ホリショウのあれこれ文筆庫

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第806話 走塁妨害とコリジョンルール

序文・迫力プレイと危険の狭間

                               堀口尚次

 

 走塁妨害とは、野球で、走者が野手に走塁を妨害されたことによって適用されるルールである。

 野手は、「ボールを持って走者をアウトにしようとする」ときや「打球や送球を処理する」ときを除いて、走者のために走路を譲らなければならない。走路を譲らなかったために走塁を妨げると、走塁妨害となる。ここで「打球や送球を処理する」とは、打球や送球が野手に向かってきていて、これを捕球しようとするための動作、もしくはボールをつかんで送球し終わるまでの動作をいう。したがって、例えば、内野ゴロに野手が飛びついたが結局捕ることができず、そのまま横たわっている状態で走者の走塁を遅れさせた場合には走塁妨害となる。

 コリジョンルールは、本塁での衝突〈コリジョン〉を防止するための規則。本塁での過激な接触プレーによる負傷者が後を絶たなかったことから、2014年よりメジャーリーグMLB〉で採用され、日本野球機構NPB〉においても2016年より採用され、公認野球規則に規定されている。

 規則の大要は、本塁での衝突プレイについて、『①得点しようとしている走者が、走路をブロックしていない捕手または野手に接触しようとして、または避けられたにもかかわらず最初から接触をもくろんで、走路を外れることを禁じる②ボールを保持していない捕手が、得点しようとしている走者の走路をブロックする行為を禁じる。』である。1の場合は走者にアウトを宣告し、ボールデッドとなって、他のすべての走者は接触発生の時点で占有していた塁まで戻らなければならない。2の場合は走者にセーフを宣告する。

 張本勲は、「百害あって一利なし」 として、このルールの導入に反対している。理由として選手や審判が困惑する、上手くなる走塁が少なくなる、迫力のあるプレイが見られないといった点を挙げている。また、捕手の安全を守るというルールの目的を鑑みて「走者がはっきり激突すれば退場、何試合か出場停止、罰金などを審判が決めればいい」 と提案している。

 ところが、先日のプロ野球〈タイガース対ベイスターズ〉の試合で起きたのは、本塁ではなく二塁での出来事だったので、もめることとなったのだ…。