ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

第866話 インディアン斥候隊

序文・インディアン噓つかない

                               堀口尚次

 

 インディアン斥候(せっこう)隊とは、インディアン〈ネイティブ・アメリカン〉で構成されたアメリカ陸軍の斥候部隊斥候とは、軍事において地上戦闘の際に、敵情・地形などを偵察あるいは秘密裏に監視するために本隊から先んじて派遣される、単独兵または小人数の部隊のことである。また、その偵察行為そのものを指すこともある。

 インディアンと一口に言っても、その内容は多種多様な民族の集まりである。ヨーロッパ人がアメリカ大陸に到来したとき、彼らは互いに同盟、あるいは敵対関係にあった。白人たちが、あるインディアンの一部族を攻撃するとき、その攻撃対象とは敵対する別の部族は、白人の側について参戦することもあった。

白人たちは、こうしたインディアンたちを雇い入れ、軍に組み込んでいった。すでに1636年に発生したピクォート戦争では、イギリス人入植者が、攻撃対象のピクォートと敵対するモヒガンやナラガンセットと同盟を結んで、共に戦っている。

アメリカ陸軍が、正式にインディアン部隊を軍編成に組み込んだのは、1866年7月28日の事である。この日、次のような法令がアメリカ議会で可決された。「大統領は、インディアンを斥候隊として雇用することを承認する。インディアンの人数は1000人を超えない事とする。雇われたインディアンは、騎兵兵士の給料と手当を受け取る。インディアンは 司令官の裁量で雇用あるいは解雇される」。この1866年の合意以前にも、アメリカ軍がインディアンを雇用する事はあったが、彼らはあくまで臨時雇いの扱いであり、兵士では無かった。この法案成立以後、インディアンは、短期間の戦闘時にだけ雇われる者もいれば、正式に兵士として軍に雇用される者もいた。正式に軍に加わったインディアンたちは、軍の余剰在庫から古い型の制服を与えられた。これらの在庫は様々な時代の者が混ざっていたため、規制は緩く、インディアンの中には伝統衣装を身につける兵士もいた。1870年に、第3騎兵隊のバーク大尉はアリゾナのアパッチの斥候の格好について「ほぼ裸で、彼らの唯一の衣類はモスリンの布、一対の先のとがったモカシンと鷹の羽の帽子」と書き残している。1902年、新しい規則が導入され、インディアン斥候は規則的な新しい制服を受け取った。