ホリショウのあれこれ文筆庫

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第131話 重複立候補での復活当選

序文・衆議院選挙も終わりましたが、なんか気になるこの制度。

                               堀口尚次

 

 重複立候補とは、衆議院選挙制度小選挙区比例代表並立制の選挙において小選挙区の立候補者を政党の比例代表名簿にも登載することができる制度。

 その場合、小選挙区での立候補者の全部(もしくはその一部)を同じ順序にすることができる。これは比例代表名簿で同一順位に複数の立候補があった場合、小選挙区での惜敗率 (当選した候補者の得票数に対する落選した候補者の得票数の割合)によって当選が決るためである。

 このため、小選挙区で接戦して2位だった候補が落選し、それより得票の少なかった候補が当選するという現象も生じ、これを「復活当選」と呼ぶが、制度の見直しを求める声が高まっている。

 「復活当選」とは、重複立候補者が小選挙区選挙で落選し、比例区選挙で当選することを指すが、小選挙区選挙で供託金が没収〈有効投票総数の10分の1未満〉された者は「復活当選」できない。

 選挙制度上は投票が同時に行われる小選挙区制と比例代表制は並立する対等の制度であり、相互補完の関係にある。よって本来小選挙区制の結果ありきの「比例復活」という表現は不適切であるが、上記のように小選挙区の結果が影響することもあり、事実上比例代表制が従属する形になっている。また、マスメディアが盛んに用いる「比例復活」という言葉がこういった印象を強めてしまっている面もある。したがって「復活当選」した候補者は当選後も「小選挙区で負けたのに当選した」というレッテルがついて回ることになる。

 重複立候補者の同一順位にした場合、有権者の立場から見れば、選挙を通じて比例名簿の順位決定に部分的に参加できる。政党組織の立場から見れば、重複立候補者たちの同一順位での惜敗率勝負には、誰が復活当選するのか極めて予想を立てにくいという大きなデメリットがある。前述の通り重複立候補者を同一順位にするか否かは政党の任意であるため、政党が重複立候補者を同一順位にすることを避けることがしばしば見られる。

 ちなみに、コスタリカ方式とは、小選挙区比例代表並立制における選挙戦術の一つで、同じ政党もしくは友党から競合する候補者が存在する選挙区において1人を小選挙区に、もう1人を比例区に単独で立候補させ選挙毎にこれを交代させるという方法である。

 今回の衆議院選挙でも、この重複立候補で復活当選している人が何人もいる。

現役の自民党幹事長の甘利氏がそうだが、さすがに幹事長の職は辞するかまえだ。本来の小選挙区比例代表並立制の意義から考えても見直しが必要なのでは。

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