ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1061話 手締め

序文・御手を拝借

                               堀口尚次

 

 手締めとは日本の風習の一つで物事が無事に終わったことを祝って、その関係者が掛け声とともにリズムを合わせて打つ手拍子である。手打ちともいう。祭や冠婚葬祭などの式典、商談や株主総会などの終わりに行われる。

 祝いの席で使われる最も一般的な手締めに『一本締め』〈3回・3回・3回・1回〉がある。手締めの音は「シャンシャン」と表現される。特に質疑応答もなく短時間で終了する株主総会は、参加者は手締めしかしないということで「シャンシャン総会」と揶揄される。「打ちによって締める」が語源である。なお、関西では「手締め」のことを「手打ち」と表現する。手締めの主旨は、行事を取り仕切った者が行事が無事に終了したことを協力者に感謝することである。そのため来賓の場合、仮に音頭を取ることを依頼されたとしても断ることが筋である。

 一般的には『一本締め』〈3回・3回・3回・1回)〉行うが、状況に応じて使い分ける場合がある。『一丁締め』〈1回〉は、個室や狭い飲みの場など、うるさく出来ない場や参加者の中に不幸がある際に粛々と行う手締め。大々的な祝いの席や大変喜ばしい会では『三本締め』〈一本締めを3回〉執り行われる。

手締めの使い分けは社会人として要求されるマナーであり、特に『一本締め』と『一丁締め』は誤用が多いため、注意が必要である〈テレビコマーシャルフォラマなどでも誤用の例あり

 手締めは地方により、そのリズムや回数、掛け声が異なる。現在全国的に主流の「江戸締め」が最も基本的な手締めの形態である。「大阪締め」などのローカルな手締めも存在する。

 各地域に存在するローカルな手締めに対しての別名で江戸締めとも呼ばれ、一本締め三本締めがある。拍数の「3回・3回・3回・1回」は3回の拍が3回で九になり、もう1回手を打つと九に点が打たれて「丸」になり「丸く納まる」の意味になり縁起の良いことから当時の江戸っ子に好まれたと言われている。また、はじめと間に「イヨー」「ヨッ」「もう一丁」などと掛け声をかけ最後に拍手する。「イヨー」は「祝おう」が転じたものとされる。手を1回だけ打つ一丁締め関東一本締めという別名も存在する。近畿地方、特に大阪締めを行わない京都などにおいて一丁締めはほぼ見られない。