ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

第76話 人の振り見て我が振り直せ

序文・鶴田浩二が生きていたら、歌って欲しかった。

                               堀口尚次

 

 娘が小学生だった頃、金管バンド(小学校の吹奏楽)の発表会が、市内の別の小学校で開かれることになり、車で出掛けたが、事前の通達で「駐車場が無い為、元浜公園の駐車場(歩いて10分弱)へ止めて下さい。学校廻りの公道へは路上駐車しないで下さい。」旨があったので従ったが、なんと小学校廻りの公道にズラーと駐車されているではないか。嗚呼・・・。私は情けなくなったが、娘に対しては「お父さん達は間違ってないよね」と胸を張ったのを覚えている。純真無垢な子供達の大切な音楽会が、穢(けが)れた大人達のエゴで台無しにされた気分だった。「自分さえ良ければ思想」は誰にでもあろう。所詮、弱虫で煩悩だらけの人間なのだから仕方のないこともある。しかし、せめて子供の教育現場に直結している場所での所業(しょぎょう)は慎むべきだろう。

 また過日、同僚がほぼ毎日犬の散歩をしているという話になり「排便処理も大変だね」と労(ねぎら)うと、「処理用のビニール袋はぶら下げてるけど、カモフラージュで持ってるだけだよ」と宣(のたま)いよった。嗚呼・・・。この国の道徳心は何処へ行ってしまったんだろう。私はけして、青臭い事が言いたいんじゃないけど、せめてその事実(カモフラージュの実態)は、自分の心の中に仕舞っておいてほしかった。そして反省して以後は改心して行動してほしかったが、無理だろうな。

 更に、衝撃的だった出来事がある。会社の同僚が結婚することになり、恒例だった「結婚祝儀」として、一人500円を回収することになったが、「そんな事を会社に強制されるのはおかしい」として拒否する輩が現れたのだ。これだけでも、驚き桃の木山椒の木なのだが、更に、この世を震撼させる出来事が後日起きた。新婚旅行から戻った同僚が、みんなにお土産(ボールペン)を配る事になり、新婚の同僚も、祝儀を拒否した人だけお土産無しと云うのも心が狭いと思われたくなかったのか、全員に配り終え、祝儀拒否をした本人は受け取っているのだ。物事の筋としては、そのお土産は辞退するものでしょう。嗚呼・・・。

私はその時、鶴田浩二の「傷だらけの人生」が頭を過(よぎ)った。「何から何まで真っ暗闇よ、筋の通らぬ事ばかり。右を向いても左を見ても、馬鹿と阿呆の絡み合い、どこに男の夢がある。」と思わず口遊(くちずさ)むところだった。

勿論、渡世人(とせいにん)でない私は歌う事は出来ませんが流石に笑えもしなかった。

f:id:hhrrggtt38518:20211012132026j:plain