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第870話 祥月命日

序文・仏教供養のしきたり

                               堀口尚次

 

 命日は、ある人が死亡した日のこと。忌日(きにち)ともいう。対義語は誕生日。死亡した年月日を歿〈没〉年月日(ぼつねんがっぴ)という。

 ある人が死亡して後、一年に1日のみ、死亡した月日と全く同じ月日が巡ってくるが、その日のことである。単に命日とだけ表現しても上述の意味ではあるが、より万全を期す語として特に祥月(しょうつき)命日と呼ばれることが多い。祥月命日とは前述どおり「死亡した月日と全く同じ月日」の命日のことである。ただし、死亡して満一年後の命日に限っては一周忌もしくは一回忌と呼ぶことが一般的である。

 なお、祥月とは本来「ある人が死亡した月と同じ月」のことを示す語だが、単に祥月命日の略語として用いられる場合がある。祥月以外における、日だけが同じ命日〈祥月を除外して一年に11度〉は、特に月命日という。

 日本の仏教では、年12回の月命日に故人の供養を行い、一定の年数の命日には年忌(ねんき)法要〈法事〉が営まれる。

 年忌は、祥月命日、また、その日に営まれる仏事のこと。日本の仏教において、定められた年に故人に対して営まれる法要を、年忌法要〈年回法要〉という。追善供養のために営まれる。

 浄土真宗では追善供養とはいわず、仏法にふれる機縁の法要としている。故人の祥月命日のうち、定められた年に行われる法要が年忌法要である。宗旨、地域によっても異なるが、一般には百ケ日・一周忌・三回忌など様々な法要が行われる。また、祥月命日に行うのが最善であるが、当日に都合がつかない場合は、その日より前の日に行うのが一般的である。三回忌以降は数え年の数え方であるので実際の経過年数と一致しない。三十三回忌または五十回忌の「弔(とむら)い上げ」の際、寺への寄進や永代(えいたい)供養を行う場合が多い。

 三十三回忌をもって「弔い上げ」〈年忌法要の打ち切り〉とするのが一般的であるが、宗派や地方によってはまれに五十回忌をもって「弔い上げ」とする。また宗派の開祖や高僧、歴史上の有名人物などは五十回忌以降も50年毎に法要を行う例もある。