ホリショウのあれこれ文筆庫

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第723話 尺貫法の名残

序文・尺取り虫の由来

                               堀口尚次

 

 尺貫法(しゃっかんほう)は、長さ・面積などの単位系の一つで、東南アジアで広く使用されている。尺貫法という名称は、長さの単位に「尺」、質量の単位に「貫」を基本の単位とすることによる。ただし、「貫」は日本独自の単位であり、したがって尺貫法という名称は日本独自のものである。尺貫法と言った場合、狭義には日本固有の単位系のみを指す。尺貫法に対し、中国固有の単位系は貫ではなく斤であるので尺斤法という。本項では、広義の尺貫法として、中国を発祥として東アジア一円で使われている、あるいは使われていた単位系について説明する。

 日本では、計量法により、1958年12月31日限り〈土地と建物の計量については1966年3月31日限り〉で取引や証明に尺貫法を用いることは禁止された。違反者は50万円以下の罰金に処せられる〈計量法第8条、第173条第1号〉。なお、尺や寸に相当する目盛りが付されている物差し〈「尺相当目盛り付き長さ計」〉は、正式に認められているものであり、「黙認」されているということではない。

 尺貫法がメートル法と全く異なる要素は、全てが一律の十進法ではないという点である。十倍を繰り返さない十の単位が用いられたり、六十進法の単位が用いられたり、六で割り切れて十で割り切れない単位が用いられたりするのが特徴である。

【長さ・距離〈度〉】『里→町→間(けん)→丈→尺→寸』例)一寸法師の背丈は約3㎝

【面積・地積】『町→反(たん)→畝(せ)→坪→合→勺(しゃく)』例)妖怪の一反木綿は長さ約10.6m幅約30㎝

【体積〈量〉】『石(こく)→斗(と)→升(しょう)→合→勺』例)石高(こくだか)・一斗缶・一升瓶・五合炊

【質量〈衡〉】『貫→斤→両→匁(もんめ)』例)百貫デブは約375㎏・パン一斤は約600g・花一匁は約4g

【分量単位】『割(わり)→分(ぶ)→厘(りん)→毛(もう)』例)打率3割2分2厘