ホリショウのあれこれ文筆庫

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第843話 共匪の役割

序文・共産主義の暴徒

                               堀口尚次

 

 共匪(きょうひ)とは、中華民国統治下の中国において、中国共産党の指導のもとに反政府的に活動したゲリラのことである。匪賊(ひぞく)〈集団をなして掠奪(りゃくだつ)・暴行などを行う賊徒〉のうち共産主義を掲げる集団とされ、共産匪、赤匪、毛赤匪、中共匪とも呼ばれた。

 なお、共産主義者からは、民衆の支持無しにゲリラ戦を行う者は、極左冒険主義者と呼ばれる。例えば、間島(かんとう)共産党暴動〈満州の間東で発生した中国共産党の支援を受けた朝鮮人独立運動勢力による武装蜂起〉や八一吉敦(はちいちきっとん)暴動〈満州で起きた中国共産党満洲省委員会直属の撫順(ぶじゅん)特別支部朝鮮人による暴動事件〉を起こした共匪である朝鮮共産党員を、金日成極左冒険主義者と呼んで蔑(さげす)んでいる。

 共匪共産主義を謳う匪賊で、中華民国満州国大韓民国などに存在し、政府によって討伐対象とされた。共匪は、ソ連共産党政治局の実質的な支配下にあるコミンテルン、プロフィンテルン及びプロフィンテルン下部組織の太平洋労働組合書記局から資金、革命手法及び連絡手法を提供してもらい、細胞組織を設立してプロパガンダ〈特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った行為〉を流したりストライキや暴動を起こし、ロシア内戦を再現することによって、最終的にソビエト地方政府の樹立を目指していた。これらの組織には、スターリン支持者とトロツキー支持者とが居たが、トロツキー支持者は時世を顧みず極左冒険主義者だったとされる。極東における共産主義者共匪を含む〉の連絡役は太平洋労働組合書記局の書記員イレール・ヌーランであったが、1931年に上海で逮捕されている〈ヌーラン事件〉。

 共匪のなかには権力を掌握することに成功するものもあり、中華ソビエト共和国、朝鮮民主主義人民共和国中華人民共和国などを建国している。また、韓国では反共を掲げる李承晩大統領によって共匪や協力者それに類するものと見做(みな)されたものは徹底的に殲滅(せんめつ)され、その過程で事件が引き起こされている。

 国民党の北伐以来、共産党が農民を扇動し、「有土必豪無紳不劣〈土地を有するは必ず横暴で、紳の劣らぬこと無し〉」などと唱え、農民が地主から土地を奪おうとしたため、農民は地主から解雇され、後に共匪となった。