ホリショウのあれこれ文筆庫

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第729話 シマウマの縞模様のなぞ

序文・大自然の摂理

                               堀口尚次

 

 シマウマ〈縞馬、斑馬〉は、哺乳綱ウマ目ウマ科ウマ属のうち、白黒縞模様を持つ系統である。

 数種〈現代的な分類では3種〉からなり、それらは単系統であるシマウマ亜属をなす。和名はシマ「ウマ」だが、ウマよりロバの系統と近縁である。

 シマウマは概して草を食す植物食である。シマウマの外見的特徴は、毛の黒地に白の縞模様に加え、大きな耳、先端がふさ状になった尾など、その姿は野生のロバとよく似ており、鳴き声もロバに近い。ゆえに「縞模様のロバ」と呼ぶ言語もある。

 シマウマの縞模様の効果は、捕食者が狩りの獲物とする個体を識別しにくくすることといわれてきた。これは、霊長類以外の哺乳類は色の識別能力が低いことと関連している。つまり、シマウマの白黒の模様は、霊長類以外の哺乳類が遠くから見た場合には草原の模様に埋もれ判別しにくいとされる。また、縞模様は身体の部位ごとに向きが異なり、群れをなすと各個体の縞模様が混ざって視覚的に同化してしまう。しかし研究により、天敵の大型肉食獣は人間ほど縞の認識ができておらず、このため同じところに暮らす他種の植物食動物の単一の色の被毛に対して、縞模様が特に天敵を混乱させることに優位ではないということが判明した。他にも説があり、日よけや草食動物のため群れている方が被害が少なく、仲間同士で群れを見つけるのに役立っているとも言われている。

 シマウマなど縞模様を持つ生物は、体表面で温度差を形成して微細な空気の流れを生じさせ体温調節に役立てているとする研究がある。しかしNHKの『ダーウィンが来た!~生きもの新伝説~』の2017年10月1日放送で、独自にこの説の真偽を実際の生息環境で検証したところ、黒縞の部分は温度が大きく上がり、白縞の部分も黒縞よりは低いが温度が上昇し、低下を見せたのは温度差が生む風でなく自然の風が吹いたときだけということが判明した。

 横断歩道や導流帯を、その縞模様から「ゼブラゾーン」と呼ぶことがある。ボールペンなどを製造するゼブラでは、コマーシャルで「ゼブラゾーンを渡りましょう」という台詞を流していたことがある。