序文・警察官以外にも逮捕権を持ってる人は沢山いた
堀口尚次
特別司法警察職員とは、警察官(一般司法警察職員)ではないが、特定の法律違反について刑事訴訟法に基づく犯罪捜査を行う権限が特別に与えられた一部の職員(公務員や民間人)のことである。犯罪捜査ができるため、捜査に係る刑事手続きや逮捕や捜索差押、送検等を行う権限がある。
具体的には以下の職種がある。
①皇宮護衛官→皇居の警備、皇族の護衛が任務。
②刑事施設の長、刑事施設の職員〈刑務官〉→刑務所等の職員。
③麻薬取締官→警察官には認められない「おとり捜査」も許されている。
④労働基準監督官→捜査権および逮捕権あり。
⑤漁業監督官→捜査権および逮捕権あり。密漁の防止・摘発。
⑥鉱務監督官→捜査権および逮捕権あり。鉱山における保安職務。
⑧警務官→防衛省・自衛隊に属す。自衛官は特別司法警察職員ではないが、防衛出動・治安出動・海上警備行動・警護出動が発令された場合には自衛官も警察官・海上保安官 (海上警備行動)と同等の職務執行権限を行使出来る。
⑨都道府県の職員〈鳥獣保護や狩猟に関する職員〉
このように逮捕権は、警察官(一般司法警察職員)だけではなく、上記の職種の公務員も有しているのだ。ただし逮捕には三種類あり、通常逮捕〈裁判所が発行する逮捕状の提示が必要〉、現行犯逮捕〈逮捕状は不必要〉、緊急逮捕〈逮捕状なしで逮捕できるが、令状主義に反しているので争われている〉がある。
また公務執行妨害罪とは、警察官(一般司法警察職員)のイメージが強いが、読んで字の如く、公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行または脅迫を加えた者に対する罪であり、本罪の行為は暴行または脅迫である。本罪の暴行が認められるためには、公務員に向けられて有形力が行使されればよく(広義の暴行)、また現実に公務の執行を妨害する必要はない。
因みに以下の職種は、特別司法警察職員ではない。
⑪衛視→国会の警務及び議院の内部警察権の執行を行う国会職員〈国家公務員〉
⑫公正取引委員会→独禁法等の違反事件の調査や審決を行う準司法的な機能、および規則制定権の準立法的な機能を有している。