ホリショウのあれこれ文筆庫

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第539話 大怪獣ガメラ

序文・強いぞガメラ

                               堀口尚次

 

 ガメラは、大映〈現:KADOKAWA〉が1965年に公開した特撮映画『大怪獣ガメラ』に登場する架空の怪獣の名称。『大怪獣ガメラ』以降も続編、及びガメラの登場する映画作品が継続的に製作されており、これら全作品を総称してガメラシリーズと呼ぶ。

 大映時代の『ガメラ』は、東宝製作のゴジラシリーズの成功に触発された当時の各映画会社がこぞって製作していた怪獣映画作品群の流れを受けて誕生した。一般的な浸透度はゴジラの方が高いものの、ガメラはカメ特有のユーモラスなデザインや飛行能力など独特の個性を持つ。また、大映時代の配役には「〈『バイラス』以降〉必ず外国人の少年〈およびその家族〉が登場し、主人公である日本人の少年とともに冒険する」という特徴がある。誕生秘話としては、「当時の大映社長の永田雅一が、飛行機から見下ろした島の形が亀の甲羅に似ていたことにインスピレーションを受け、『大映の怪獣は亀をモチーフにする』こととなった」という逸話がある。

 巨大な亀の姿をした怪獣。甲羅の表面は「鱗(うろこ)のような重なり合った形状」になっており、下顎の左右両端から大きな牙が1本ずつ、上に向かって生えている。血液は緑色である。本物の亀のように、頭や手足、さらには尾までも甲羅内へ引き込める。手足を引き込んだ位置から火炎を噴射し、その推進力を利用して大気圏内はもちろん宇宙空間でも飛行できる。手足を引き込んだ四カ所から火炎を噴射しつつUFOのごとく回転して飛ぶ場合と、後脚の部分から後方に火炎を噴射し、前を向いたまま飛ぶ場合がある。平成作品では、膝や肘からのジェット噴出で飛行している。最高飛行速度はマッハ3以上。

 エスキモーの伝承に「悪魔の使い」として語られた、古代の怪獣。一説にはアトランティス大陸に生息していたとされる。北極の氷の中で眠っていたが、国籍不明の原爆搭載機の墜落による核爆発で閉じ込めていた氷が割れて覚醒し、最終的には日本に上陸して破壊の限りを尽くす。当初は凶暴な怪獣として描かれているが、子供に対しては友好的な面も見せている。一度はガメラ追放作戦「Z計画」で巨大ロケット内に閉じ込められて火星へ追放されるが、ロケットが飛行中に小惑星と衝突して崩壊した結果、地球へ再来する。