱えて父に斬られた源朝長

序文・親子の無常 堀口尚次 源朝長(ともなが)は、平安時代末期の武将。源義朝の次男。母は波多野義通の妹。源頼朝・義経の異母兄。相模国松田郷を領して松田冠者(まつだのかじゃ)と号した。また、松田殿とも呼ばれた。父や兄弟とともに平治の乱で平清盛らと…

第970話 オロナインとオロナミン

序文・オロナイトから 堀口尚次 オロナインH軟膏(なんこう)は、大塚製薬工場が製造、大塚製薬が販売する皮膚用抗菌軟膏材薬〈第二種医薬品〉である。 オロナインの原点となったのはアメリカ合衆国の製薬会社・オロナイトケミカルが製造した殺菌用消毒剤であ…

第969話 笏

序文・元々はカンニングペーパーだった? 堀口尚次 笏(しゃく)とは、日本において束帯の着用の際、右手に持つ細長い板である。 中国では官人が備忘(びぼう)〈忘れたときのためにあらかじめ用意しておくこと〉として書きつけをするための板であったとされてい…

第968話 源氏塚と源義朝伝説

序文・源義朝の逃避足跡を追う 堀口尚次 愛知県海部(あま)郡蟹江町に「源氏塚」なる史跡がある。町のホームページによると『この辺りは平安時代の末期ころ広々とした海でところどころに島が点在していました。平治元年都では平治の乱が起こり平清盛に敗れた…

第967話 木曽義仲と巴御前

序文・最期の奉公 堀口尚次 源義仲は、平安時代末期の信濃源氏の武将。河内源氏の一族、源義(よし)賢(かた)の次男。源頼朝・義経兄弟とは従兄弟にあたる。木曾義仲の名でも知られる。『平家物語』においては朝日将軍〈旭将軍とも〉と呼ばれている。 以仁王(…

第966話 因幡の白兎

序文・兎を助けた神様 堀口尚次 因幡の白兎とは、日本神話〈古事記〉に出てくるウサギ、または、このウサギの出てくる物語の名。 この説話は、「大国主(おおくにぬし)の国づくり」の前に、なぜ他の兄弟神をさしおいて大国主が国をもったかを説明する一連の話…

第965話 松雲院に伝わる「恩田の初蓮」

序文・殿様を化かした白狐 堀口尚次 松雲院(しょううんいん)は、愛知県刈谷市恩田(おんだ)町3丁目151-8にある曹洞宗の寺院。山号は医王山。本尊は文殊菩薩。 三河国額田郡柿平村〈現在の愛知県岡崎市〉にいた恩田弥兵治郎源清信は、碧海郡小山村林之内〈現在…

第964話 大垣城に残る「おあむの松」

序文・城から脱出した姫 堀口尚次 『おあん物語』は、江戸時代前期に老尼(ろうに)〈年とった尼僧〉から聞き書きした戦国時代の体験記。表題は『おあむ物語』、『御庵物語』とも表記される。石田三成の家臣・山田去暦(きょれき)の娘であった老尼が、少女時代…

第963話 民謡「おばば」発祥の地

序文・お寺に嫁いだ殿様の姉 堀口尚次 「おばば」は、岐阜県に伝わる民謡。古くから祝宴の唄として知られる。 一説によると、天文10年揖斐城主・堀池備中守の姉・お政が上善明寺・春浄に嫁いで生まれた初孫の誕生を町中が喜び、お婆々さまとなられた坊守(ぼ…

第962話 生れかわった衛門三郎

序文・弘法大師の功徳 堀口尚次 衛門(えもん)三郎は、四国霊場にまつわる伝説上の人物。 天長年間の頃の話である。伊予国を治めていた河野家の一族で、浮穴(うけな)郡荏原(えばら)郷〈現在の愛媛県松山市恵原町・文殊院〉の豪農で衛門三郎という者が居た。三…

第961話 助六

序文・定番寿司 堀口尚次 『助六』は、歌舞伎の演目の一つの通称。本(ほん)外題(げだい)は主役の助六を務める役者によって変わる。江戸の古典歌舞伎を代表する演目のひとつ。「粋」を具現化した洗練された江戸文化の極致として後々まで日本文化に決定的な影響…

第960話 モラル・ハザード

序文・人間の真価 堀口尚次 モラル・ハザードは、倫理の欠如。倫理観や道徳的節度がなくなり、社会的な責任を果たさないこと〈「バレなければよい」という考えが醸成されるなど〉。 この「倫理の欠如」という意味でのモラル・ハザードは、英語のmoral hazard…

第959話 猿田彦神社の論争・謎

序文・猿田彦神の居場所 堀口尚次 猿田彦神社は、三重県伊勢市の伊勢神宮内宮の近くにある神社である。猿田彦大神(サルタヒコノカミ)と、その子孫の大田命(オオタノミコト)を祭神とする。旧社格は無格社〈社格がないという意味ではなく「無格社」という社格…

第958話 同じ穴のムジナ

序文・人を化かすタヌキ 堀口尚次 ムジナ〈貉、狢〉とは、主にアナグマのことを指す。時代や地方によってはタヌキやハクビシンを指したり、これらの種をはっきり区別することなくまとめて指している場合もある。この混乱は、「マミ」のような地方名を交えて…

第957話 祠堂銭

序文・徳政令の対象外 堀口尚次 祠堂銭(しどうせん)とは、故人の冥福を祈るために祠堂〈御霊屋・持仏堂とも〉の管理・修繕費用あるいは供養費用として寺院に寄進する金銭のこと。中世においては、祠堂銭を元手とした寺院による金融のことも指した。 祠堂銭は…

第956話 トクホンチールは「永田徳本」から

序文・将軍も治療した 堀口尚次 今でこそ「バンテリン」「サロンパス」が有名だが、昔は「アンメルツ」が主流だった。そして忘れてならないのが「トクホンチール」だ。何をかくそう、肩こり・筋肉痛に、容器の先端部分を直接身体に塗り付けるローションタイ…