ホリショウのあれこれ文筆庫

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第726話 控除率=寺銭

序文・寺社の境内が賭博場

                               堀口尚次

 

 ギャンブルにおける控除率とは、ある賭けに対してどれだけの手数料をとられるかを示す割合。ハウスエッジとも呼ぶ。似た言葉に寺銭(てらせん)があり、これは割合だけでなく一定の手数料、参加料も示す。控除率に対して、ある賭けに対していくら払い戻されるかの割合を還元率と呼ぶことがある。

 控除率が高いことは、それだけ胴元に手数料を取られ損することを示し、低いことは、参加者にとって相対的に有利であることを示す。それでも0%より大きければ、長期的なプレイにおいて勝つことは難しい。控除率は、稀にマイナスになることもある。これは、プレイすればするほど儲かるという一見おかしな状況であるが、いくつかの条件を満たせば起こりうる。顧客を集める宣伝手段もしくはサービスとして。小額のスロットマシンや、日本ではパチンコ店の集客イベントにおいて行われることが多い。特に複雑な技量がいるため、期待値通りにプレイすることに熟練が必要なもの。ブラックジャック、いくつかのビデオポーカーの機種などが挙げられる。理論上は得られるものの、当選確率が非常に低いもの。具体的には、ラスベガス〈正確にはアメリカ合衆国ネバダ州の他エリアにあるカジノを含む〉に設置されたスロットマシン「MEGABUCKS」がある。このマシンは、多くのカジノに渡って徐々にジャックポット金額を積み立てるシステム〈プログレッシブジャックポット〉を採っており、長期にわたって獲得者がでなかったある一時期に、期待値が100%を超える。

 寺銭とは商業擁護の一つ。賭博が行われる場合に、それが行われる場所を提供する者に対して支払われる金銭のこと。この言葉は、江戸時代寺社の境内を賭博を行う場として選び、賭博による儲けの幾らかを寺社に寄進していたことからこう呼ばれるようになったという説が存在する。寺社の敷地内は寺社奉行の管轄であり、違法な賭博が開催されても町奉行による捜査・検挙が困難だった。暴力団の起源の一つは博徒と呼ばれる縄張り内で賭博を行っていた集団であるが、連中がその賭博から得ている金銭のことが寺銭と呼ばれる主な収入源であった。公営競技や宝くじなどの公営ギャンブルの場合にも、特にパリミュチュエル方式〈トト方式〉における主催者側の利益となる一定の割合控除率の金銭のことが寺銭と呼ばれていることがある