ホリショウのあれこれ文筆庫

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第747話 保釈制度の趣旨

序文・地獄の沙汰も金次第

                               堀口尚次

 

 保釈とは、勾留されている被告人について住居限定や保証金の納付を条件として身柄の拘束を解く制度である。

 日本では刑事訴訟法88条以下に規定がある。日本法では起訴後の保釈のみが認められており、起訴前の保釈の制度はない。

 勾留の目的は罪(ざい)証(しょう)の隠滅を防ぎ、公判や刑の執行への出頭を確実にすることにある。このような目的を達するには、直接、被告人の身柄を拘束する方法以外にも、約束に違反した場合には「金銭を没収する」という経済心理的な強制を加える方法でも可能である。

 また一方で、被告人を拘束し続けることは、社会復帰を阻害することになりかねないという欠点がある。後に無罪判決を受けた場合はもちろん、執行猶予判決の場合であっても、判決前に長期欠勤や欠席を理由に解雇や退学されてしまうという例は珍しくないからである。保釈制度の趣旨は、被告人の出頭確保などによる刑事司法の確実な執行と、被告人の社会生活の維持との調整を図ることにある

 保釈逃亡罪など逃亡した場合に加罰がある国もあるが、日本では保釈金が没収されるのみとなっている。

 保釈保証金とは、既述のとおり、身柄を釈放する代わりに、公判への出頭等を確保するために、預けさせる金銭のことである。現金での納付が基本であるが、有価証券又は保釈保証書にて代える事もできる。現金を用意できない場合には、日本保釈支援協会より弁護士を通して立替納付ができる。立替限度額は、500万円が上限であり期間は2ヶ月間とし2ヶ月ごとに延長可能である。

 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保釈保証金の全部又は一部を没取〈保釈保証書の場合は取り立て〉することができる。没取とは、国庫に帰属させることである。

 没取されなかった保釈保証金は、裁判が終わった段階で還付される

※因みにカルロスゴーンの保釈金は15億円だが、逃亡したので没収された。