ホリショウのあれこれ文筆庫

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第966話 因幡の白兎

序文・兎を助けた神様

                               堀口尚次

 

 因幡の白兎とは、日本神話〈古事記〉に出てくるウサギ、または、このウサギの出てくる物語の名。

 この説話は、「大国主(おおくにぬし)の国づくり」の前に、なぜ他の兄弟神をさしおいて大国主が国をもったかを説明する一連の話の一部である。『先代旧事本紀』にあって『日本書紀』にはない。後者で「大国主の国づくり」の話は、本文でない一書にある「ヤマタノオロチ退治」の直後に続く。また、『因幡国風土記』は現存せず、『出雲国風土記』に記載はない。

 『古事記』上巻〈神代〉にある大穴牟遲神〈大国主神(おおくにぬしのかみ)〉の求婚譚の前半に「稻羽之素菟」が登場し、大穴牟遲神に「あなたの求婚は成功するでしょう」と宣託言霊のような予祝を授ける。

 今日では、「稻羽之素菟(いなばのしろうさぎ)が淤岐島(おきのしま)から稻羽(いなば)に渡ろうとして、和邇(ワニ)を並べてその背を渡ったが、和邇に毛皮を剥ぎ取られて泣いていたところを大穴牟遲神大国主神に助けられる」という部分だけが広く知られている。

私見】過日、岐阜県揖斐郡揖斐川町の「三輪神社〈御祭神・大物主大神(おおものぬしのおおかみ)〉」を訪れると「なでうさぎ」という石像があり、説明書きに『ダイコク様は、日本神話の中で、過ちを犯し傷を負った因幡の白兎の心と体を癒しました。うさぎの体を撫でて、ダイコク様の癒し、活力を存分にお受けください。』とあった。また過日、名古屋市中区の「三輪神社〈御祭神・大物主大神〉」を訪れると「幸せのなでうさぎ」という石像があり、説明書きに『うさぎは大神様のおつかいです。願いを込めて撫でて下さい。あなたに幸せがいただけます。』とあった。更に過日、静岡県磐田市の「総社淡海國玉(おうみくにたま)神社〈御祭神・大国主命(おおくにぬしのみこと)〉」を訪れると、狛犬ならぬ両対の「うさぎ」の石像があり「大国主命と兎」という説明書きに『数ある神話の中でも有名な「因幡の白兎」。話しの中では兎はサメを騙した悪者ですが、一説には大国主命の奥さんの八上姫(やがみひめ)が兎を使者として結婚相手を探したとも言われています。自分の身体を傷つけて大勢いる兄弟神様の中から清い心の持ち主の大国主命を見つけ出す役目をした訳です。この兎のお陰で大国主命と八上姫はめでたく結婚されたので、縁結びの神様としても慕われています。』とあった。

改めて「大国主命大物主大神=大黒様」と兎の御縁を感じた次第だ。