ホリショウのあれこれ文筆庫

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第100話 他人が尊重できないならここから出ていけ

序文・弱い人間と強い人間

                               堀口尚次

 

 米コロラド州にある空軍士官学校予備校の学生寮で、黒人学生を侮蔑する人種差別的な罵倒が、学生の部屋のドアについていた問題を受け、士官学校校長のジェイ・シルベリア中将は、士官学校の全校生徒と教職員を集めて、このような振る舞いはまったく受け入れられないと強い調子で話した。「他人を尊重して敬意をもって接することができないなら、出ていけ」と、厳しい口調で繰り返すシルベリア中将の訓話は、インターネットでも大きな話題となった。空軍士官学校予備校では、ただちに士官学校に入学を認められなかったものの10カ月以内に補欠入学が認められる可能性のある生徒たちが学んでいる。シルベリア中将は、以下の言葉で生徒たちを諭した。

 

「もし誰かの尊厳を尊重できないなら、ここから出て行きなさい。」

「もし性別の違いを尊重できないなら、ここから出て行きなさい。」

「どんな形であれ人を侮辱するものは、ここから出て行きなさい。」

「人種や肌の色を尊重し敬意を持てないなら、ここから出て行きなさい。」 

 素晴らしい校長。これが本物の教育者。どうしても、軍は「戦争」という部分だけを切り取られがちだが、人道的行為の方が殆どである。

 人間には、弱くて卑怯な一面がある。他人が受け入れられなくて、姑息な手段で陥(おとしい)れようとする。自分を棚に上げておいて、他人を批判したりする。相手を見て諂(へつら)ったり、見下げたりする。隣を横目で確かめてから、自分の道を決めたりする。

 しかし反面、人間には強くて勇敢な一面もある。寛大な心で人に接し、損得勘定抜きで奉仕できる。どんな人にも謙虚で、どんな時でも親切にできる。信じた道を真っ直ぐに、愚直に行動できる。困っている人を助け、自分のことはあとにすることができる。誰も見ていないのに、公共の場のゴミを拾ったり清掃をしたりすることができる。笑われてもへこたれない信念を持つ事ができる。厳しい態度で、正論で諭すことができる。

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