ホリショウのあれこれ文筆庫

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第748話 建設発生土と盛土の関係=残土問題

序文・因果応報

                               堀口尚次

 

 建設発生土とは、建築工事及び土木工事などで建設副産物として発生する土のことである。一般的には建設残土とも呼ばれる。建設発生土は字義通り、建設作業において基礎工事など全工程の比較的初期の段階で多く発生する、その計画における建設現場では使用用途がない土のことである。

 かつては敷地内で掘削した土砂は場外処分とし、次いで埋め戻しに用いる土として新規購入した山砂などを充てていた。土砂の搬出処分と新規購入の二重の経費を掛けていたことになる。このため、結果的には建設工事による余剰発生土が定量的に新規需要の量を上回り、埋立など他での需要に利用されたが、一方では新たな土砂が不足し、過剰な掘削による景観破壊やコンクリートへの海砂混入などが問題となってきた。近年では限りある資源としての土を有効に利用するために、現場で掘削した土砂をいったん場内または場外で保管し、改めてこれを埋め戻し再利用して余剰分だけを場外処分とするようになった。

 日本では建設残土を有料で引き受けた業者が、残土を山林などに投棄するケースが全国的に目立っており、これらが大雨などで崩落するケースも多発している。また、首都圏で発生した建設残土が、残土処理について条例で規制していない自治体へ大量に搬入され投棄されている実態も明らかとなっており、「都市部の残土を地方に押し付けている」と批判されている。

 2021年には静岡県熱海市で盛土箇所が起点となった熱海市伊豆山土石流災害が発生。条例や日本の法律による規制が大幅に強化される契機となり、宅地造成及び特定盛土等規制法〈盛土規制法〉が2023年5月26日に施行された。また、地震時は液状化現象、また大雨により崩落災害が起きることもある。

 国土交通省は日本全国の盛り土の総点検を始めた。その結果、1089箇所で不備があることが判明した。崩落の危険があるため、各自治体による追加の対処を求めている。結果内訳は、「必要な災害防止措置が確認できない」が516箇所、「廃棄物の投棄などが確認された」が142箇所、「許可、届け出の手続きが取られていない」が728箇所、「手続内容と現地の状況に相違がある」が515箇所であった。