ホリショウのあれこれ文筆庫

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第415話 モンスターペアレント

序文・教育の荒廃は社会の縮図

                               堀口尚次

 

 モンスターペアレントという語が登場する以前から、こうした問題は「親のいちゃもん」として存在し、この種の保護者が目立って増え始めたのは1990年代後半からであるとされる。また、保護者を「モンスター」にしているのは、「モンスター」という言葉を使っているマスコミや教育現場であるという。『モンスター=人間でない』ことで、保護者との関わりを拒否していると言う。

 教育社会学者の指摘によると、この時期に子供が学齢期を迎えた多くの親は、概ね1960年代生まれで、1970年代後半〜1980年代の校内暴力時代に、強面するヤンキー生徒に全く注意出来ないばかりか、その不甲斐なさを一般生徒に威圧的な態度で接する教師の姿を見てきて、全く教師への敬意を持っておらず、さらにバブル景気の時期に社会に出たために、教師を愚弄している。また、バブル崩壊後のリストラなどで社会的な地位を失った人々の公務員ゆえ倒産や失業の心配がなく、終身雇用の保証された立場である、教師に対する嫉みもあるという。「言ったもん勝ち」がまかり通る風潮が強まっている点も、モンスターペアレント出現の原因の一つではないかとの指摘もある。

 他方、現役の教諭は、こうした保護者が増加した原因を、「保護者の消費者意識の暴走」とする見解を述べている。保護者は自分の子供が学校で他の子供より“損”な待遇を受けることが我慢できず、「同じ値段を払えば同じ商品が手に入る」という意識で教育サービスを捉えているためとされる。例えばある学年の学級担任が新卒、中堅、評判のいいベテランというような構成になったとする。モンスターペアレントは、自分の子供が“評判の良いベテラン教師”以外に担任されることを不当待遇であると考える。また、これらモンスターペアレントやその子供に学校が手こずる理由として、彼らが“学校と対等な消費者”としての立場と“まだ半人前である子供”としての立場を使い分けるという現象も指摘している。すなわちモンスターペアレントやその子供たちは、学校に対してクレームをつける際には“消費者”として振るまい、そうしたクレームが学校に“ルール違反”と認定されて退学や停学などの処分を出されそうになると、“半人前である子供への情状酌量”を要求する。

【総括】日本はいつから儒教などの教えがすたれ、道徳心・公共心が荒廃してしまったのだろう。利己主義が蔓延っている社会は健全ではない。