ホリショウのあれこれ文筆庫

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第823話 ゲリラ

序文・野球のショートはゲリラ?!

 

                               堀口尚次

 

 ゲリラスペイン語: guerrilla〉は、ゲリラ戦〈遊撃戦〉と呼ばれる不正期戦闘を行う民兵または反政府組織のこと。ゲリラ戦とは、戦線外において小規模な部隊を運用して、奇襲、待ち伏せ、後方支援の破壊、攪乱や攻撃を行う戦法または戦闘を指す。

 1808年からのスペイン独立戦争でナポレオン軍に抗して蜂起したスペイン軍やスペイン人民衆の採った作戦を、ゲリーリャ〈guerrilla、guerra「戦争」+指小辞-illaで「小さな戦争」を意味するスペイン語の単語〉と呼んだのが、ゲリラの語源である。ただし、戦術としてのゲリラ戦は、この語が生まれる以前の古代から存在していた。日本語では「遊撃」という言葉で訳されることがある。ここでの「遊」の意味は「本拠とする場所から離れる」という意味である。

 ゲリラによるゲリラ戦は、正規軍による正規戦、特に会戦による決戦方法とは対極的な戦争形態である。一般にゲリラ戦は、少数あるいは劣勢となった側が地の利や住民衆の支持を背景に小規模な戦闘を効果的・反復的に実施することによって、優勢な敵に対して消耗戦や神経戦を強いて占領の長期継続を困難にさせる事を目的とする。反面、ゲリラ戦だけでは短期間に決定的な軍事的損害を与える事は困難で、その間は優勢な敵側から「正規兵ではない犯罪者、テロリスト」とみなされての弾圧や報復も予想されるため、長期の継続力が必要となる。

 同様の任務を遂行する正規軍兵士は「ゲリラコマンド」などと呼び区別する。正規軍も必要に応じてゲリラ戦術を実施するほか、特殊部隊による後方攪乱などコマンドー攻撃を採用する場合や、更には前線での正規軍と被占領地での市民によるゲリラが連携する場合などもあり、どこまでを「ゲリラ」または「ゲリラ戦」と呼ぶかの明確な区別や分類は困難である。

 余談になるが、ゲリラ豪雨は、集中豪雨の一種。正式な気象用語ではなく、突発的で天気予報による正確な予測が困難な局地的大雨を、軍事用語のゲリラ〈奇襲を多用する非正規部隊〉に例えた表現で、従来から使用されていた驟雨(しゅうう)〈にわか雨〉や集中豪雨、夕立といった言葉をマスメディアが代用する形となった。