ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

第968話 源氏塚と源義朝伝説

序文・源義朝の逃避足跡を追う 堀口尚次 愛知県海部(あま)郡蟹江町に「源氏塚」なる史跡がある。町のホームページによると『この辺りは平安時代の末期ころ広々とした海でところどころに島が点在していました。平治元年都では平治の乱が起こり平清盛に敗れた…

第967話 木曽義仲と巴御前

序文・最期の奉公 堀口尚次 源義仲は、平安時代末期の信濃源氏の武将。河内源氏の一族、源義(よし)賢(かた)の次男。源頼朝・義経兄弟とは従兄弟にあたる。木曾義仲の名でも知られる。『平家物語』においては朝日将軍〈旭将軍とも〉と呼ばれている。 以仁王(…

第966話 因幡の白兎

序文・兎を助けた神様 堀口尚次 因幡の白兎とは、日本神話〈古事記〉に出てくるウサギ、または、このウサギの出てくる物語の名。 この説話は、「大国主(おおくにぬし)の国づくり」の前に、なぜ他の兄弟神をさしおいて大国主が国をもったかを説明する一連の話…

第965話 松雲院に伝わる「恩田の初蓮」

序文・殿様を化かした白狐 堀口尚次 松雲院(しょううんいん)は、愛知県刈谷市恩田(おんだ)町3丁目151-8にある曹洞宗の寺院。山号は医王山。本尊は文殊菩薩。 三河国額田郡柿平村〈現在の愛知県岡崎市〉にいた恩田弥兵治郎源清信は、碧海郡小山村林之内〈現在…

第964話 大垣城に残る「おあむの松」

序文・城から脱出した姫 堀口尚次 『おあん物語』は、江戸時代前期に老尼(ろうに)〈年とった尼僧〉から聞き書きした戦国時代の体験記。表題は『おあむ物語』、『御庵物語』とも表記される。石田三成の家臣・山田去暦(きょれき)の娘であった老尼が、少女時代…

第963話 民謡「おばば」発祥の地

序文・お寺に嫁いだ殿様の姉 堀口尚次 「おばば」は、岐阜県に伝わる民謡。古くから祝宴の唄として知られる。 一説によると、天文10年揖斐城主・堀池備中守の姉・お政が上善明寺・春浄に嫁いで生まれた初孫の誕生を町中が喜び、お婆々さまとなられた坊守(ぼ…

第962話 生れかわった衛門三郎

序文・弘法大師の功徳 堀口尚次 衛門(えもん)三郎は、四国霊場にまつわる伝説上の人物。 天長年間の頃の話である。伊予国を治めていた河野家の一族で、浮穴(うけな)郡荏原(えばら)郷〈現在の愛媛県松山市恵原町・文殊院〉の豪農で衛門三郎という者が居た。三…

第961話 助六

序文・定番寿司 堀口尚次 『助六』は、歌舞伎の演目の一つの通称。本(ほん)外題(げだい)は主役の助六を務める役者によって変わる。江戸の古典歌舞伎を代表する演目のひとつ。「粋」を具現化した洗練された江戸文化の極致として後々まで日本文化に決定的な影響…

第960話 モラル・ハザード

序文・人間の真価 堀口尚次 モラル・ハザードは、倫理の欠如。倫理観や道徳的節度がなくなり、社会的な責任を果たさないこと〈「バレなければよい」という考えが醸成されるなど〉。 この「倫理の欠如」という意味でのモラル・ハザードは、英語のmoral hazard…

第959話 猿田彦神社の論争・謎

序文・猿田彦神の居場所 堀口尚次 猿田彦神社は、三重県伊勢市の伊勢神宮内宮の近くにある神社である。猿田彦大神(サルタヒコノカミ)と、その子孫の大田命(オオタノミコト)を祭神とする。旧社格は無格社〈社格がないという意味ではなく「無格社」という社格…

第958話 同じ穴のムジナ

序文・人を化かすタヌキ 堀口尚次 ムジナ〈貉、狢〉とは、主にアナグマのことを指す。時代や地方によってはタヌキやハクビシンを指したり、これらの種をはっきり区別することなくまとめて指している場合もある。この混乱は、「マミ」のような地方名を交えて…

第957話 祠堂銭

序文・徳政令の対象外 堀口尚次 祠堂銭(しどうせん)とは、故人の冥福を祈るために祠堂〈御霊屋・持仏堂とも〉の管理・修繕費用あるいは供養費用として寺院に寄進する金銭のこと。中世においては、祠堂銭を元手とした寺院による金融のことも指した。 祠堂銭は…

第956話 トクホンチールは「永田徳本」から

序文・将軍も治療した 堀口尚次 今でこそ「バンテリン」「サロンパス」が有名だが、昔は「アンメルツ」が主流だった。そして忘れてならないのが「トクホンチール」だ。何をかくそう、肩こり・筋肉痛に、容器の先端部分を直接身体に塗り付けるローションタイ…

第955話 三度結婚させられた「江」

序文・最後は徳川将軍家中枢へ 堀口尚次 崇源院(すうげんいん)は、安土桃山時代から江戸時代初期の女性。近江の戦国大名・浅井長政の三女で、母は織田信秀の娘であるお市の方〈織田信長の妹〉。崇源院は院号であり、一般には江(ごう)か小督(おごう)の名で知…

第954話 恵方巻

序文・恵方参りが起源 堀口尚次 恵方巻とは、節分に恵方を向いて無言で食べると良いとされる、切り分けられていない太巻の寿司のこと。かつては関西圏で節分時に恵方の方角を向いて「丸かぶり」「丸かぶり寿司」「太巻き寿司」と呼ばれる、切り分けられてい…

第953話 4日間の軍政が布かれた館山市

序文・勇み足のアメリカ軍 堀口尚次 東京湾要塞の一角として軍事上の要衝である千葉県館山市だけは、9月3日から4日間の軍政が敷かれた。高校教師からNPO法人安房文化遺産フォーラム代表に転じた愛沢伸雄らの調査などを総合すると、主な経過は以下のとおりで…

第952話 幻の三布告「日本國民ニ告グ」

序文・公用語が英語になるところだった 堀口尚次 三布告とは、昭和20年9月2日に連合国軍最高司令官総司令部〈GHQ〉から出された日本占領政策の最初の布告である。日本国民に直接布告される予定であったもので、GHQによって、占領下の日本に軍政を直接敷くこ…

第951話 将門塚の祟り

序文・GHQも舌を巻いた 堀口尚次 将門(まさかど)塚とは、東京都千代田区大手町にある、平将門の首を祀る塚である。かつては盛り土があったことから、古墳であったと考えられている。 この地はかつて武蔵国豊嶋郡芝崎村と呼ばれた。住民は長らく将門の怨霊に…

第950話 名古屋コーチン

序文・日本三大地鶏 堀口尚次 名古屋コーチンとは、愛知県特産である鶏の卵肉兼用種である。後に「名古屋種」と改名されたが、現在も「名古屋コーチン」のままで流通している。明治38年に日本家禽協会によって国内初の実用鶏種として認定された。 名古屋コー…

第949話 一遍上人と「飲む護符・千枚通し」

序文・各地の寺院に広まった「千枚通し」 堀口尚次 一遍(いっぺん)〈延応元年 - 正応2年〉は、鎌倉時代中期の僧侶。時宗(じしゅう)の開祖。全国各地で賦算(ふさん)と呼ばれる「念仏札」を渡し、踊りながら南無阿弥陀仏と唱える「踊念仏」を行った。徹底的に…

第948話 知多半島に残る渋谷金王丸伝説

序文・源義朝の敵討ち 堀口尚次 土佐坊昌俊(とさのぼうしょうしゅん)は、平安時代末期の僧兵・武将。大和国興福寺金剛堂の堂衆で、年貢問題で大和国針の庄の代官を夜討ちにしたことから、大番役として上洛していた土肥実平(さねひら)に預けられる。実平に伴…

第947話 義兄の信長を裏切った浅井長政

序文・真相は闇の中 堀口尚次 浅井長政は、戦国時代の武将。北近江の戦国大名。浅井氏の3代目にして最後の当主。 浅井氏を北近江の戦国大名として成長させ、北東部に勢力をもっていた。妻の兄の織田信長と同盟を結ぶなどして、浅井氏の全盛期を築いたが、後…

第946話 源氏名

序文・昔の名前で出ています 堀口尚次 源氏名とは、『源氏物語』にちなんで女性に付けられた〈あるいは女性が名乗った〉名前のことである。源氏名を歴史的に見ると、元来は『源氏物語』の巻名で、最初は名歌の題材や投扇興(とうせんきょう)の点数の名称に使…

第945話 波乱万丈の東久邇宮稔彦王

序文・戦後処理内閣総理大臣 堀口尚次 東久邇宮稔彦王(ひがしくにのみやなるひこおう)〈明治20年 - 平成2年〉、のち東久邇稔彦は、日本の旧皇族、政治家、陸軍軍人。最終階級は陸軍大将。位階勲等功級は従二位大勲位功一級。第二次世界大戦後、終戦処理内閣…

第944話 骨仏の寺・一心寺

序文・人骨で作った阿弥陀如来 堀口尚次 一心(いっしん)寺は、大阪市天王寺区にある浄土宗の寺院。山号は坂松(ばんしょう)山。本尊は阿弥陀如来。骨仏(こつぶつ)〈遺骨を使って作られた仏像〉の寺としてよく知られている。天王寺公園に隣接した上町大地の崖…

第943話 「大風呂敷」の後藤新平

序文・無政府主義者との親交 堀口尚次 後藤新平〈安政4年- 昭和4年〉は、日本の医師、官僚・政治家。位階勲等爵位は正二位勲一等伯爵。 台湾総督府民政長官。南満州鉄道〈満鉄〉初代総裁。逓信大臣、内務大臣、外務大臣。東京市第7代市長、ボーイスカウト日…

第942話 菅原道真の孫「英比磨」伝説

序文・末裔は於大の方の再嫁先の久松家 堀口尚次 菅原雅規(まさのり)は、平安時代中期の貴族。右大臣・菅原道真(みちざね)の孫で大学頭(だいがくのかみ)・菅原高視(たかみ)の子。官位は従四位上・山城守。幼名を久松麿(ひさまつまろ)。英比殿(あぐいどの)〈…

第941話 和風メッサー「三式戦闘機・飛燕」

序文・液冷戦闘機 堀口尚次 三式戦闘機「飛燕(ひえん)」は第二次世界大戦時の大日本帝国陸軍の戦闘機である。開発・製造は川崎航空機が行い、昭和18年に制式採用された。設計主務者は土井武夫、副主任は大和田信である。 当時の日本で唯一の量産液冷戦闘機で…

第940話 大奥を整備した春日局

序文・老中を上回る権力 堀口尚次 春日局(かすがのつぼね)/斎藤福(ふく)〈天正7年 - 寛永20年〉は、安土桃山時代から江戸時代前期の江戸幕府3代将軍・徳川家光の乳母。「春日局」とは朝廷から賜った称号である。父は美濃国の名族・斎藤氏〈美濃守護代〉の一…

第939話 松平信綱の忠義

序文・二君にまみえず 堀口尚次 松平信綱(のぶつな)は、江戸時代前期の大名で武蔵国忍藩主、同川越藩藩主。老中。官職名入りの松平伊豆守信綱の呼称で知られる。 慶長8年9月3日、将軍世子の徳川秀忠に、11月には正綱に従って伏見城に赴き、11月15日に徳川家…