ホリショウのあれこれ文筆庫

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第883話 ガラパゴス化

序文・独自に進化

                               堀口尚次

 

 ガラパゴス化とは、日本のビジネス用語のひとつで、孤立した環境日本市場で製品やサービスの最適化が著しく進行すると、外部外国の製品との互換性を失い孤立して取り残されるだけでなく、適応性汎用性と生存能力低価格の高い製品や技術が外部から導入されると、最終的に淘汰される危険に陥るという、進化論におけるガラパゴス諸島生態系になぞらえた警句である。ガラパゴス現象、ガラパゴス症候群ともいう。国内向け製品・サービスに特化した進化を遂げた産業分野だけでなく政治分野にも使用される事が有る。

 この国際競争の側面における言葉の背景としては、オープンソースであっても独自様式に流れがちなエンジニア や、日本市場で独自の進化を遂げた携帯電話世界標準からかけ離れてしまう現象ガラケーを指すため代名詞的に用いられていた。同時期に生まれた言葉として「パラダイス鎖国」が挙げられる。

 ガラパゴス化というキーワードが正確にいつごろ発生したのか定かではないが、2004年11月30日に行われた「Open Source Way 2004」で、ユニット長の佐渡秀治が、講演「OSS界のガラパゴス諸島、ニッポン」の中で、言語の障壁に由来する日本人のオープンソースソフトウェアに対する姿勢について述べる際に「ガラパゴス」の表現を使用したことがきっかけではないかとされている。総務省が2006年10月より開催したICT国際競争力懇談会 および、そのWG(ワーキング・グループ)では、小野寺正が信ら総合研究所のNRI知的資産創造2006年11月号に北俊一が寄稿した論文「携帯電話産業の国際競争力強化への道筋-ケータイ大国日本が創造する世界羨望(せんぼう)のICT生態系-」を取り上げたことにより、この記述が議事要旨および最終とりまとめで活字化され、携帯電話関係者の間ではある程度認識される用語となった

 十分に大きく単独で成立する、特異性の強い市場の存在が前提となる。この市場内で成功する戦略として、ローカルなニーズに基づいた独自進化の推進が考えられ、特化した高水準の製品やサービスが誕生する。一方でこれとは逆に、より多くの市場のニーズを同時に必要十分満たすという戦略も成り立つ。世界的に無視できないシェアを得れば、事実上の標準となる可能性が出てくる。

 ガラパゴス諸島で独自に進化した生き物たちは、どう思っているのだろう。