ホリショウのあれこれ文筆庫

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第453話 BC級戦犯の1000名が死刑

序文・戦争犯罪とう犯罪の是非を問う

                               堀口尚次

 

 BC級戦犯は、連合国によって布告された国際軍事裁判所条例及び極東国際軍事裁判条例における戦争犯罪類型B項「通例の戦争犯罪」またはC項「人道に対する罪に該当する戦争犯罪または戦争犯罪人とされる罪状に問われた個人の総称。A項の「平和に対する罪」で訴追された者は「A級戦犯」と呼ぶ。日本のBC級戦犯は、GHQにより横浜マニラなど世界49カ所の軍事法廷で裁かれた。被告人は約5700人で約1000人が死刑判決を受けたとされる

 ダグラス・マッカーサー元帥は厚木に到着すると真っ先にエリオット・ソープ准将に東條以下の戦争犯罪人を逮捕するよう命じた。GHQは、東條英機など43名をはじめとして、その後2,636名の逮捕令状を出し、2602名の容疑者を逮捕・起訴した。

 イギリス軍を主体とする連合軍東南アジア司令部は8,900名を逮捕し、この他にソビエト連邦軍やアジア各国で逮捕されている。正確な容疑者の逮捕総数を示す資料はないが、第一復員局法務調査部では約11,000名が海外で逮捕されたと推計していることなどから、その数が1万名をはるかに超すものと考えられている。

 日本はジュネーブ条約のひとつである俘虜(ふりょ)〈捕虜〉の待遇に関する条約」を、加入はしたものの批准していなかった適用すると連合国側には約束はしていた事から、参謀本部や軍令部にも条約への意識が無く、捕虜の扱いについて指示がまちまちとなった。その結果、各部隊に捕虜の人権への理解が届かずに処刑や虐待に繋がり、必然的に訴追対象者の増加にも繋がっている

 戦後の海軍反省会では軍令部の高級参謀達が当時を振り返り、「捕虜であろうと敵は一人でも多く殺せ」という空気があり、それが軍全体に行き渡ったのだろう」と証言している。この中で元大佐は中国における海軍の民間人掃討を例に、日本兵の人権、人命軽視は日中戦争の頃より醸成されて麻痺してしまっていた事も影響したと指摘している。

 戦犯容疑者たちは、収容所で私的暴行を受けたと証言する者が多く、暴行で死亡した者がいたという証言もある。これは、日本軍が暴行を加えた現地の捕虜が看視兵を務めた例が多いからだといわれている。