ホリショウのあれこれ文筆庫

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第382話 参議院選挙の仕組み

序文・特定枠を設けた訳は?

                               堀口尚次

 

 参議院議員選挙が近づいたので復習してみた。

選挙区選挙・・・候補者名を記載する。

比例代表選挙・・・名簿に登載されている候補者名を記載する。候補者名に代えて、名簿の届出をした政党その他の政治団体の名称又は略称を記載する。

※政党名と個人名の票の合計が各党の得票数となり、その得票数に応じてドント式と呼ばれる計算方法で議席が配分される。各党の獲得議席のなかで、どの候補者が当選するかは、原則として、個人名の票が多い順に決まる。(参議院選挙は、衆議院選挙と異なり比例代表の候補者の名簿に順位がつけられていなく非拘束名簿式と呼ばれる)一方、前回の選挙から候補者個人の得票に関係なく、あらかじめ政党が決めた順位に従って優先的に当選者が決まる「特定枠」を設けることになった。なお、特定枠に掲載された候補者は候補者名を冠(かん)した選挙運動を行うことができず、特定枠に掲載された候補者は政党票としてカウントされる、これによって参議院比例区では拘束名簿式と非拘束名簿式の両方が混合することになる。

 利点として、拘束名簿式では、名簿順位の決定は、各政党の任意であるため、有権者はその名簿の作成に関わることができず、有権者が当選させたい者が比例名簿に登載されている場合、その者を当選させるには所属している政党名を書くしかない。しかし、その者の名簿順位が低く、当選に及ばなかった場合、有権者の意図とは異なる候補者が当選することとなってしまう。非拘束名簿式の場合、有権者が好きな候補者を自由に選べるので、名簿順位の決定に有権者が参加することができる。比例代表制の導入により、かつての全国区制のような当選して取り過ぎて余った票広義の死票が少なくなるなどがある。

 欠点としては、この制度では、個人名で書かれた票はその所属政党の得票に反映されるため、個人への票が他者への票の横流しになるという点がある。大量得票を獲得できるタレントやたくさんの組織票がある候補者がいる政党では、その者の得票によって他の得票数の少ない候補者を助けることが可能となる。そのため、高得票数で当選した議員は所属政党において政治的影響力を増大させる傾向がある。