ホリショウのあれこれ文筆庫

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第809話 ストライキと闘争積立金の行方

序文・上部団体への上納金

                               堀口尚次

 

 ストライキは、労働者による争議行為の一種で、労働法争議権の行使として雇用側〈使用者〉の行動などに反対して被雇用側労働者、特に労働組合が労働を行わないで抗議することである。日本語では「同盟罷(ひ)業」あるいは「同盟罷工」と呼ばれ、一般には「スト」と略される。転じて、ハンガー・ストライキなど労働争議ではないが組織的な抗議行動を指すこともある。

 日本では、日本国憲法第28条により労働基本権のひとつとして保障され、主に労働組合法及び労働関係調整法で規定される。

 労働組合法『第五条 労働組合は、労働委員会に証拠を提出して第二条及び第二項の規定に適合することを立証しなければ、この法律に規定する手続に参与する資格を有せず、且つ、この法律に規定する救済を与えられない。第八条 使用者は、同盟罷業その他の争議行為であつて正当なものによつて損害を受けたことの故をもつて、労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない。』

 争議行為が正当である場合、その行為についての刑事責任と民事責任は免責される。ストライキ労務の不提供にとどまるならば合法であり、これらの免責を受ける。特にストライキによって、使用者に生じた損害に対する賠償責任が免責される点が重要である。

 ストライキなどの争議行為が正当でなければ、これらの免責は受けられない。また、ストライキを設定している日に対して前倒し決行した場合、違法ではないがこれによる企業側の損失については、請求できる判例がある。なお、ノーワークノーペイの原則から、正規労働時間中に就業していない分の賃金は支払われない。一般に労働組合は組合員からあらかじめ積立金を「闘争資金」等の名称で徴収し、争議権行使で発生した賃金不払い分を組合が補填する

私見】筆者が退職した会社では、在籍中に組合費〈闘争積立金含む〉が給料から天引きされていたが、生涯ストライキは実施されなかった。理屈からいけば、この分の闘争積立金は退職と同時に変換されるべきではなかろうか。