ホリショウのあれこれ文筆庫

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第724話 警務官の特性

序文・軍隊の憲兵に相当

                               堀口尚次

 

 警務官とは、陸・海・空の各自衛隊で部内の秩序維持の職務に専従する者であって、刑事訴訟法の規定による司法警察職員以下、司法警察員として職務を行う三等陸曹、三等海曹又は三等空曹以上の自衛官をいう〈特別司法警察職員。各自衛隊ごとに、防衛大臣直轄部隊として陸上自衛隊は「警務隊」、海上自衛隊は「海上自衛隊警務隊」、航空自衛隊は「航空警務隊」が、それぞれ編成されている。陸士長、海士長又は空士長以下の者は、警務官補と呼称し、司法巡査とされる。陸上自衛隊では、警務科の職種に指定されている。

 軍隊〈国軍憲兵に相当するが、後述の通り、旧日本軍の憲兵と異なり、一般国民に対する司法警察権や行政警察権を有さない。独自の起訴や裁判、法的処分を行なうことがないのは一般の警察官と同様である。警察官等他の司法警察職員と同様、逮捕して取り調べた被疑者については、検察庁へ送致する。

 警務官には、自衛官身分証明書と別に警察官の警察手帳と類似した型式の「警務手帳」が貸与される。

 自衛隊法96条により下記の犯罪についてのみ職務を行う。所管が限られているので、捜査し摘発を行なった事件が報道された例はほとんどない〈警察と競合するので、脱柵中・勤務時間外に犯罪を犯した自衛官は警察に逮捕される例が多い〉。

自衛官並びに陸上幕僚監部海上幕僚監部航空幕僚監部及び部隊等に所属する自衛官以外の隊員並びに〈防衛大学校陸上自衛隊高等工科学校の〉学生、訓練招集に応じている予備自衛官及び即応予備自衛官並びに教育訓練招集に応じている予備自衛官補の犯した犯罪又は職務に従事中の隊員に対する犯罪その他隊員の職務に関し隊員以外の者の犯した犯罪

自衛隊の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設内における犯罪

自衛隊の所有し、又は使用する施設又は物に対する犯罪〈機材の毀損や窃盗〉

 予備自衛官補は、 陸上自衛隊及び海上自衛隊において採用している官職である。一般国民より公募され、教育訓練終了後は非常勤国家公務員の予備自衛官となり、有事・訓練等の際は招集されて陸上自衛隊または海上自衛隊における各任務に就く。