ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1066話 日本最大級の徳山ダムと消えた徳山村

序文・徳山湖(浜名湖の約二倍)の出現

                               堀口尚次

 

 徳山ダムは、岐阜県揖斐郡揖斐川町一級河川木曽川水系揖斐川最上流部に建設されたロックフィルムダム。独立行政法人水資源機構が管理する多目的ダムである。

 日本最大級のダムであり、総貯水容量6億6,000万 ㎥は日本一を誇る。水害常襲地帯である揖斐川の治水および東海三県の水がめとして建設された。

 揖斐川濃尾平野西部を流れる木曽三川のひとつで、大垣市などを貫流し伊勢湾に注ぐ。大垣市揖斐川ほか複数の河川が流れていることから「水都」と美称されている。その反面、古来より水害常襲地帯であり、かつて隣の垂井町美濃国国府が設置されていたにもかかわらず、この地域に岐阜県庁が設置されなかったのは水害のためともいわれている。このため輪中(わじゅう)や油島千本松原締切堤など、数多の治水工事が繰り返されたが根本的な解決とはならず、揖斐川の治水は流域住民の悲願でもあった。

 ダム建設に伴い徳山村全村が水没し、その後はダムの必要性について全国的な論争が起きるなど話題も多いダムである。ダムによって形成された人造湖は、旧徳山村村民からの要望により旧村名から徳山湖命名された。

 事業に対しては推進・反対と分かれ、様々な異論や反論もあったものの、平成20年に完成した。多目的ダムとしては日本一の規模であり、総費用3,500億円も日本最大である。巨大ダム建設の可能地点が稀少化し、また巨大ダム建設に対する世論が厳しくなった現状では、日本最後の巨大ダム建設となるものとみられる。

 徳山村は、岐阜県揖斐郡揖斐川上流にあった村である。徳山ダム建設のため、村民は昭和59年に離村を開始。昭和62年に藤橋村〈現・揖斐川町〉に編入合併して廃止された。編入後も残っていた村民も平成13年までに離村した。

 徳山ダムは平成20年5月に完成し、門入集落を除く徳山村の可住区域はダム湖徳山湖に水没した。NHK総合『発見ふるさとの宝』、NHK総合・BS2『ゆるナビ』で紹介された。ダム建設中の徳山村を舞台にした映画『ふるさと』、廃村離村後、移転地から戻ってきて徳山村で暮らし続けた村民を記録したドキュメンタリー映画『水になった村』も制作された。