序文・かしわで
堀口尚次
二礼二拍手一礼は、日本の神社で用いられる拝礼作法で、まずお辞儀を二度行い、二度手を叩き〈拍手〉、最後にもう一度お辞儀を行うもの。神社本庁・伊勢神宮・靖国神社などはこの種の参拝作法を二拝二拍手一拝と呼ぶ。二礼二拍手一礼という呼称は東京都神社庁や東京大神宮、報道機関などが用いている。なお、拝礼の作法は神社や地域によって特色があり、厳格な決まりはない。
神社の参拝作法は時代ともに変化してきており、現在は二拝二拍手一拝が基本形になっているといわれる。二礼二拍手一礼は戦後に一般化した作法であり、神社によっては別の作法をとることもある。現在、多くの神社で二礼二拍手一礼を奨励する掲示があり、若い世代を中心に多くの参拝者がこれに従っている。
二礼二拍手二礼〈または二拝二拍手一拝〉の作法は神社によって多少異なるが、例えば伊勢神宮は「参拝の作法〈二拝二拍手一拝〉」を次のように示している。
『神前に進み姿勢を正す。
背中を平らにし、腰を90度に折り、深いお辞儀を2回する。
両手を胸の高さで合わせ、右手を少し下にずらす。
両手を肩幅程度まで開き拍手を2回打つ。
ずらした指先をもとに戻し、深いお辞儀を1回する。』
伊勢神宮によると、深いお辞儀を拝(はい)といい、手を打ち鳴らすことを拍手(はくしゅ)という。拝も拍手も古来から行われる敬礼作法であるというが、二拝二拍手一拝の由来については言及していない。神社本庁によると、参拝作法は長い間変化してきており、現在は二拝二拍手一拝が基本形となっているという。
拍手とは手と手を打ち合わせることで、後世に間違って柏手と書いて「かしはで」と読んだ。拍手は、桓武天皇の時代まで元旦の儀式で用いていたが、その儀式に渤海人(ぼっかいひと)を陪席させるにあたって用いなかったことがあり、それ以来長くこれを廃するようになり、神事にしか用いなくなった。
拍手(かしわで)とは、両手を合わせ、左右に開いた後に再び合わせる行為を指す。通常、手を再び合わせる際に音を出す。音を出す理由は、神への感謝や喜びを表すため、願いをかなえるために神を呼び出すため、邪気を祓うためといわれる。