ホリショウのあれこれ文筆庫

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第416話 エホバの証人事件

序文・信仰と人命の狭間で何が起きていたのか

                               堀口尚次

 

 エホバの証人は、キリスト教系の宗教。ものみの塔聖書冊子協会などの法人が各国にあり、全世界で活動している。聖書の神エホバを信仰している。聖書の教義を以下のように説明する。『全てのものには創造者(神)がいる。神は唯一神エホバである。キリストは神の子であって、天使長ミカエルと同一である。〈中略〉神に従う人間はイエス・キリストが地上に来て捧げた贖(あがな)いの犠牲により、アダムから受け継いだ罪が許され、死んだ人たちも復活させられて神の教育を受け、神に従うことを選ぶなら永遠に生きる機会を得る 。』 

①輸血拒否事件

宗教上の理由で輸血を拒否していたエホバの証人の信者が、手術の際に無断で輸血を行った医師、病院に対して損害賠償を求めた事件。輸血拒否や自己決定権について争われた法学上著名な判例である。宗教・思想の禁忌・戒律・価値観、または医療上の主張その他の理由により、輸血を拒否する人は少なからず存在する。彼らの主張は、生命の危機に陥る可能性がある場合も含め、いついかなる状況でも輸血を拒否するとする絶対的輸血拒否〈絶対的無輸血〉と、生命に危機がある場合など、身体に重大な影響を与える場合は輸血を容認する相対的輸血拒否〈相対的無輸血〉の2つに分けられる。

エホバの証人は輸血を拒否することで知られる。その根拠とされているのは聖書中の『いかなる生き物の血も、決して食べてはならない。すべての生き物の命は、その血だからである。それを食べる者は断たれる。』といった「血を避けるべき」とするいくつかの記述である。

②剣道実技拒否事件

公立学校の学生が、自己の宗教的信条に反するという理由で、必須科目である剣道の履修を拒否したため留年〈原級留置〉処分となり、更に翌年度も原級留置処分を受けたために、学則にしたがい学校長により退学処分を受けたところ、当該処分が違法であるとして取消しを求めた行政訴訟抗告訴訟〉である。学校教育における信教の自由の保障が争われ、憲法学上著名な判例のひとつであると共に、裁量統制を巡る重要な判例のひとつとして行政法学上も著名である。

【所感】「信教の自由」は憲法が保障しているが、倫理上の医療行為との衝突や、公教育現場での集団秩序との衝突など、社会問題として捉えられてきた。