ホリショウのあれこれ文筆庫

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第819話 不発弾と信管

序文・信管が要

                               堀口尚次

 

 不発は、起爆に関する機構に何らかの不具合があって爆発せずにある砲

弾、ロケット弾、誘導弾などの弾薬類の総称である。①発射薬に関する異常で発射されなかった弾薬類も、一般には不発弾と呼ばれるが、専門的には不発射弾と呼ばれる。②転じて、何等かの効果が期待されて行われた動作や興行などが、期待された効果を生まなかった場合に、不発弾不発と形容される。

 不発弾は、火工品である弾薬が正常に機能しなかったという点で、広義の不良品である。元来、人や物品、施設に損害を与えるのが目的である以上、一定の破壊力を有しているため、後々になって何らかのきっかけにより動作した場合には、本来の目標とは異なる対象を破壊してしまうこともあり、特に戦闘が終結したあとに残された不発弾で問題とされる。

 不発弾の原因のほとんどは、信管の動作不良によるものだが、外見から原因を断定するのは困難であり、取り扱いには注意を要する。原因の一例を挙げれば以下のようなものがある。①柔らかい土壌に落下して着発信管に適切な衝撃が加わらないなど、起爆に必要な条件が満たされなかったもの②起爆薬・伝爆薬炸薬(さくやく)いずれかの劣化による作動不良③安全機構の解除に必要な遠心力などの外力が、なんらかの原因で得られなかったもの④近接信管のレーダーなど、電気的な部品の作動不良によるもの

 信管とは弾薬を構成する部品の一つであり、弾薬の種類と用途に応じて所望の時期と場所で弾薬を作動させるための装置である。現在、以下の4つの機能を持っていて、以下の機能が一つに結合された装置を信管と呼んでいる。

  1. 起爆時期を感知する機能
  2. 所望の時期以外では起爆させないための安全装置
  3. 安全装置の解除機構
  4. 弾薬の起爆装置

銃や砲の発射薬に点火する装置は単独では「起爆時期を感知する機能」を持たないため雷管と呼ぶ。