ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1166話 御称号

序文・宮家の「宮」とは別

                               堀口尚次

 

 御称号とは、名詞「称号」に接頭辞(せっとうじ)「」がついたもので、日本の特定の皇族に与えられる、主に幼少時の呼び名を指す。これは宮号宮家としての「宮」とは別のものである

 古代〈奈良時代以降〉において、皇族の居所であった「○○宮」が転じ、皇族本人を指す尊称となった。幼少期に「○宮」の称号を付与する慣習が、いつ頃から始まったのか定かでないが、中世には既に定着していたようである。やがて、屋敷や荘園が世襲されるようになると、御称号もまた世襲されるようになり、後の宮家の始まりとなった。宮家の制度が定着して以降も、個々の皇族は出生時に称号を名乗り、宮号の継承又は出家等をするまでの間、諱にかわって御称号をもって名乗る運用がなされた。

 近現代においては、御称号が与えられるのは天皇の子女又は皇太子の子女のみ〈いずれも親王内親王〉に限定して付与されている。また、皇族男子には主に成人後に宮号が授与され、皇族女子は皇族と婚姻して妃〈親王・王妃〉となるか、又は降嫁により姓を得ることから、実質的に幼少時~若年期に用いられる呼称となっている。明治22年制定の皇室典範〈いわゆる旧皇室典範〉及び昭和22年制定の皇室典範〈現行〉のいずれにも、御称号〈及びお印〉について明文化された定めはない。

 御称号が付与される皇族は、出生時に諱〈名前〉と称号が、宮内省/宮内庁の告示で法的にも定められ、『官報』に掲載される。御称号は、通常、名+身位と同時に用いることは少ない。用例として次のようなものがある。『官報』においては、原則として「○宮」又は「○○親王/内親王」と記されており、同時には用いていない。明治時代には皇孫である「迪宮(みちのみや)・淳宮(あつのみや)・光宮(てるのみや)」を御称号で呼称している記事見出しもある。昭和時代には皇女である「照宮(てるのみや)・孝宮(たかのみや)・順宮(よりのみや)」を御称号で呼称している記事見出しもある。史上初めて皇子女として学習院に通学した、昭和天皇第一皇女の照宮成子(しげこ)内親王の場合、学習院においても、また自署でも「成子内親王」と記され、御称号を冠していない。今上天皇第一皇女の敬宮(としのみや)愛子内親王は、平成18年4月の学習院幼稚園入園式において「敬宮愛子」の呼称が用いられたと報じられた。女子中等科卒業時に公表された作文の記名も「敬宮愛子」だった。