序文・廃藩置県の見直し
堀口尚次
「合区」とは、通常1つの都道府県が選挙区となる参議院議員通常選挙において、複数の都道府県を1つの選挙区とすること。参議院合同選挙区とは、参議院議員通常選挙における隣接する都道府県を一つに合わせた選挙区。参議院議員通常において議員一人当たりの人口・有権者に不均衡が生じている一票の格差について、2012年に最高裁判所が都道府県単位を選挙区とする選挙制度に否定的見解を出したことを受けて、2015年に公職選挙法が改正されて人口の少ない県を合区して新たな選挙区を設けることになった。
2つの参議院合同選挙区が創設されたことにより、参議院に選出されない可能性がある県の代表者を参議院に確実に輩出することを意図した自民党の意向が2018年に国会で反映されたことにより、2019年7月の第25回参議院選挙から参議院比例区で政党等の判断で拘束名簿式の「特定枠」として設定することが可能となり〈なお、特定枠に掲載された候補者は候補者名を冠した選挙運動を行うことができず、特定枠に掲載された候補者は政党票としてカウントされる〉、参議院比例区では拘束名簿式と非拘束名簿式の両方が混合することになり、参議院合同選挙区は参議院比例区の選挙制度にも影響を与えている。
2015年、鳥取県と島根県、徳島県と高知県の選挙区をそれぞれ2つ選挙区に合区することを含む公職選挙法改正案〈10増10減案〉を自民党と維新の党など野党4党で合意。合区が4県のみとなった理由として、都道府県単位の選挙区を極力尊重しつつ最高裁判決を踏まえて較差是正を目指すという考え方に基づき、合区の対象となった4県は人口の少ない順からの4県でありなおかつ互いに隣接する人口の少ない県同士での組合せが可能であるが、それ以外の合区については次に人口の少ない福井県については福井県に隣接する県のいずれも人口がそれほど少ないわけではなく、合区対象県と福井県を合区した場合には合区対象県より人口が少ない県との間で不公平さを生じさせるとした。
【総括】非常に短絡的で、超合理的に考えるのであれば、合区になった県を合併させて一つの県にしてしまえば、一票の格差はなくなるのではないか。そもそも都道府県によって、人口の格差が発生することは致し方のないこと。その上で憲法が保障した一票の格差をなくすというのであれば、「当選議員の数」と「都道府県の有権者数」の比率を限りなく近づけるしかないのではないか。