ホリショウのあれこれ文筆庫

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第169話 横溝正史シリーズ

序文・八つ墓明神の祟りじゃ

                               堀口尚次

 

 始めに申し上げますが、以下の内容で映画のネタ(犯人等)をバラシていますので、さしさわりがある場合は、読まないで下さい。悪しからず・・・。

 映画になった「八つ墓村」「獄門島」「犬神家の一族」「悪魔の手毬歌」などが好きでした。すべてに、金田一耕助という私立探偵が関与しており、担当刑事との掛け合いもおもしろかった。金田一は、基本は石坂浩二が演じるが、「八つ墓村」では、なんと寅さんの渥美清が演じていてました。いい味だしてました。

 「八つ墓村」は、実際にあった事件「津山三十人殺し事件」がモチーフになっているという。また、戦国時代の落武者の祟(たた)りと絡(から)めた内容で、因果応報での恐怖を醸(かも)し出していた。当時は「祟りじゃ〜っ! 八つ墓明神の祟りじゃ〜っ!」が流行りました。犯人が殺された落武者の末裔というこった内容でした。

 「獄門島」は、犯人の僧侶が自分が殺した娘達に対して、その死体を前にして松尾芭蕉の俳句を詠むというスタイルでした。「むざんやな 冑(かぶと)のしたの きりぎりす」「一つ家(や)に 遊女も寝たり 萩と月」「鶯(うぐいす)の 身を逆(さかさま)に 初音(はつね)かな」の三句を殺人に見立てたのだったが、殺人犯に対する『キチガイ』と俳句の季語が違う『季違い』を見破った金田一だった。戦死公報が絡んでいた。

 「犬神家の一族」は、資産家・犬神家に伝わる三種の家宝『斧(よき)・琴(こと)・菊(きく)』になぞられて殺人事件が起きるというものでした。「よき」とは、いわば小さ目のオノのことです。三種の家宝を『良きことを聞く』と解釈した犬神家だったが、財産分与を巡る血なまぐさい争いに発展していった。最大の焦点は、青沼静馬というゴムの覆面を被った青年の登場だった。金田一はその正体を見事に見破ったのだった。キーワードは「復員服の男」だった。やはり戦争だ・・・。

 「悪魔の手毬歌」は、村に伝わる手毬唄に沿って連続殺人事件が起こるという設定だった。金田一石坂浩二)が汽車の発車間際に、磯川警部(若山富三郎)に「…(犯人)を愛してらしたんですね」と問いかけるが、汽笛に邪魔され伝わらないというラストシーンは、原作では〈汽笛の邪魔は入らず、絶句した磯川をホームに残し金田一は去っていく〉の京都駅から伯備線総社駅に場所が変更されており、駅名を肯定の返事『そうじゃ』に引っ掛けた演出という指摘もある。実際、駅名「そうじゃ」を記した柱が画面中央で強調されている。多くのの作品に於いて共通するのは、戦後の混乱期に事件が関わっていることだろう。戦争の悲劇が、もう一つの悲劇を生んだという設定なのだろうか。

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