序文・インドがふるさと
堀口尚次
迦楼羅(かるら)は、インド神話のガルダを前身とする、仏教の守護神。八部衆、後には二十八部衆の一員となった。「迦楼羅」の音写はパーリ語に由来する。迦楼羅天、迦楼羅王とも呼ばれる。食吐悲苦鳥(じきとひくちょう)と漢訳される。
インド神話の神鳥ガルダが仏教に取り込まれ、仏法守護の神となった。口から金の火を吹き、赤い翼を広げると336万里にも達するとされる。一般的には、鳥頭人身の二臂(うで)と四臂があり、龍や蛇を踏みつけている姿の像容もある。鳥頭人身有翼で、篳篥(ひちりき)〈管楽器の一種〉や横笛を吹く姿もある。
また那羅延天(ならえんてん)の乗り物として背に乗せた姿で描かれる。これは前身のガルダが那羅延天の前身ヴィシュヌ神の乗り物であった事に由来する。仏教において、毒蛇は雨風を起こす悪龍とされ、煩悩の象徴といわれる為、龍〈毒蛇〉を常食としている迦楼羅は、毒蛇から人を守り、龍蛇を喰らうように衆生の煩悩〈三毒〉を喰らう霊鳥として信仰されている。密教では、迦楼羅を本尊とした修法で降魔、病除、延命、防蛇毒に効果があるとする。また、祈雨、止風雨の利益(りやく)があるとされる。不動明王背後の炎は迦楼羅の吐く炎、または迦楼羅そのものの姿であるとされ「迦楼羅(かるら)焔(えん)」と呼ばれる。
カーマデーヴァは、ヒンドゥー教における愛の神である。カーマは元来「愛」の意で、マンマタ、カンダルパ、マーラなどとも呼ばれる。
ダルマ〈正義〉とシュラッダー〈信仰〉の息子だが、ブラフマーの息子とする説もある。ラティ〈快楽〉、プリーティ〈喜び〉を妃とし、ヴァサンタ〈春〉を親友とする。美男子であり、オウムに乗り、海獣マカラを旗標とし、サトウキビの弓と、5本の花の矢を持つ。ギリシア神話のエロース〈クピードー〉に相当し、妃のラティや親友ヴァサンタを伴って相手に近づき、その矢で射られた者は恋情を引き起こされる。苦行者の邪魔をすることもあり、それが原因でシヴァ神に焼き殺された。
【私見】かつて愛知県を中心としたホームセンターに『カーマ』があり、同列のドラッグストアに『カルナ』があった。これらは『カーマデーヴァ』と『迦楼羅』からきているのではないだろうか?