ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

第273話 保育園と幼稚園

序文・教育と保育の違い

                               堀口尚次

 

 保育所は、保護者が働いているなどの何らかの理由によって保育を必要とする乳幼児を預かり、保育することを目的とする通所の施設。厚生労働省児童家庭局が管轄し児童福祉法第7条に規定される「児童福祉施設」となっている。施設名を「○○保育園」とする場合も多いが、あくまでも「保育園」は通称であり、同法上の名称は「保育所」である。

 保育所における保育では、養護と教育が一体となって展開される。ここでいう「養護」とは、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりであり、「教育」とは、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助である。ただし、「教育」に関しては、「義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとしての満3歳以上の幼児に対する教育」は除かれている。国家資格である保育士資格が必要である。

 幼稚園は、満3歳から小学校就学までの幼児を教育し、年齢に相応しい適切な環境を整え、心身の発達を助長するための教育施設。

 幼稚園は文部科学省幼児教育課の所管で、学校教育法第1条に規定される学校の一種である。大学・大学院までの教育体系の中の一環として組み込まれている。私立の幼稚園においては学校法人のほか個人、社会福祉法人、宗教法人などが設置できる。

 日本の幼稚園における教育内容は、幼稚園教育要領の中に示されており、その内訳は「健康」、「人間関係」、「環境」、「言葉」、「表現」の5領域となっている。施設設備については、幼稚園設置基準で定められている。幼稚園の教師になるためには、都道府県の教育委員会が発行する幼稚園教諭免許を取得しなければならない。

 施設の立地面では、保育所は全ての用途地域で建設できるのに対して、幼稚園は学校としての規制により工業地域・工業専用地域では建設できない。

 このように保育園と幼稚園は、傍から見ると同じように感じていたが、行政の所轄や運営方法に歴然とした違いがあった。要するに「教育」に重きを置くか「保育」に重きを置くかということだろうが、当の幼児にはわかるまい。 

f:id:hhrrggtt38518:20220320065851j:plain