ホリショウのあれこれ文筆庫

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第404話 光化学スモッグ

序文・夏の暑い日の昼間に発生

                               堀口尚次

 

 『四日市公害訴訟の原告勝訴の判決から50年を迎え、公害問題について考える集会が開かれた。』というニュースを見て思い出した。私が小学生の頃、「光化学(こうかがく)スモッグ注意報」なるものが発令されていたことを・・・。

  光化学スモッグとは、オゾンやアルデビドなどからなる気体成分の光化学オキシダントと、硝酸塩や硫酸塩などからなる固体成分の微粒子が混合して、周囲の見通しが低下した状態をいう。光化学オキシダントを主成分とするスモッグ。健康に影響を及ぼすことがある大気汚染の一種。

 工場や自動車の排気ガスなどに含まれる窒素酸化物や炭化水素〈揮発性有機化合物〉が、日光に含まれる紫外線により化学反応を起こして変質しオゾンなどが発生する。夏の暑い日の昼間に多く、特に日差しが強く風の弱い日に発生することがある。

 日本で光化学スモッグによる被害が初めて明らかになったのは1970年の東京立正中学校・高等学校の事例とされている。環七通りの近くにある学校の生徒43名が、グランドで体育の授業中に目に対する刺激・のどの痛みなどの被害を訴えた。後の東京都の調査によって光化学オキシダントによるものということが判明して以来、公に注目されるようになった。ただし、1965年頃に近畿や四国で、1969年・1970年に関東でそれぞれ報告されていた農作物の斑点などの被害が、後に光化学スモッグによるものであったと判明しているように、それ以前にも被害はあったと考えられる。

 日本では、高濃度の光化学オキシダントが観測・予測される場合、各都道府県が「光化学スモッグ注意報」「光化学スモッグ警報」などを発表する。これらは光化学スモッグの危険度を示すものであり、大気汚染防止法に基づき、「光化学スモッグ注意報」、「光化学スモッグ重大緊急時警報」が発令される。また、各都道府県が独自の判断に基づき、「光化学スモッグ予報」、「光化学スモッグ警報」を出すこともある。 

 工場からはもたらされたものは、光化学スモッグだけではなくチッソや銀などによる汚水排出も大問題となった過去がある。人類の工業産業の進化には必ずといっていいほど副産物が付きまとう。ガソリンエンジンの運命は如何に。