ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1284話 DQN

序文・蔑称

                               堀口尚次

 

 DQNドキュン〉とは、日本語の文脈で「粗暴」「非常識」「軽率」「反社会的」「低脳」な者、またはそのように見える風貌の者へ使われるインターネットスラング・蔑称の一つである。

 「DQN」とは、軽率そうな者、実際に軽率である者、粗暴そうな風貌をしている者、実際に粗暴な者、非常識で知能が乏しい者を指す時に用いる。2010年時点で調査では認知度が高く、「一般的なインターネットスラング」であるとみなされている。1994年から2002年までテレビ朝日で放送されていた番組『目撃!ドキュン』が由来とされる。目撃!ドキュンの内容は、離婚などで生き別れの親子が対面などというものであった。そのため「16歳でできちゃった結婚して子供が生まれて、20歳になったら離婚して、40歳になったら目撃ドキュンに出ている人たち」という意味で2ちゃんねるを中心にDQNと呼ぶようになった。

 「航空旅客の手荷物運搬や宅配業務及び労働者派遣などを行う会社の代理人である弁護士」に対して、「DQN」がその他の表現と並んで「いずれも侮蔑的な表現を使って原告を誹謗中傷する内容であると認められ、原告の社会的地位を低下させるものであると認められる」〈東京地裁平成15年9月17日判決、控訴審東京高判平成16年1月29日も結論を維持〉と判示され、初めて司法の場によって「DQN」が侮蔑語として認められたことが示されている。

 プロバイダ責任制限法の関連の情報を伝えるプロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が、2007年2月に策定した「発信者情報開示関係ガイドライン」の中で「DQN」が「馬鹿息子」「無能恫喝社長」といった言葉と共に「名誉毀損、プライバシー侵害」の項目の例に記載された。 ガイドラインや判決により、今後は匿名掲示板において「DQN」の言葉を用いると、書き込んだ者のリモートホストや氏名などの個人情報が開示される危険性があると、ニュースサイトなどのメディアで報道されたものの、テレコムサービス協会倫理委員会の桑子博行委員長は、「〈このガイドラインは〉これまでの判例で明白になったことと、それについて対応する手順を明確にしたもの。」とし、プロバイダなどに強制するものではないので、即座に「DQN」と書き込んで実名開示になるということではないと強調した。